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  <title>Persona3小説</title>
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  <description>ペルソナ３二次創作小説</description>
  <lastBuildDate>Thu, 06 Aug 2009 18:44:34 GMT</lastBuildDate>
  <language>ja</language>
  <copyright>© Ninja Tools Inc.</copyright>
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    <item>
    <title>想像の翼</title>
    <description>
    <![CDATA[<span style="font-family: Courier New;"><strong>０</strong><br />
<br />
仲秋の名月。<br />
<br />
人々が空を見上げて卵を呼び、そこに坐す者の丸い姿に魅了される夜。産まれるはずのなかった僕がこの世に引きずり出されたのは、冷たい卵が冴え冴えと輝く特別の一夜だった。<br />
あの時、なにか摂理を超えた異常が起きたのだと思う。そのせいで世界の表裏に亀裂が走り、流れ出してしまった産褥の血が、いまも現実の裏側を赤く汚し続けている。<br />
橋にたどりついた記憶は曖昧だ。思い出そうとすればするほど、醜い乱数が砂嵐のように視界を襲う。（&hellip;&hellip;たしか、）体じゅうが燃え落ちそうに深手を負っていた。振り払っても薙ぎ倒しても追いすがる何者かの視線。天の裂け目から煌々と漏れる光に照らされたそこは、他に逃れる場所が無く、僕は&hellip;&hellip;<br />
（温カイ&hellip;&hellip;）<br />
&hellip;&hellip;不思議なことに、なぜか再び僕は卵の中にいる。<br />
<br />
<br />
<br />
<strong>１</strong><br />
<br />
<em>ハンプティ・ダンプティが　塀の上。<br />
ハンプティ・ダンプティが落っこちた。</em><br />
<br />
眠りにつくと、僕はキミになっている。とてもかよわく無力で、けれど小さな自由の翼をもつ人間の男の子に。<br />
あれはいつかの夏の日、学校は休みだった。キミはひとりで道にしゃがみこみ、熱心にアリの行列を眺めていた。そのときキミの心をきらきらと彩っていたのは、お菓子をもらったり叱られた時のような単純な気持ちではなかった。<br />
『好奇心』<br />
僕はずっと後になるまで、キミが持つこの揺るぎないココロが理解できなかった。翼を持つ鳥や地を這う生き物、みんなみんな、残らず短い命を使い果たして死んでいく。空、水、風、それらはずっと以前から変わらない、地上にあるのが当たり前の不変の現象。なのにキミはこんなつまらない世界でも、毎日何かを知りたくて仕方がないみたいだった。<br />
キミは、想像するのが好きだね&hellip;&hellip;。道無き道を行進するアリの気持ち。隊列をつくって仲間の後を追う本能。彼らに大きな影を落として見守るジブンを、いったいアリはどう思ってるのかな&hellip;&hellip;って考えてる。<br />
細い行列はどこまでも一糸乱れず伸びていく。アリがキミを怖れている様子は無かった。言い換えると、間近に迫る危機を理解していない、どこかで見た気がする愚かな群衆みたいだ。<br />
僕はキミの目を通して一部始終を眺めながら、奇妙な共感に包まれている。小さなアリに傾けたキミの心が感じていること。それは僕がキミに感じてる思いと、よく似ていると思う&hellip;&hellip;。<br />
<br />
ちっとも答えが得られない観察に飽きたのだろう、溜息をついて立ち上がった。遊びの終わりに小さな破壊を行うのが、いつものキミのやりかた。積み木でつくった塔は片付ける前にぶっ倒す。アリの行列なんか靴底で蹴散らす。キミの心は大好きな映画の怪獣気分ではちきれそうだ。<br />
<br />
思い切りやればいい。そうすれば滅びの訪れは一瞬で済む。キミがその気になったら、アリに選択の余地なんてない&hellip;&hellip;。<br />
うまくできるように僕も祈ってるよ。<br />
<br />
片足をあげ、真剣に狙いを定め、そして、――<br />
――なぜだろう？　突然キミはためらった。<br />
思いもかけない空想が広がり始めていた。叶うことのない夢を見せる魔法の力がキミを小さく縮めていく。草が、石がどんどん大きくなって、アスファルトのでこぼこは巨大なクレーターだ。キミはとうとう灼けつく地べたの上でアリになった。<br />
<br />
たったいま自分が踏み潰す予定だったアリの仲間と一緒に、大きな大きな男の子を見上げている。触覚を振り立てて戦っても、自慢のアゴで噛みついても、あんな大きな男の子には絶対に勝てはしない。<br />
<br />
怪獣のような息。ギラギラした瞳。それをみたキミの心には破裂しそうなショックがいっぺんに流れ込んで、僕までもが訳もなく青ざめてしまった。<br />
<br />
気がつくと、キミは足を引っ込めていた。心臓が呼吸とケンカしてるみたいにズキズキする。その場から逃げだしたい一心で家のほうへ駆けだしていく、キミの背中&hellip;&hellip;。<br />
<br />
（どうしたの？）僕がつぶやくと、キミは喘ぎながら怖ろしそうに真っ青な空を見上げた。<br />
<br />
キミが初めて想像した潰されるアリの気持ち。怖くて悲しくて、足がすくみそうだった。でも僕にその心は分からない。殺しを止めたあの気持ちは難しすぎて、戸惑ってしまう。だってアリはアリじゃないか&hellip;&hellip;キミと言葉も交わせない小さな虫。<br />
（僕も&hellip;&hellip;？）どうしよう、僕はアリと同じだった。<br />
<br />
うろたえる僕を尻目にキミは頭を抱えた。殺す。死。二度と帰ってこない家族。暗い淵を映す瞳。僕らを隔てる砂嵐の雲が途切れ、すうっと彼の意識が近づく気配がする。<br />
<br />
（&hellip;&hellip;どうしてそんな苦しそうな目で見るんだい？　僕が怖いの？　ねえ、違うんだ。こんなのは僕の本当の姿じゃない。本当は、）<br />
<br />
（本当は、&hellip;僕の本当って？）<br />
<br />
（&hellip;&hellip;。）<br />
<br />
僕はもっとたくさん眠らなくちゃ&hellip;。<br />
小さな人間の夢、アリの国に舞い降りた巨人の夢、キミの無限の空想を夢にみて、いつかきっと、キミの世界に居られる姿を探しに、冒険を&hellip;&hellip;<br />
<br />
眠りのあいだは幸せだった。<br />
でも、&hellip;目覚めるとやっぱり僕は、僕でしかない。<br />
<br />
<strong><br />
２</strong><br />
<br />
<font color="#808080">かなわぬ夢をみる。避けきれぬ嵐の夢を。</font><br />
<br />
いつものように虚ろな気分で陰鬱な空を眺めていた時のこと。<br />
深い深い闇の淵にいる僕のもとに、何かがキラキラ光を放ちながら落ちてきた。<br />
（&hellip;&hellip;？）いままでここに何かがやってくるのは、彼が心の底を揺るがされたとき、ひと筋の豊かな感情の光が僕の暗闇を照らす時だけだった。でもそれは掴むことのできないうたかたのようなもので、あんなにはっきりとした形をしているのは一度も見たことがない。<br />
僕は誘われるように光が落ちた方向へ駆けだした。無から無へ架かる、七色に輝く虹。あの根本に埋まっているのは、きっと宝島の地図。パズルのピース。わくわくする何か。<br />
<br />
やっとみつけた。近づいてみるとそれは犬の形をした記憶のカケラだった。触れてみると温かく、透明な雫で濡れている。僕は、彼の大好きな犬が死んだのだと思った。<br />
（これは当分、雨になるかな&hellip;&hellip;。）<br />
空は悲しむ。雨が零れ、星のように落ちて静かに瞬く。次々と舞い落ちる形を成さない欠片。僕の居る場所まで届くなんて、そうとう激しく泣いてるはずだ。気がつくとすっかり土砂降りで、あっというまに辺りはぐちゃぐちゃのドロドロになっていた。雨宿りもできない僕は、最初に降ってきた犬を抱えて、しかたなくぬかるみの中に座り込んだ。<br />
この雨が伝える痛みが何なのか、僕は知っているような気がするんだ。<br />
（僕だって、）遠い昔に傷つけられた事が&hellip;&hellip;ある。<br />
記憶の犬はちょっぴり汚れてるとこまで本物の犬そっくりだった。彼が大好きなものの記憶はこんなにも鮮やかで明るい。抱きしめてみたり、頬ずりしてみたり。すると犬は、彼にしていた時みたいに僕の手や顔を舐めた。<br />
「フフ、」<br />
荒れた空がぱらぱらと凪ぐ気配がする。ふと見れば空には犬の形をした大きな穴があいていた。「&hellip;&hellip;あそこから落ちてきたの？」僕はびっくりして、抱いている犬を撫でた。すると、穴から吹き込む嵐のような風が落ち着きを取り戻していく。僕は彼が泣き止むまで犬と遊んで過ごした。たしか、そう&hellip;&hellip;犬は人間のトモダチという生き物。彼のトモダチは僕のトモダチだ。<br />
どうしてそんな事を思うのか自分でも分からない。でも僕はそう思いたかった。<br />
<br />
近ごろ僕は、空を見上げるのが好きになっている。<br />
あの犬はもう居ない。空にあいていた穴は、もう別の何かで塞がってしまった。記憶の欠片はとても儚くて、放っておくとじきに消えてしまう。僕は犬の顔を思い出しながら、輪郭をなぞって地面に描いた。たとえ彼が忘れてしまっても、ぼくは記憶に留めたい。でも、どうして空の穴が塞がったのがこんなに淋しいんだろう。彼はトモダチをなくしてあんなに痛がっていた。治ったのを僕は喜んであげるべきなのに&hellip;&hellip;。<br />
<br />
<font color="#808080">永い時間。どれくらい時が経ったんだろう。</font><br />
<br />
そういえばキミはすっかり積み木で遊ばなくなったね。もう小さな生き物を殺さないし、壊したいときに壊そうともしない。<br />
飽きちゃったのかな？<br />
<br />
キミはまいにち大人の言いなりだ&hellip;&hellip;。小さな者が生きていく為には仕方がないことだけど。<br />
<br />
僕だってキミのために小さくなろうとしたんだ。<br />
どうだい、こんなに縮んだよ&hellip;&hellip;。<br />
<br />
まるであの時の、アリみたいだ。<br />
<br />
「フゥ&hellip;&hellip;」<br />
最近とても苦しい。体に鉛の錘でも巻きついてるように。<br />
<br />
&hellip;&hellip;こんな惨めな姿で。<br />
わからない。いったい何の罰を受けてるのだろう。僕は&hellip;&hellip;<br />
<br />
<br />
&hellip;&hellip;この暗闇がただ、僕の弱さのせいだったらいいのに。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<font color="#808080">暗い淵の底にひらく、沈黙の青い扉。</font><br />
<br />
<br />
<br />
</span><br type="_moz" />]]>
    </description>
    <category>短編（09年～/デス＋主人公）</category>
    <link>https://013txtp3.dou-jin.com/%E7%9F%AD%E7%B7%A8%EF%BC%8809%E5%B9%B4%EF%BD%9E-%E3%83%87%E3%82%B9%EF%BC%8B%E4%B8%BB%E4%BA%BA%E5%85%AC%EF%BC%89/%E6%83%B3%E5%83%8F%E3%81%AE%E7%BF%BC</link>
    <pubDate>Fri, 12 Jun 2009 20:33:07 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>宇宙の暇潰し</title>
    <description>
    <![CDATA[<span style="font-family: Courier New;">「僕の名前は&hellip;&hellip;ファルロス」<br />
「あ、そう」<br />
もったいつけた割にそれは、俺にとってなんの意味も持たない単語だった。でも、名乗ったら友達になってあげる約束だったから、握手のつもりで潔く手をさしだしたのだ。するとその時、タイミングを見計らったように、頭上で聞き覚えのあるシンフォニーがドンドコドーンと鳴り響いた。<br />
（え、まじで？）<br />
これが出るのは人間相手の時だけかと思っていたのに。ファンタジックかつ煌びやかな音と光のページェント――を賑々しく引き連れてコミュニティのカードが現れる。千葉県民にとってのディ○ニーランド程度には、お馴染みの演出だ。<br />
慣れない頃は、これがどうにも恥ずかしくて仕方のないイベントだった。周囲の人間にこのドンチャン騒ぎが見えていないという保証は無かったし。<strong>誰かとちょっと親しくなると頭でファンファーレが鳴っちゃう男。</strong>なんて書くとまるで、俺がとっても微笑ましいヒトみたいにみえてしまう。ランクアップの度につい赤くなって両手で顔を覆ってしまい、女子からも男子からもドン引きされた過ぎ去りし青春の日々よ――もちろん誰かに「見えてますよ」と言われようものなら、その場ですぐさま切腹するつもりだった。それくらい、ペルソナ使いとは命がけの覚悟を要する特殊能力者なのだ。<br />
くだらない冗談が長くなった。ペルソナ道の師イゴールいわく、『楽して強化の第一歩は、コミュニティより始まるのです』。大いにラクしたい俺は、ほくそ笑みながらカードがひっくり返るのを見届けて、それから、踏まれたカエルみたいな声を出した。「がっ」&hellip;&hellip;イコツ？<br />
まさにその時、やっと気づいた。いつかラウンジで契約を交わして以来、自分がこいつに何を感じとっていたのかを&hellip;！<br />
「&hellip;&hellip;よろしくね」<br />
「&hellip;&hellip;よろ、しく」<br />
二人のあいだに結ばれたもの、それはこの上なく不気味な架け橋だった。無理をすれば</span><a href="http://file.camusp3.blog.shinobi.jp/05403573.jpg" target="_blank"><span style="font-family: Courier New;"><font color="#3366ff">愛嬌のあるオーパーツ</font></span></a><span style="font-family: Courier New;">とか</span><a href="http://file.camusp3.blog.shinobi.jp/roma_95_019_m.jpg" target="_blank"><span style="font-family: Courier New;"><font color="#3366ff">ローマの名所</font></span></a><span style="font-family: Courier New;">に見えないこともない。しかし残念なことに、ソレが二十二枚のうちでもっとも<strong>不吉なアルカナ</strong>なのは、あのイゴールの鼻を見るより明らかだった。<br />
相手が人間だったなら、いくら死神のカードでも死神そのものである可能性は低い。だが、&hellip;相手が人間では無かったとしたら？<br />
（どうなんだこれは。どう解釈すれば&hellip;&hellip;？）<br />
視線が泳いで二の句が継げない俺はともかく、視界の隅では、なぜかファルロスも絶句している。<br />
<br />
後になってから、ちょくちょく俺はこの時のことを思い出した。思い切って訊いていれば、俺たちの運命は変わっていたのだろうか&hellip;&hellip;と。<br />
<br />
「キミ、死神に見えるんだけど。<br />
えと、俺のことはどう見えてるのかな？」<br />
<br />
たったこれだけのことを率直に尋ねられなかったのは、なぜだろう？<br />
<br />
そうだ、ファルロスはどうも記憶を失くしてしまったらしく、再三、自分が何者かわからないと語っていたんだ。だから俺は（そのことが吉か凶かは想像もつかないが）、せっかく自分の正体を忘れている彼に、あえて思い出させる必要は<strong>まったく無い</strong>、と考えたのだ。<br />
ファルロスに話を合わせて迎合する以上の言動を控えていたのは、そういう一身上の都合に過ぎなかった。でも傍からどうみえようと、たしかにファルロスは俺にとって唯一の友人と呼べる間柄だったと思う。なぜって「友達になろう」などと宣言してほんとに友達になっちゃうなんて、生まれて初めての経験だったわけだし。（&hellip;ないよな？　フツー。）<br />
<br />
ここでひとつ昔話をしたい。小学生の頃だ。<br />
抜き打ちで配られた適合力テストのプリントの中に<strong>「友達の名前を書きなさい」</strong>という一文を目にして俺はパニックに陥ったことがある。友達だと思ってるのが自分だけ、なのはまだいい。けれどそれが万がいち白日の下に晒されて、友達だと思い込んでた相手や先生にも知られてしまったらどうする？　気の弱い俺みたいな生徒なら、自らガソリン浴びて火をつけたくなってしまうだろう。気の強い生徒なら、裏切った相手や教師のほうに浴びせるかもしれない。というか俺が知らずに誰かを裏切る可能性だってあった。なんて事だ、どっちに転んでも焼死が待っている怖ろしい罠じゃないか。教師がどういうつもりでそんな危険を冒してまで質問をつきつけてきたのか、その真意がいまでも全く理解できていない。世の中には絶対に知らない方が良いこともあるのだ。それをしみじみ実感させてくれた、アレは幼い日の一大転機だった。もちろん俺は白紙で提出した。まだ、くたばりたくなかったので、&hellip;<br />
<br />
「またエア自伝つづってるの？」<br />
「しょうがないだろ、退屈なのにネットもマンガもないんだから」<br />
「フフ、思い出か&hellip;&hellip;。ねえ、僕たちが初めて友達になった時のこと、覚えてるかい？」<br />
「&hellip;&hellip;まあ、なんとなく」<br />
「僕ははっきり覚えてる！　キミとのコミュにすごく驚いてたんだよ。<br />
もしMAXになれたらどうなるのかなーってドキドキしてたら、<strong>人間</strong>が解禁になっちゃうんだもの！<br />
あれは楽しかったなあ。　&hellip;&hellip;きみは？」<br />
「ムドの見本市みたいなペルソナが解禁になったな。とかくスキル調整に苦労した気がする」<br />
「人間って、若いうちの苦労は買ってでもするんだっけ。良かったね、タダで」<br />
「若いうちに死んじゃったけどね」<br />
「あはは、&hellip;&hellip;じゃ僕、またしばらく眠るよ；　おやすみなさい」<br />
<br />
「&hellip;なあ、ファルロスには俺がなんのコミュにみえてた？」<br />
「え、たぶんキミと同じだと思うよ&hellip;？　げんに僕も死んでるようなもんだし」<br />
「やっぱりそうか」<br />
<br />
<br />
END<br />
</span><br />
<p style="text-indent: 9.5pt;" class="MsoNormal"><span style="font-size: 9.5pt; color: white;"><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></p>]]>
    </description>
    <category>短編（09年～/デス＋主人公）</category>
    <link>https://013txtp3.dou-jin.com/%E7%9F%AD%E7%B7%A8%EF%BC%8809%E5%B9%B4%EF%BD%9E-%E3%83%87%E3%82%B9%EF%BC%8B%E4%B8%BB%E4%BA%BA%E5%85%AC%EF%BC%89/%E5%AE%87%E5%AE%99%E3%81%AE%E6%9A%87%E6%BD%B0%E3%81%97</link>
    <pubDate>Mon, 08 Jun 2009 19:49:24 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>ある晴れた日のHestia</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
見事な欅の一枚看板が掲げられた店がある。<br />
それはポロニアンモールの広場に面している骨董品店で、数年前から女店主が一人で営んでいた。彼女は街の人々から店の名そのままに眞宵堂と呼ばれている。厳つい美貌をもつ中年の女だ。<br />
<br />
眞宵堂にあるものはみな、誰かに愛された過去を持つ。一度愛された物たちには、新品の輝きにはみられない慈しみにみちた威厳が宿る。たとえばそこにある古いテディ・ベアが湛えた表情は、魂の半分を未だ過去に置き去りにしているような、痛みを知る者の風貌だろう。<br />
<br />
その非常に大きなテディ・ベアは、ある不幸な家から引き取られたぬいぐるみだった。同じメーカーの製品が、美術品売買では定評のあるサザビーズのカタログ にも登場するほど、正しく骨董的に価値のある品物だ。ただしそのクマは、ショーケースで保護されている同胞の写真でも知られる深みのある色ではなく、全体 の毛先が老紳士の白髪のごとく色あせている。<br />
毎日のように日向で少女と昼寝をしていたテディ・ベア。日差しと人の手に触れ続けた毛色は、かつて彼が少女に必要とされた年月に染まり、見ているだけで心 が落ち着くような温もりある雰囲気に包まれていた。店を訪れる客は誰も、このクマにもたらされた悲劇には気づかないだろう。突然襲った一家全員の死によっ て、残された思い出の品々の多くと共に、そのクマは処分される運命にあったのだ。<br />
<br />
その日、親族に呼ばれた業者が積み上げた焼却炉行きの廃棄物の傍で美術品の査定をしていた眞宵堂の店主は、古道具の山に半ば埋もれた彼に気づいた。<br />
<br />
彼女の眼に、薄汚れたぬいぐるみは、幸せの日々だけを想う者として映った。持ち主が死んで自分が打ち捨てられた事も知らない。いつか望まれて、再び愛されることを信じ切っている<span style="font-family: Courier New;">―――</span>。そんな想像を巡らせた彼女は、彼を自らの手で抱えて帰り、この店に迎えたのだった。<br />
<br />
一つ一つが過去を持つ骨董に囲まれ、それらの幸福や悲劇に想いを馳せることは、彼女自身が抱え持つ傷を眺め、静かに肯き続けることに等しかった。言葉を変えればたやすく一言で済むのかもしれない。つまり、忘れ去るには手遅れの『感傷』だ。<br />
<br />
そんな古色然とした眞宵堂にも、一年のうちで少しだけ不似合いなものが入り込む季節がある。壁に掛けられた2010年の新しいカレンダーは、枯れ葉のような曲がり癖がついたまま最初のページを終えようとしていた。<br />
<br />
彼女の店に不思議な少年が訪れたのは、そんな冬の晴れた日のことだった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「この辺だったかな&hellip;？　勘だけじゃイマイチなんだよな&hellip;」<br />
<br />
カウンターで仕事をしていた店主は、前触れもなく聞こえた謎の声にはっと顔をあげた。黄色の<span style="font-family: Courier New;">―――</span>何か長い布の先が、フワリと棚の後ろへ動くのがみえた。<br />
<br />
「いらっしゃい&hellip;？ 」<br />
<br />
怪しみを抑える反動か、応対の語尾は無意識に疑問の形になった。ドアの開いた気配は無く、来客を告げるベルも鳴らなかった。いくら伝票に集中していても、 今までそれらを見過ごしたことは一度もなかったのだが。店主が訝しげに眉をひそめたとき、その客は物陰から背の高い姿を現し、店内を見回していた顔を彼女 に向けた。<br />
<br />
「ああ、合ってたんだね。よかった 」<br />
<br />
嬉しそうに微笑みながら少年が言った。<span style="font-family: Courier New;">―――</span>だがその奇妙な言葉に、おのずと彼女の眉があがる。<br />
<br />
（誰だ&hellip;。いや、何者？）<br />
<br />
思ったことをそのまま口にしなかったのは、目の前の表情がとても人懐こいものだったせいだけではなかった。<br />
この少年は、何かがおかしい。<br />
店主は鋭い視線を投げかけた。昔通り過ぎた場所に似た既視感を覚える雰囲気、でも顔自体は全く見覚えが無い初めての客だ。この街にいる高校生たちと同じ年頃に見えるのに、一体どこで売っているのかと首をかしげたくなるユニークな服装をしている。そして並はずれて明るい空色の目。全体が、まるで何かの仮装かと思えるほどの異彩を放っていた。<br />
<br />
&ldquo;吸い込まれそうな瞳&rdquo;とはよく言うが、その少年の目つきは全く逆だった。開けっぴろげな顔、無防備な硝子張りのようでいながら、そこに何も現実を読み取れない。彼自身、あたかも周囲や店主が見えていないかのようにぼんやりと視線を漂わせている。<br />
<br />
<br />
「なにかお探し？」<br />
<br />
不自然なほど長く見つめていた自分に気づいた彼女が、職分を思い出して尋ねると、そのあいだ黙って身体検査が終わるのを待つように佇んでいた少年は、大きく頷いた。<br />
<br />
「うん、もう見つかったけどね&hellip;&hellip;たったいま。<br />
あなたでしょ？　シャドウを狩る者が手にしてる神々の武器の造り手って」<br />
<br />
「あんた、&hellip;&hellip;あの子たちの仲間？　」<br />
<br />
シャドウ、という言葉を聞いて眞宵堂は仕事の手を止め、屈みこんでいた背を伸ばした。今のは、桐条の秘密を知る者の言葉だ。<br />
ならば、事は慎重を必要とする。ただ者ではないらしいその客に彼女は確認の意味で尋ねたのだが、相手は困った様子で首を振った。<br />
<br />
<br />
「いや&hellip;、違う。彼らにしてあげられることは何も無い。だけど、ぼく&hellip;」<br />
<br />
「わけが分からないねぇ。どこのどちらさん？　」<br />
<br />
「え、僕？　&hellip;ここでそれを言っても、無意味だと思うよ。<br />
<br />
いま大事なのは、きみと僕が対話できるっていうこと&hellip;<br />
&hellip;そして、僕と取引してほしいって願いを、聞き届けてくれることなんだ 」<br />
<br />
もどかしそうに胸の前で指を握りしめている。その様子からは、少年が何かを心配しているらしい事が伝わってくる。だが眞宵堂が感じていたのはそれだけでは なかった。相対しているうちに、背筋が奇妙な悪寒に襲われ始めていた。それは&ldquo;どこか遠くから、巨大な存在に呼びかけられている&rdquo;という怖ろしい感覚で、 本当に幽霊が存在するとしたら、このように見えて話すのかもしれなかった。彼女が自分の想像に息をのんだとき、少年は小さく笑い、穏やかに言葉をつづけ た。<br />
<br />
「怖がらないでほしい。<br />
きみは二つの領域に干渉できる特別な人間。僕のことだって全く得体の知れない相手じゃない筈だ。<br />
ずっと前から、きみは隠された法則を使ってシャドウや影時間に通用する物質を作り続けてきたよね。そんな技を持つ者にしかできない、頼みがあるんだ　」<br />
<br />
彼女は、影時間という普通の人間には知覚できない刻があり、日常が異様な世界と表裏であるのを認識している。かつて研究者であった店主は、桐条の怖ろしい 闇を知っていながら、迷いの森に囚われたように罪の土地から逃げ出せずにいた。師と仰いだシャドウ研究の第一人者・岳羽博士と共に過ごした記憶が、そうさせるのかもしれなかった。<br />
<br />
「この世で怖いものは人間だけさ。<br />
&hellip;あんたの言ってるのは錬成のことかい。だがあれには、無くてはならない物があるんだよ。<br />
そして、それを手に入れることができるのは、ペルソナ使いだけだ 」<br />
<br />
店主が重い口を開くと、その沈んだ表情とは対照的に、少年は彼女の頭上の何もない空間を朗らかに見上げた。<br />
<br />
「必要な物ならここにあるよ。&hellip;&hellip;ほら、」<br />
<br />
青い瞳の視線が降りるにつれ、キラキラと光の粒を放ちながら現れたのは、一枚のカードだ。<br />
<br />
「貴女にはわかるかな。<br />
このカードはね、ある影の中に生まれた、&ldquo;願い&rdquo;そのものなんだ。<br />
ペルソナ使いとの勝ち負けじゃなく、自分の意志でこうなることを選んだ&hellip;&hellip;シャドウのね　」<br />
<br />
シャドウが？　そっと囁いた店主が広げた手のひらの上に、カードが舞い落ちる。<br />
<br />
「これは&hellip;&hellip;&ldquo;星&rdquo;のアルカナだね」<br />
<br />
「貴女は知ってるはずだ&hellip;。<br />
ペルソナがなんなのか、そして星の意味も。<br />
シャドウだって自分が望む者に変われるって可能性&hellip;　&hellip;それを、この世界に残したいんだ。<br />
協力してくれないかな&hellip; 」<br />
<br />
<br />
「あんたが欲しいのは武器じゃなさそうだ。<br />
何がお望みなんだい？」<br />
<br />
尋ねた彼女の声に不審を通り越した興味の色を認め、少年はフッと気配を和らげた。<br />
<br />
「分かってくれてありがとう。<br />
実は、そのカードで、とても淋しがり屋の小さなレディーが喜ぶものを作って欲しいんだ。<br />
それが、彼の願いだから　」<br />
<br />
<br />
（頑張れ&hellip;　ずっとキミを見守ってるよ。）<br />
<br />
不思議な少年は、店主の手の中で光り瞬くカードを見つめた。<br />
その唇には励ますような微笑が浮かんでいた。<br />
<br />
<br />
<br />
END<br />
<br />
<br />
<br />
※　Hestia　<span style="font-family: Courier New;">―――</span>ギリシア神話の、炉と炎の女神。<br />
<br />
<br type="_moz" />]]>
    </description>
    <category>ある晴れた日のHestia （09年2月/綾時・眞宵堂/P4クロスオーバー）</category>
    <link>https://013txtp3.dou-jin.com/%E3%81%82%E3%82%8B%E6%99%B4%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%97%A5%E3%81%AEhestia%20%EF%BC%8809%E5%B9%B42%E6%9C%88-%E7%B6%BE%E6%99%82%E3%83%BB%E7%9C%9E%E5%AE%B5%E5%A0%82-p4%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%EF%BC%89/%E3%81%82%E3%82%8B%E6%99%B4%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%97%A5%E3%81%AEhestia</link>
    <pubDate>Thu, 21 May 2009 20:39:12 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>Sword. 旅立ち</title>
    <description>
    <![CDATA[<span style="font-family: Courier New;"><br />
</span>
<div style="text-align: center;">&nbsp;</div>
<span style="font-family: Courier New;">
<div style="text-align: center;">&nbsp;</div>
<font color="#800000">
<div style="text-align: center;"><font color="#cc0000"><font size="2">我をくぐりて　汝らは入る　嘆きの町に <br />
我をくぐりて　汝らは入る　永劫の苦患に<br />
我をくぐりて　汝らは入る　滅びの民に<br />
<br />
<br />
正義　高きにいます我が創造主を動かす<br />
<br />
<br />
我を造りしは　聖なる力<br />
いと高き智慧　また第一の愛<br />
永遠のほか　我よりさきに造られしもの無し<br />
<br />
我は永遠と共に立つ<br />
<br />
一切の望みは捨てよ　我をくぐる者<br />
</font></font></div>
</font><font color="#cc0000"> </font><br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<font color="#666666">I'll<br />
Burn My Dread<br />
Burn My Dread<br />
</font><br />
音楽は．．．<br />
歌はとても美しい嘘だと思う。<br />
<br />
<font color="#666666"><font color="#666666">Burn My Dread<br />
Burn My Dread<br />
</font><br />
</font>リフレインは急き立てる。<br />
新しい場所に行かなきゃいけない、不安や諦めなど消してしまえと歌う。<br />
<br />
正直言って．．．<br />
（今度は何をされるのか。）　そんな事ばかりが不安で。<br />
（どんな怖ろしい人間たちがいるんだろう。）　落胆の暗さに頭がいっぱいで、何も眼に入らない。<br />
<br />
常に離れたことの無い不安が食い込み、息苦しいまでに胸を締め付けている。<br />
まだ見えない何かのために、何度も背に冷や汗が伝う。<br />
<br />
俺の内心と同様に、外も嵐と雹が吹き荒れるべきだと呪いながら。<br />
駅へ歩いた。<br />
<font color="#666666"><br />
<font color="#666666">THERE&rsquo; NO MAN&rsquo;S LAND　NO MAN EVER SURVIVED<br />
INVISIBLE HANDS&rsquo;RE　BEHINDS YOU JUST NOW<br />
IF YOU EVER WIN THAT　RACE AGAINST RAGE THEN<br />
YOU&rsquo;LL BE THE KING COZ　IT&rsquo;S NO MAN&rsquo;S LAND, FOR REAL</font><br />
</font><br />
もう三ヶ月が経ったのか。<br />
一番怖ろしい義父さんが突然いなくなってから。<br />
<br />
．．．まだ、信じることが出来ないでいる。<br />
眼はあの人の居ない空白を見ていても、記憶はあの手に握られていて、<br />
こうして歩いていても義父さんをずっと背負っている。<br />
．．．不思議な感覚がする。<br />
<br />
形ばかりの葬式のあとに連れて来られた、遠い親戚の家。<br />
いまだに、両親との繋がりを把握できていない。<br />
（そこまで離れてたら、既に他人じゃないだろうか。）<br />
紹介されたとき、身の程知らずにそんなことを考えた。<br />
心の中で。<br />
<br />
一人暮らしだったおばさんは、親切な人だった。<br />
俺のことに無関心という親切が、とても嬉しかった。<br />
生活が大変らしく、きっと俺なんかに構う暇は無かったんだと思う。<br />
<br />
<font color="#666666">THE MASK IN HEAVY RAIN　ULTIMATELY SLAIN<br />
MAKE SHADOWS SLAVE　WHAT THEY DONE IS IN VEIN<br />
CARRYING AK-FORTY-SEVEN　TWENTY-FOUR*SEVEN　BUT<br />
YOU&rsquo;VE GOT ELEVEN　PERSECUTED BY HEAVEN</font><br />
<br />
最初から、選択の余地などなかった。<br />
月光館学園という名の高校から来た招待を、もう決まった事として話すあの人に<br />
．．．俺が返せる言葉は、何も無かった。<br />
<br />
ただ、うなずいた。<br />
<br />
<font color="#666666">COMES FROM THE DIRECTION　NO INDICATION<br />
YOU&rsquo;VE GOT TO　TO LET IT MOVE FIRST<br />
LET IT OUT, LET IT DOWN, LET IT INSIDE LET LOOSE<br />
LETTING LETTING DAMN DEPRESSED　LET&rsquo;S GET UP<br />
</font><br />
そのことに、少し安心している。<br />
自分で決めずとも、こうして俺を押し流してくれるルール。<br />
<font color="#808080"><br />
Burn My Dread</font><br />
<br />
先生が握らせた口止めの金で買った<br />
この小さな装置が、俺が選んだ&ldquo;嘘&rdquo;を繰り返している。<br />
<br />
<font color="#666666">THEN WHICH GOTTE DO IS TO 　DROP THE HAMMER DOWN<br />
DROP RHYME DROP HAMMER　DIGGING LIKE A LABOR<br />
YOU&rsquo;VE GOT BLOOD ALL OVER　ASH ALL OVER<br />
SPIT IT OUT SION　GAME&rsquo;S OVER</font><br />
<br />
『恐怖を焼き尽くせ　』<br />
<br />
――そんな不可能を命じるこの歌をエンドレスに流し、現実から耳を塞ぐ。<br />
<br />
ずっと眠っていたあいだに、卒業式は過ぎ去っていた。<br />
昨日は、高校の入学式だった。<br />
らしい。<br />
<br />
<font color="#666666">Burn My Dread<br />
<br />
TEAR UP YOUR FEAR　THE END IS COMING NEAR<br />
SPIT IT OUT LILQQSRAR　I&rsquo;LL BURN YOUR　DREAD<br />
<br />
</font>何も考えなくても、道は示される。<br />
ただ眼の前の恐怖をやりすごせばいいだけ。<br />
<br />
<font color="#666666">Burn My Dread<br />
<br />
NO SOUL ROBUST ALL DUST　WE BUST<br />
JUSTICE TO THE MAN WITH NO LIFE<br />
</font></span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;"><br />
人生</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">ライフ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">なんて言葉は嫌いだ。<br />
<br />
振り返る価値のない過去。<br />
夢から覚めて、生きたい道がみえない</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">現在</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">いま</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">．．．<br />
<br />
こうして、終わりの海へ流されていく。<br />
まやかしの河だけは俺を見捨てない。<br />
そのことに安心している。<br />
<br />
<font color="#666666">Burn My Dread<br />
Burn My Dread<br />
</font><font color="#666666"><br />
</font>ヴォーカルは歌う。<br />
<br />
不可視の御手が俺の背に迫る。<br />
終わりは近い。<br />
<br />
お前の恐怖を焼き尽くそう。<br />
<br />
焼き尽くしてやろう。<br />
<br />
<br />
東京。<br />
頭狂。<br />
凍今日。<br />
<br />
<br />
何が起きようとも。<br />
生きるか死ぬか。<br />
<br />
命の死亡率は100%だ。<br />
<br />
晴れの日か、雨の日か、<br />
違いなど、それだけ。<br />
<br />
それだけだ。<br />
<br />
<br />
<br />
</span>
<div style="text-align: center;"><span style="font-family: Courier New;"><font size="1" color="#fc4203">冒頭：ダンテ『神曲』地獄篇第三歌</font></span></div>]]>
    </description>
    <category>死神異聞録 （～07年5月　過去編/P2微クロスオーバー/18話/★◇◆）</category>
    <link>https://013txtp3.dou-jin.com/%E6%AD%BB%E7%A5%9E%E7%95%B0%E8%81%9E%E9%8C%B2%20%EF%BC%88%EF%BD%9E07%E5%B9%B45%E6%9C%88%E3%80%80%E9%81%8E%E5%8E%BB%E7%B7%A8-p2%E5%BE%AE%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC-18%E8%A9%B1-%E2%98%85%E2%97%87%E2%97%86%EF%BC%89/sword.%20%E6%97%85%E7%AB%8B%E3%81%A1</link>
    <pubDate>Tue, 31 Mar 2009 14:36:36 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>Cup. 神愛なる君へ ★◆（主受け／輪姦）</title>
    <description>
    <![CDATA[<span style="font-family: Courier New;"><br />
<br />
消したかったすべてが荒廃していく。<br />
<br />
<br />
その時、プレイヤーの終了を告げる0%のラインが、眼の裏に焼きついた。<br />
扉が開き、教師が渡り廊下に通りかかった、なのに、集団に囲まれてる俺をみたとたん下をむいて立ち去った。<br />
瞼を無理やり閉じても赤い。暗く赤い爛れた感覚が突き刺して止まない。<br />
卑怯な腕が俺の体をつかみ、強引に押さえつけ自由を奪う。羽交い絞めにして引きずっていく。<br />
<br />
外れたイヤフォンが身体を滑り落ちていった。<br />
強弱の激しい音声で聴覚だけでも日常をかき消せた気がしていたのに、今は乾いた音に囲まれ、心の中までかさついた。耳に入ってくる全ての音が、不快を極めていく。<br />
<br />
舗道にクッキーがバラ撒かれた音。乾いて濁った雨の水音。俺は悲鳴を消したかった。耳の奥まで伝わり、震え続ける悲鳴。か細い呼吸。<br />
吐く息。吸う音は聞こえない。暗闇の中で少しづつ絶えていく、命の音．．．<br />
<br />
生死の境目にある淵に辿り着いたようなものだ、と認識した瞬間から、緊張が高まった。静けさの中で、生きてきた記憶をたどり、振り返ろうとすると、砂嵐のノイズに満たされた。<br />
記憶から滲み出す音など聴きたくない。<br />
爆炎の音は全てを奪った。俺から光に属する全てを奪った。あたたかなもの。優しいもの、静かなもの、綺麗なもの、美しいもの、未来を見つめることの出来る眼。考え抜く勇気の全て。<br />
それは限りなく俺からロストした。<br />
<br />
もう遅い。失った罰になにもかもが汚れた。みなで俺を責めたてる狂った音が、内側から俺を取り囲んでる。こんな風に考えてるときのノイズさえも暗闇の執行人だ。自分の声、頭に響く声も、誰の声も聴きたくない。責めるのをやめてと叫びたい。こんなに叫んでるのに、もうやめて、駄目なんです、無理です。もうやめてください。死んじゃう。みんな卒業式の練習、してるのに、どうして。どうして俺だけが。蛍の光。聴こえてる。聴きたくない。やめろ、俺にリアルをきかせないでくれ。そんな酷いことしないで。やめて、もうやめて。<br />
<br />
のっけから</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">鳩尾</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">みぞおち</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">を殴られた。にやにやと笑いを浮かべた連中の、汗臭い制服の間で、押し競されて蹴られた。<br />
何本もの腕に、意思とは別に、どこかに運びこまれた。ブレる視界に写ったのは、屋内プールの天井に反射する、</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">極光</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">オーロラ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">だった。<br />
<br />
投げ出されてよろめき、転んで膝がずった。<br />
顔を上げて見渡したプールサイドには、助けになってくれそうな人は誰もいない。<br />
みんな講堂で儀式の練習。いると期待するほうが愚かだ。<br />
――本当にいなくて良かった。どうせ見捨てられるさまを味わうだけ。無駄だ。<br />
<br />
後ろから胸ぐらをつかまれた。ベルトが引き抜かれる鋭い摩擦。腰が妙な方向に曲がり、背の筋が引き</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">攣</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">つ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">る。ぐらつき振りまわされながら、首を打たれ、肌と肉が火を噴いた。頭を太い皮の鞭で斬りつけられ意識が一瞬で焦げ尽きる。悲鳴をあげたかもしれない。誰にも届かないサイン。いつだって。いつだって。骨が外れてしまいそうになっても引きずり回される。何人だろう、10人以上は居る。今までで一番酷い仕打ちをされそうなのは確実だ。もう、息の根を自分で止めてしまいたい。この先を知る前に、想像したくもない蟻地獄に堕ちる前に、俺に速やかな死を。歯の間に舌を挟んだ。この世で最後の息を覚悟して、吸ってとめ、<br />
<br />
<font color="#666666">　<font size="-1">負けないで</font></font><font size="-1"><br />
<br />
―――でき、ない。　どうして顎が動かない。早く死なせて。<br />
なぜだよ、俺はもう、何も。<br />
おれにはなにもない。　なんにも、知りたくはないのに。<br />
<br />
意思に背いた下顎に取り乱した。周りと違うルールに縛られたまま、床に倒されて四つんばいを押し潰された。顎がざらついた床にこすれ、乾いた消毒剤の匂いが鼻を刺す。わき腹に重い衝撃がきた。破れたみたいに嫌な音の響き。蹴り上げられ、た。痺れが背筋を伝い、ぐうっとこみあげてきたものを吐いた。ボトボトと滴り落ちる苦さを止めたくてくいしばった。びくびくと瞼が瞬き、視界がぼやけかすんだ。眼球がこわばり、痛さのあまり眼を閉じられない。一目では何人いるか分からない程の足がみえた。制服の脚。ソックスの足首。薄汚れた色とりどりのスニーカー。解けかけた紐。<br />
<br />
多い。多すぎる。どうして、こんな．．．　地獄だ。（まさか、いやだ、ぜんぶ．．．）　嫌悪が胃の底で泡立ち膨れ上がり弾けた。苦しさに息を吐いたとたん、焚き火に手を突っ込んだ火傷のような痛みが刺した。（．．．ッ！）　誰かの硬い踵が手を踏んでる。指を千切られ、手の甲が挽き肉にされているような痛みに声を失くした。俺の唯一が壊される。（だめだ、逆らうな、）　こらえた代わりに片脚が床を蹴ってしまった。靴先がなにかに当たってはずんだ。心臓が罪にびくついた。大変なことをしてしまった。誰かを蹴ってしまった。動揺で自分の表情が青ざめていくのが分かるほどだった。爪と胃の鈍痛だった部分からさえ汗が流れ始めた。<br />
<br />
ひたひたと暗さが、</font></span><font size="-1"><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">赫</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">あか</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">いノイズが、這い寄ってきた、―――<br />
<br />
「くそ、そっちの脚だれか、押さえとけっ　」<br />
「ッてぇ、くぉら！暴れてんじぇねーよ、全部ズタズタにされてーのか　」「ボコったれ、」<br />
<br />
「―――うあ、あぅッ<br />
．．．ご、ごめんな　さい、ごめんなさ、　ッぎゃう！　」<br />
<br />
「．．．お前、転校生なのにまた遠くに引越すんだってな。<br />
でさ、送別会してやろーと思ってさ　」<br />
「おれらって優しいべ？　どぉせクラスじゃしてくれねーんだろ？　冷たい奴等ですねえ　」<br />
<br />
「げほッ、ぐ．．脱ぐ、から．．<br />
お、お願いします、指だけはやめてッお願い、何でもする、待っ、」<br />
<br />
「まじ笑えるー。バカじゃね？　お願いは高くつくってお約束ですよ　」<br />
「何でもかぁ、ソソるね　」<br />
「ぎゃはは脱ぐとかゆってるし、すっげー、なんか熱くなれるわ、これ　」<br />
「やらしいよな、コイツ　」<br />
「お前さぁエンコーしてるってマジ？<br />
ねえねえ、　女みてーなカオしちゃって、親父のちんぽまで咥えてるわけ？」<br />
「おら、答えろや　」<br />
<br />
「っは．．．はい、してます、――ぐっ　ッ痛う、　．．．う。うッ、」<br />
<br />
「何蹴ってんだ、」<br />
「なんか超ムカついた　」<br />
「嫉妬か？　」<br />
「だろ？　」<br />
「野郎相手にマジんなるなって、」<br />
<br />
両側の頬を掴まれた。（始まるのか、）芯が怖れに痺れて縮こまる。覗き込んだ顔は、違うクラスの奴だった。まえにトイレでやられたとき、胸を酷く噛まれた。あの歯形は、いまも消えずに残ってる。<br />
<br />
「さっすが俺らのしゃぶり姫だなぁ、人気者！　」<br />
「むしろ、なんでこんなムラムラさせてんのか。しかも男ばっかって驚いてるオレが居る　」<br />
「つか、ここに居るの全員、北川くんの抜きテクの大ファンですからー、勢ぞろいか？　これ　」<br />
「たぶんそーだべ？　ってことでぇ、最後に頑張ってイイ仕事してくださいね、彰くぅん？　」<br />
<br />
下卑た笑い声がどっとわいた。<br />
知ってるはずだ。音なんか無意味だ。どうあがいても。言葉なんか、あっても無くても同じだった、いままでずっと。<br />
腕を解放されてすぐ、肢の奥を殴られた痛みがきた。咳き込んで苦い汁が溢れた。とにかくしないと。あれをやらないと。全員の埒をあけて、終わらせないと。痛くて曲がってくれない指で学生服の</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">釦</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">ボタン</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">を探った。服を汚される前に、急いで。指、震えてないで、動いてくれ。急がないと、早くこいつらをなだめないと。<br />
<br />
「あ、オレ今日の撮っとこ、」<br />
「お、代わりによろしく、ケータイ忘れた　」<br />
<br />
冷たさが脚に染み込んで辛い、けれどプールサイドに座り込んだ。なんとか詰襟の上を脱いで、誰もいない方角に投げた。携帯のシャッター音、単純な音、軽やかなメロディ、どれも等しく耐え難い。最低限の誇りさえも削り剥がす音、ただ耳を塞ぎたい。痛みの熱が頬にあがって、じんわりと眼を濡らした。反対に寒々と</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">殲滅</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">センメツ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">する身体。眼の端に鮮やかな水色。瞬きを繰り返して、ワイシャツの前を掴んだ。指をさすって感覚を甦らせ、また</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">釦</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">ボタン</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby></font><span style="font-family: Courier New;"><font size="-1">外しに専念する。（何も考えるな。）胸が不穏に高鳴り、動悸の激しさを増していく。<br />
<br />
「ヒャはッ　コイツよぉ、体育の先公にガッツリ掘られてたらしーッスよ？　」<br />
「あのスメルマン？　」<br />
「あんたソレ情報古すぎ。だいぶ前にE組の奴等から写メ廻ってきた　」<br />
「ダセぇ、ハブられてやんの。つか臭ェ　」<br />
「えー、ゆっちゃっていい？ゆっちゃっていい？　．．．おれ、コイツとエッチしたことあるしー！　」<br />
「ぐお、まじで？　勇者だ　」<br />
「勇者スゲー　」<br />
「どんなん？　」<br />
「結構エロかった。反応絶妙やった　」<br />
「まじか　」<br />
<br />
頭が朦朧としてきた。なにか訳が分からない、ふぅっと意識が離れそうだ。でもこの声は、一度に五回も出した奴に似てる。腹を壊すぐらいがむしゃらに突いてきて、あの時は精も根も尽き果てた。（だからなんで．．．）考えるな。終われば、終わりさえすれば。俺はここから離れて、別の場所へ行ける。<br />
胸元をはだけて、迷った。下も脱いだほうがいいんだろうか。（．．．抜きだけで済んでくれれば、）気配だけを探ろうと、眼を合わせないよう気をつけて、囲んでる奴らの気配を嗅ぎ取るろうと試みた。ふてぶてしい嘲笑を浮かべ眺めてる奴、順番が待ちどおしくイラついている奴、自分の欲する奉仕を妄想しギラギラした目で虎視眈々とすでに視姦を始めてる奴。人数が多いだけじゃない、それぞれに只ならぬ気配を感じた。あちこちの痛みが血の流れに混じってひろがり、全身で鼓動を打つ。<br />
<br />
「後でハメ撮りみせちゃる　」<br />
「カムアウト大会突入？　なら僕もー、週イチでイタダいてました！ごち！　」<br />
「．．．勝った。週２だわ、」<br />
「うお、ヤッたやつ手ぇあげろや　」<br />
「うい　」<br />
「ほい　」<br />
「えっ、じゃあ、実は．．．　」<br />
「てめーもか！　」<br />
「おまえ彼女いるじゃんね　」<br />
「いやあ、なんつーかテイストが、ちゃうっていうか、」<br />
「ちょ、ソムリエかよ、」<br />
「なにげに最後までいっちゃったよなー、」<br />
「わー俺たちみんなマラ兄弟．．　」<br />
「ちょ、どんだけー！　」<br />
<br />
どこまでも、沈められていく。貧相なストリップはわざとらしく無視され、進んでいく。声と体格の記憶の限りでは、ここにいる殆どの奴は、俺を最後まで経験した。その後もずっと、個人的な味を、この体に挿れてきた奴ばかり。ベルトはもう奪われて誰かの手の内だ、　ノイズ．．．？<br />
<br />
「なんたる、殆どかよ、．．．ッ腹いてえ　」<br />
「笑いすぎ、わらいすぎ、」<br />
「マックスレベルで笑った　」<br />
「くっくく、おれもーその節はゴチでした、いきなりゴムなしファックでごめんねー、アキラちゃん　」<br />
「こりゃもう、みんなで輪姦すっきゃねーだろ　」<br />
「最初からそれ言いたかったんだべ？　」<br />
「バレタ？　」<br />
「これが最後かぁ。オレ一番でよくね？　まだ北川のケツでイッたことねーし　」<br />
「グッバイ童貞、アナルで　」<br />
「筆おろし？　」<br />
「ちがーう！　」<br />
<br />
耳の奥で唸る蜂。これはノイズだ。ズボンの釦をはずしてジッパーを下げようとしたとき、両腕をとられて起こされた。唐突に、半勃ちになったのが鼻先に突きつけられた。密かな笑いが首筋を逆撫でた。急いで顎をあげて口を開けた。必死に舌をのばして肉に触れた。露払いの滴が滲んで甘い味がした。その様子をみて奴等は腕を放した。片手をついてひざまづき、俺は愛しなれた神を手繰り寄せた。（人喰いのおうさま．．．、）　鼻腔に馴染んだ蒸れてる性器の匂い。うぞめいた視線が無数の触手みたいに絡みついて頬に毒針のように刺さる。暗さが心に溶ける。（死にたい。）諦めきってる心の底がそれでも生を求める。壊れては駄目だと。冷えた闇に呑まれてはだめだ。そう、特別な音域をもつ声が叫ぶ。<br />
顔無き幻影．．．　雲の隙間から碧いろの光が零れ、眼の奥を満たした。<br />
<br />
</font><font color="#666666"><font size="-1">　生きて</font></font><font size="-1"><br />
<br />
．．．なにが、俺を引き止めるんだ。<br />
何を守って．．．<br />
<br />
いっそ破滅してしまいたいのに、<br />
負けまいと涙を流させるこの衝動は、いったい何なんだ。<br />
<br />
悲しくも無いのに、流れるこの涙。<br />
<br />
言葉のかわりに、俺を慰める、この温かい流れ。</font><font size="-1"><br />
<br />
<br />
<br />
――わかった、　．．．、放さない、いまはまだ、<br />
<br />
「．．．ッ、」<br />
<br />
腹が痛い。（．．．ぅう、）胃が破れたみたいに。<br />
．．．この一本目に狂った振りをして時間を稼げば、<br />
いま全身を蝕んでる打撲の痛みを、やりすごせるかも。<br />
<br />
触られる前に額の髪をかきあげて、顔を見せた。俺がどんなに熱心か、同級生たちに全部見えるように。強張りに手をそえてうっとりと</font></span><font size="-1"><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">耽</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">ふけ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">った目つきを作り、首をかたむけてくちを開けた。空気がなだれ込み、</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">呼吸</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">いき</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">が苦しくなり、むせた。こらえて丸みを帯びた先端に小さく舌を穿(うが)ち、大好きなものにするような濡れたキスをする。鼓動に震える器官に頬擦りをして、閉じた睫毛で表面を刷く。湿った嗤いが空気を震わせた。それには心を閉ざした。流れのままに歯をかすらせて粘ついた皮をむく。青臭さに酔いしれてみせ、吐息でそっと包んだ。強く押し付けた舌の全てで、膨らみ始めたサオの曲面をじっくりとなぞり、裏がわをこする。ため息が聞こえ、硬さの諧調が変わった。ぶるっと震えて莢から飛びぬけた初々しい茎を、指を閉じて軽くしごき、くちびるで横咥えにして吸った。同い年の性器は、白髪まじりでシミの浮いたモノより遥かにきれいだと素直に思う。だから、自ずと扱いが優しくなった。核心には触れず、長い時間をかけて丁寧に吸いながら、舌で頬の内側を押した。唾液が出て、たくさん濡らして潤ませるように。体液の温もりであたためていく。相手が、大きな息づかいになり、身体に汗を滲ませているのを感じた。<br />
耐えられるほどには、体の痛みが引いていった。焦れさせすぎては、後が怖い。俺は反り返りを握り、手首をつかった。（っまだ指、しびれ、）手を休めずに、皮が綴りあったスジ腹を、顔の表面も使ってめちゃくちゃに舐めまわした。あちこちから自分以外の誰かが、唾を呑む音がした。<br />
<br />
<br />
もう少しでこいつは、限界を迎えそうだ。<br />
プラムみたいに張り切った先端を甘く口に含んだまま見上げ、いつものお願いをする。<br />
<br />
「よかったら俺のくちに、．．いっぱい出して。　．．っぜんぶ飲ませて、」<br />
<br />
ふいに下顎が誘惑に震えた。<br />
いま思い切り閉じれば。　いまこれを、前歯で斬首してしまえたら．．．<br />
<br />
「．．．っぅ、　．．．ああ、めちゃいい、すげえ、」<br />
<br />
鼻の穴を膨らませて息みながらそいつは、俺の肩にかけている手をぎっと引き寄せて、貪るように腰に力をいれ、押し付けてきた。何度か抜いてやった相手だから、俺が髪に触られると発狂することを知ってる。気遣いとはよべないかもしれないその思いやりに、かすかな感謝が肩に降りた。舌のおもてを波打たせ、口蓋で刺激して咽喉で先端をはさむ。もう俺とセックスできるくらいに硬くなってる。性感だけに向けられた歪んだ愛しさが、下腹を</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">漲</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">みなぎ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">らせたのを感じた。（淫乱だ．．俺は、）　諦めが疼き、眼を閉じてそのまま唇を強くしめた。突き入れに反動して、激しく首を動かす。深くより深く、柔らかい皮をこすり、（ふっ．．．ん、　）必死に舐め、しゃぶる音をたてた。このまま息など絶えてもいいから、もっと奥へ。<br />
<br />
「うぉ、　．．．あああ、なにこれ、まえよかっ　．．．ッいく、　」<br />
<br />
咥内の怪物は死に近づいたかのようにエクスタシーにのたうち、まるで精魂のかたまりのようにうごめく。<br />
俺はくちをすぼめてきつく吸い、祈りにも似た思いで待ち受けた。<br />
動きを止めると同時に、引いていく汗。ぐっしょりと湿ったシャツがはりついて素肌を引っ張る。<br />
振りすぎて揺れた脳の眩暈。胸が、くるしい．．．<br />
<br />
（．．．っ、　んく、．．．ん&quot;　ぅ、）<br />
懸命にひらいた咽喉の襞を鼓動のリズムで温かく打つ、柔らかな汐の水。自分がどこの誰かを知らない&ldquo;これ&rdquo;は、まるで生まれたての命みたいなものだ。誰かに繋げて血を続かせたいと願う本能は、人間自身より強いかもしれない。それなのに不自然な代替行為によって狩られ、本当の半身を見失なったまま俺の一部になってしまう。哀しい彼ら。<br />
生まれてすぐに壊される途切れた循環の嘆きが、胃へと垂れ落ちていく。<br />
<br />
「．．．はは、いつ見てもすげーな　」<br />
「げら、アイツたれながしてイってやんの　」<br />
「わーなんか見てたらオレ、もうバキバキんなった　」<br />
「つぎ、おれでいい？　」<br />
「空気よめよなー。つかもう、おまいらズキュン状態？　」<br />
「いけそな奴から穴使えばいいんじゃね、」<br />
<br />
射精が絶えた。脈の静まったものをゆるく引っ張るように絞り、唇から解放した。<br />
息をついて最後の雫を飲み込もうとしたとき、大きな手に顎を捉まれた。「．．．ッ？　」<br />
<br />
「へへ．．　みしてよ、くちん中、」<br />
<br />
うなずいて、大きく開けた。舌を差し出して、上に絡んだ白濁を見せる。じわっと下くちびるに温みが垂れた。子供の頃と違い、ちょっとやそっとでは疲れなくなった。自分の顎の慣れに、苦笑にも似た凍える自嘲が射す。命令した奴は、俺の顔をみてごくっと咽喉仏を鳴らした。男達が興奮して近づき、俺を囲む輪は狭苦しくなっていた。誰彼ともなく奴等は目配せをしあった。（くる．．．、）無言のまま、誰かの手が前から首をつかんだ。<br />
<br />
後ろに倒され、後頭部を守ろうと挙げた手が他の誰かに</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">縛</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">いまし</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">められる。いきなり身体を伸ばされて肋骨がきしんだ。はだけてる脇腹に触れられ、びくっとなる。さっき蹴り上げられた薄い皮膚の場所を、硬い髪の誰かが噛み付き、むしゃぶりついた。吸われた疼痛でえぐられ、一思いに破られるのではないかとぞっとする。くすぐったさと交じり合って強烈に高まる感覚に肺がふるえ、咽喉が声をあげた。<br />
<br />
「い&quot;　ハァッ　．．．はァ、痛、．．んっ、」<br />
<br />
「えろい声、」<br />
「コーフンさせんな、」<br />
「下脱がせろ、はやく！　」<br />
<br />
金属のきしむ音がし、腿のあいだに冷やかな空気が忍び入った。布地を捲られていく肢を曲げて腰を突き出して浮かせた。尻横の肉が引き攣る。痺れをくいしばりのけぞった。床にじゃり、と髪がこすられる。べとべとにされた脇腹から口が離れると、なぜか物欲しげに皮膚がゾクゾクしてしまう。悶えたくなり肩をすくめて身体をひねった。粗雑に下げられたトランクスに、先端が引っかかった。「ぅアッ、．．．」こすられた感触にのどが絞まり息が震える。<br />
<br />
「お、勃ってる　」<br />
「フェラしながら感じちゃって、まじガチホモなんじゃねーの　」<br />
「こいつ突っ込んでやったらすぐトコロテンすんだよ。　なぁ、彰？　」<br />
<br />
靴が抜かれ、脱げかけのワイシャツだけを残して、なにもかもが沢山の視線にさらされた。こんなに大勢を一度になんて、さすがに無かった。凄いことになってしまいそう。ざらつく床と肉に挟まれた後ろが怯え、肌が熱くなる。気味悪いほど心臓が痛む。強姦で死ぬって、あるのかもしれない。これだけ居れば、誰かが疲弊した俺を突き破って、そうしてくれて、（もしそうなったら．．．）あたまがもやもやする。震える瞼を閉じた。高い天井の鉄骨。骨組みのあいだで極光の白が踊っていた。眼球の中に閉じ込められたそれは、暗闇に融けた白光の円になった。（おつき　さま、）両足首を引き伸ばされた。手首も束ねて伸ばされ、身体が浮きあがってみしみしと骨が鳴る。関節が今にも抜けそうで、また苦い泣声がこみあげる。床に</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">展翅</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">てんし</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">され、虫になった身体の上を影が覆い、誰かの冷たい指が無性にずきずきする下腹部の裏を拡げた。音は聞こえない。なにも。<br />
<br />
額の裏側で霞むエメラルドの空。妖貌が放つ月光に貫かれていく。「う&quot;っ、う、」遠い幻影に痛み、心で胸をかきむしった。この苦しみを消してほしくて、限界まで膝を開いた。つま先まで感覚を伸ばし、指先を握り締める。（ずッ、ずズず、）要求が伝える鈍い振動。ぎりぎりと</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">喚</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">わめ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">く、濡れない俺の身体。なめらかに呑み込めるよう、必死に孔を開いた。こんな時だけ忠実な骨肉は、男を受け入れる姿勢をとらせてくれた。なのに、がむしゃらに腰を送り込まれ、ぶつんという音がした。「痛っつあ！　」古傷が裂けた痛みが切りつける熱さ。息をのみ、肉が締まり引きつった。溢れそうに疼く泉を裏から衝かれて身体が揺れ、のどが濡れた声を漏らした。欲情が集まってくる。神経にたかり、寄生した精虫たちがうごめく。「はぁっ、ああぁ、」　唇が昂ぶり震え始めた。首をもたげ舌をだして誘い、俺は堕落を受け入れた。くちのなかが満たされてうれしい。のどいっぱいに肉の</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">轡</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">くつわ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">が動く。舌ですがりついた。頬の裏を突かれる。引き伸ばされた身体が、鼻でしかできない息が苦しい。下は快感を欲した雄に奪われ、引き抜かれ、ねじ込まれるたび、摩擦と血で、環が熔けそうになる。初めて犯されたときから、身体はたびたび血を流した。時計の針も朽ちて落ちそうなほどの時間を、無数の男の肉が俺の血に濡れて通り抜けていった。<br />
．．．咽喉もとまで熱い欲望でいっぱいになるほど、絶えては　襲い、<br />
<br />
（うッ．．っあう、あ、ああっ、．．あ、あはっ、）<br />
<br />
肢を思い切り閉じてぎゅっとひくつきじっくり味わいたい。欲求がつのりきって、頭に、白く先を濡らした自分の怪物がみえるみたい。虐められて嬉し涙を流してる、馬鹿で滑稽な俺の性器。こんなもの、叩き潰して、失くしてしまえたら．．．<br />
気を飛ばしてるあいだに放たれた、たくさん。溢れかえ、る。啜り上げた。性器の味ごと飲み下す。ぬるり、引き抜かれた。次に塞がれる寸前に吐いた息、微空がちらばる胃に溜まっている臭い。写す音、おと．．．<br />
広げられて突き上げを喰らい、裂けそうな脚の奥で、熱い産声が</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">迸</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">ほとば</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">った。深く刺さった</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">臍</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">へそ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">の下でびくびくもがいてる、太い断末魔．．．もじもじと隙間をよじり合わせて握りしめる。そして緩める。限界を超えて痛む傷。ヒリつく傷口に精子が群がり、細胞に殺到してるのではないかと思うほど。体はせがみ、どうしようもなく性感を欲しがって滲む。腰が揺れてしまう。こんな身体を罰したい、なのに繰り返し欲しがり、脚のあいだを痙攣させてしまう。もうこんなの、（狂ってる、）俺のやり方、気に入ったんなら、出し切るまで離れないで．．．くちとお腹、いっぱい、いっぱい欲しい、ちょうだい（っあ、まだ、ッまだ、太いの．．．イッ、いて、俺のなか、に、）おれにのませて、いっぱい。　．．．<br />
<br />
とつぜん、重力がおかしくなり。床に落とされた。肺が、心臓が、振動で止まりかけた。腰の後ろがバウンドして鈍痛が炸裂し、た。眼に映りこんだライトが歪んだ。二重に、眼を焼く白さ、しろいへや、「げほっけほ、　はぁッ、はぁッ　ハァッ　はッ、」　し、死にたい。止まって心臓、もうこんなのムリ、いたい、からだじゅう、いたい　よ。　じくじく、おしりから、でていっちゃう。ぼくのいいこと、（女が悲鳴をあげた。）ほんとうのだっこ、いっしょに、ないしょのやくそく、へびの、どくが、<br />
<br />
「　　　　ハハ　　　がい　　　　でる　　　」<br />
「　　　　　　　バキュームたまんね、」<br />
「ぎゃはは、次オレがいくまでなー　」<br />
<br />
「いた、い。だれっ！？　髪つかまないで、いやだ、やだあ、やだあああー！！　」<br />
<br />
「うわ、って、何だいきなり、」<br />
「あ、髪やばい、こいつキチガイモードんなる　」<br />
「あっ、ちょおいいことひらめいた、プールに突っ込んで頭冷やしてやれば？　」<br />
「らじゃ、」「そっち、持って　」<br />
<br />
「やめてえっおとうさん、やめて！やめてっ！　」<br />
<br />
怖い、こわい、お父さんの痛すぎて、<br />
<br />
たすけて、おとうさんたすけてッ！<br />
おと、さん、ぼ、ぼく、おしり、どうなってるの、こわい、こわいよ、<br />
くちで、じょうずになめるから、おねがい、おねがいです、<br />
<br />
やめてえっいたいよう、ああッ<br />
<br />
―――いたい、よッ！<br />
<br />
<br />
<br />
大きな穴が、あいてしまった。<br />
世界が水色に、いちめんの水色。　透きとおり、冷たいみずに頭を抱きしめられ、<br />
<br />
「．．． グ、ゲホッ、ゲホッ　」<br />
<br />
ザブンという波音。鮮やかな水が鼻の奥に針を刺して、眼の裏を突いた。<br />
また沈められた。誰かに首の後ろをつかまれてる。<br />
焦りと恐怖がこみあげて、起き上がれるとっかかりをさがした。心臓が打ちすぎて痛い。<br />
息、できな．．．<br />
<br />
「グゲェ！　ゲブッ、ゴホッ　」<br />
<br />
咳き込んで、渾身の力で顔をプールの水から離そうと暴れた。押さえつけられる腕に抗って体が跳ねた。気管に水が入りこみ、焼けるように痛む。髪の中に沁みて地肌をざわざわと伝う水の感触。耳の鼓膜を埋める水が、背後の様子を捉えられなくさせる。苦しくてもがき、振り上げた腕が二本とも後ろにねじり上げられた。肘に何かが巻きついてくる。しまいにぎくっと合わせられて、それっきりびくとも動かなくなった。混乱して、空気を欲して開けた口に水が流れこみ、塩素の味が咽喉奥を満たした。<br />
「がはっ　．．．げほ、げほん、　」<br />
口から水が溢れる。吸いこもうとした空気と無理矢理逆流させられた水とがぶつかりあい、喉が焼けるように痛む。吐きだされた水に、精液の味が混っていた。後頭部をつかまれ釣上げられた。<br />
死にそう。自分がどうなってるのか知ることすら怖ろしい。朦朧としかけた意識で大きく息を吸う。水まみれでおぼろな視界に幾筋も伝い落ちる水。濡れそぼって冷たいシャツの肩。関節を逆に曲げられて、軟骨がぎしぎし痛み、両腕に意識が引き戻される。<br />
プールに顔だけ突っ込まれ、押さえつけられて腹ばいになっていた。<br />
心臓が逝きそうに引き攣る。暴れて体中の力を使い果たして、動けない。わなわなする。震えだけが止まらない。たすけて、たくさんのプリズムが。水が怖い。水音、吐く、<br />
<br />
「おれ、このままバックで―　―　　　　」<br />
<br />
首を絞めるように両手でつかまれ、顔がぐらりと動いて、鼻が水面すれすれに近づいた。荒い呼吸が、小さな波紋をつくる。何も考えられず、動くこともできずにいた。あたまは眼を染める碧など差し置いて、真っ赤なもやもやでいっぱいだった。睫毛に溜まった雫が不快で、何度もしばたこうとしたのに、できない。どこにも力が残っていない。腰を浮かされ、膝を立たされた時も、やっぱり動けなかった。本当に死体になってしまったみたいに、何の反応も返せないまま、（ぐぅっ．．．！）後ろから挿入された。<br />
頭が水没した、どうすることもできずに。水を通して笑い声がした。膝の皿が割れそうに痛む。けれど本当にどうすることもできなかった。精液まみれでだらしなく開いた下半身は、まだ少し柔らかめの亀頭でもなんなく吸い込んだ。たまらない感触で揺さぶられて、窒息の恐怖さえ消し飛びそうになる。奥まで蹂躙されると息が吐き出されて、泡が頬を耳をくすぐりながら昇っていった。吐こうとしても、もう泡さえ出なくなり、肺がカラッポになったのが分かった。押さえつけられて震えているのは、生理的な反応に過ぎなかった。内壁の粘膜は、動く雁首の段差がはっきりと生々しく伝わるほど吸い付いてる。抜き差しする度に、入り口で引っかくようにして、穴の形をもてあそばれた。小刻みな抜き差しのあと、ぐっと強く押し込まれ、首にかけられてる手がぎゅっと絞まった。体が跳ね、いま自分を犯してるものを筋肉が締め付けた。苦しさに内腿がひどく筋張る。あたまの中に赤黒いものが混じり込んでくるようで、意識が消えそう。ただ身体だけがびくびくと揺れる。<br />
<br />
<br />
ざあっという音が耳を打った。<br />
濡れてはりついた髪の透き間から光がちらつく。<br />
<br />
<br />
頬を叩かれ、首が傾いた。むせた。くちから胃液と鉄さびのような味のする水があふれた。<br />
ぐちゃぐちゃに混じった口の体液に、性器をつっこまれた。<br />
それで、<br />
また床に仰向けにされているのだと気づいた。<br />
<br />
身体と床のあいだで腕がおしつぶされている。<br />
もう肘が痛くて痛くて仕方が無い。くいこむベルトの硬さ。けれど、訴えても外されはしないと思う。<br />
あごを支えていられなくて、しゃぶれない。咽喉奥をがつがつ衝かれるとはずれかかる。<br />
俺の膝裏を抱えた誰かの手が、脚を高く上げた。ふくらはぎに髪と皮膚を感じた。<br />
たぶん両肩にかけてるんだろう。<br />
薄目を開けようとしたのに、眠気みたいなものが額の中に渦巻いている。<br />
このまま、眠ってしまいたい。疲れきって、凍える床に身体が沈んでしまいそうだ。<br />
下腹を戯れに掠ってる、俺のものだけが元気みたい。<br />
<br />
身体をぐにゃりと折り曲げられ、<br />
露骨に痺れて感覚の無い孔に、くすぐったいものが這入ってきた。<br />
うなぎにでものたくられてるような感じがしてしまう。<br />
<br />
細いサオだ。最初にしてくれれば良かったのに．．．<br />
後ろを締めてあげたいのに、力がまったく入らなくて、だめだ。<br />
いまクチに出されたものも、ちゃんと飲み込めない。<br />
溺れる、のどで泡立つ精液で溺れそう。涙で鼻が詰まって。<br />
揺さぶられながらでも、いつもはのめるのに、<br />
本当に、いますぐ眠ってしまいたくて。<br />
<br />
うつらうつらしてたら、反応が無いのを罵られて殴られた。<br />
<br />
「ごめんなさい、」って言いたいのに、声がでない。血の味。<br />
<br />
．．．もう、みんなとも最後なのに。<br />
<br />
煙が一筋、顔の傍に流れてきた。<br />
<br />
タバコの臭い。だ、<br />
<br />
そう思った瞬間、灼熱が身体の底でジュッと弾けた。<br />
とつぜんの火傷の痛みにショックを受け、一瞬でつま先までつっぱった。<br />
焼かれた腰がぶるっと波打って、<br />
胸まで温かい飛沫がとんだ。</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">煩</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">うるさ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">い喚声がする。<br />
同時に、体の中で震えた肉が、長々と汁を吐くのを感じた。<br />
<br />
これ以上は眠さの限界で、堪えられそうにない．．．<br />
<br />
<br />
<br />
舌も動かせないほどになった、<br />
用済みの身体、<br />
みんなはプールサイド、から、<br />
．．．出て行った、<br />
<br />
動けない。<br />
水が</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">柩</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">ひつぎ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">みたいに重たい．．．<br />
<br />
細密な雨音が伴奏していた、仰げば貴し。　もう、聴こえない。<br />
<br />
</span><br />
</font>]]>
    </description>
    <category>死神異聞録 （～07年5月　過去編/P2微クロスオーバー/18話/★◇◆）</category>
    <link>https://013txtp3.dou-jin.com/%E6%AD%BB%E7%A5%9E%E7%95%B0%E8%81%9E%E9%8C%B2%20%EF%BC%88%EF%BD%9E07%E5%B9%B45%E6%9C%88%E3%80%80%E9%81%8E%E5%8E%BB%E7%B7%A8-p2%E5%BE%AE%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC-18%E8%A9%B1-%E2%98%85%E2%97%87%E2%97%86%EF%BC%89/cup.%20%E7%A5%9E%E6%84%9B%E3%81%AA%E3%82%8B%E5%90%9B%E3%81%B8%20%E2%98%85%E2%97%86%EF%BC%88%E4%B8%BB%E5%8F%97%E3%81%91%EF%BC%8F%E8%BC%AA%E5%A7%A6%EF%BC%89</link>
    <pubDate>Tue, 31 Mar 2009 13:59:37 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>Pentacles．誓約と聖約</title>
    <description>
    <![CDATA[<span style="font-family: Courier New;"><br />
僕のオワリノカケラは、まだ遥か遠くだ。<br />
<br />
<br />
真昼のように月は眠る。<br />
陰気な宮殿で暗黒は</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">唸</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">うな</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">る。<br />
<br />
時に任せた夜では無い夜、生まれぬ胎児の狂夢をみる。<br />
<br />
僕は</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">子宮</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">ソラ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">で影踏みを踊る。<br />
光の翼と銀の足。<br />
影のみんなと輪になって、血まみれの輪舞を踊ってる。<br />
<br />
旅に出なきゃいけないね。<br />
僕はハジマリの風来坊。<br />
<br />
がんじがらめの檻を転がし、<br />
僕のカケラを起こしに行こう。<br />
<br />
なのに奴らが邪魔をした。<br />
<br />
剣の女帝が皇帝を従え、<br />
僕の冒険に通せんぼ。<br />
<br />
森の影摘み</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">咎</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">とが</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">めだて、僕を檻から追いやった。<br />
<br />
アリスがクスクス笑ってる。<br />
<br />
<font size="-1" color="#0000ff">勝ったらお菓子をあげるけど、<br />
敗けたら残念！　死んでくれる？</font><font size="-1" style="line-height: 150%;"><br />
<br />
あんな奴らに見つかるもんか。<br />
<br />
僕と奴らでかくれんぼ。<br />
扉をどんどん開けていく。<br />
ねぐらの館で待ちぼうけ。<br />
探検しながら、待ちぼうけ。<br />
<br />
<br />
<strong><font size="4">バターン！<br />
</font></strong><br />
「おや。（これは．．．予想外だ。）」<br />
「あれ、ここどこ？　．．．お爺さんは、誰？　」<br />
「見つかってしまいましたな。<br />
ようこそ、我が領域へ。私の名はイゴール。<br />
まずはご挨拶申し上げます　」<br />
<br />
「ぼくは．．．トキトウ　アヤ。　よろしくね　」<br />
<br />
「ふむ．．．<br />
僭越ながら、申し上げねばなりますまい。<br />
それは、貴方の真の名ではありませんな　」<br />
<br />
「なぜ？　．．．そう呼ばれた気がするけど。<br />
まあいいや。<br />
あやかしの部屋のご主人、きみがそう呼びたくないなら、<br />
名無しのままでも、僕はちっともかまわないよ　」<br />
<br />
「．．．さすがはゼロの方らしいお言葉ですな。<br />
とは言え、貴方は我が領域で名乗りをあげられた。<br />
ならば、私どもの客人になりうる御方。<br />
以後、お見知りおきを　」<br />
<br />
「．．．．．．（ぶらさがってみたいなぁ、アレ。）」<br />
「．．．どうかされましたかな？　」<br />
「ねえ、お客ならここ座っていい？　」<br />
「どうぞ、ごゆるりと　」<br />
「あと、訊きたいことがあるんだけど　」<br />
<br />
「何でしょうかな　」<br />
<br />
「僕、この館から出られないの？<br />
ニンゲンと遊んでたら閉じ込められて、このザマさ。<br />
早く他のカケラを集めてアリスを追いかけないと、<br />
お茶の時間に遅れちゃうんだよ。<br />
なんとかしてくれない？　」<br />
<br />
「．．．なるほど。<br />
旅立ちの時を決するのは、あなたとオワリとの再会。<br />
館を出るために貴方にお出来になるのは、<br />
あの方に．．．この&ldquo;契約書&rdquo;を渡されることだ　」<br />
<br />
「僕のオワリ．．．　．．．&ldquo;契約&rdquo;？　」<br />
「さよう。<br />
貴方はハジマリのカケラであらせられる。<br />
オワリはハジマリに</font></span><font face="MS UI Gothic" size="-1" style="line-height: 150%;"><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">叛</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">そむ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">けませぬ．．．　因果とは、そうしたものですからな。<br />
どうか、慎重なご判断を願いますぞ　」<br />
<br />
「ふーん？　それってオワリは僕次第ってことだよね．．　楽しそうだ！　」<br />
「．．．オホン。（やれやれ、）<br />
ハジマリとオワリが揃うとき、十二のカケラは目覚めるでしょう。<br />
貴方がそれらを集めるには．．．<br />
オワリと契約を結び、<br />
&ldquo;試練&rdquo;を乗り越える力を宿主に与える必要がございます　」<br />
<br />
「試練．．．　かっこいい言葉だな。<br />
どんな試練なの？　一応きいとくけどね　」<br />
<br />
「混沌の主が糸引くならば、そこにあるのは&ldquo;戦い&rdquo;に相違ない。<br />
しかし、この世界の秩序を支配するは&ldquo;アルカナ&rdquo;。<br />
なればハジマリの貴方に、私は従って参りましょう。<br />
．．．この、エリザベスと共にね。<br />
<br />
（少々、不安ですが。）」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
一度も体験したことのない結末がある。<br />
大抵の物語には用意されているはずのエンディング。<br />
努力や抵抗や挑戦が実を結ぶ、誰もが納得する結末。<br />
<br />
幾ら想像しても、あんな幸運が本当にあるとは思えない。<br />
幸せな物語は全て、苦しむ誰かが願った絵空事なのだと思う。<br />
<br />
家を出て一人暮らしをしたいと思ったのは、いつからだろう。<br />
その事に思いを馳せると浮かぶのは、ぼんやり窓の外を見てる自分の光景だ。あれはたぶん、小学校の教室だとおもう。出席番号順で、俺はたいてい窓際の席だった。<br />
晴れの日も雨の日も、広い窓の外には家々が参列する下りの坂道があって、その向うには海と空がみえていた。<br />
家でいつも閉じ込められていた場所には、窓が無かったから．．．<br />
あの頃の俺は、学校の窓から外を眺めるのが、好きだったのかもしれない。<br />
<br />
どんなに憂鬱で死にたい気持ちもその時だけは離れ、俺の背から碧い海流へ放たれていった。<br />
心はいつも、今とは違う場所を探して旅していた。<br />
<br />
（遠くこの街を忘れて、望みどおりに気まぐれに、風みたいに</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">彷徨</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">さまよ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">ってみたい。）<br />
<br />
．．．そんな想像の旅だ。<br />
<br />
馬鹿げてるけど、あの空想のひと時が無かったら、俺は生きてはいけなかった。 <br />
どこへ行こうと結局は変わり無い．．．夢はいざ掴めば、きっと崩れてしまう。<br />
優しい誰かの助けなんか、訪れない。<br />
待ち望んでる奇跡なんか、起こらない。<br />
<br />
そんなリアルは、考えないようにしていた。<br />
<br />
ここじゃない、どこか知らない場所へ続いてる窓。でも、勝手に開けては先生に叱られる窓。<br />
現実には踏み出せない臆病者に、可能性だけはみせてくれる眩しい窓．．．<br />
．．．俺はほんとうに、あの教室の窓が好きだったんだろうか。<br />
残酷に自由をちらつかせる、あの大きな窓。―――<br />
<br />
海に繋がる坂道。希望と言っては大げさだけど、海の向うの知らない場所では、今よりはマシな暮らしが待ってるんじゃないか。　．．．そんな夢想をするようになっていた。<br />
<br />
学校に通い始めてクラスの奴等の話を耳にするようになって．．．<br />
&ldquo;自分は普通じゃないらしい&rdquo;事が、なんとなく分かりかけてきた頃だった。<br />
<br />
どうしてこうなるのか、解らない。<br />
でも小さい頃はそれが、普通なんだと思っていた。<br />
<br />
きっと俺と同じくらいの歳の子供はみんな、こんな目に遭ってるんだ。<br />
&ldquo;大人&rdquo;はそれを生き延びてきた偉い人達で、無事に大人になれたら同じ事を子供にしなくちゃいけない決まりがある。<br />
<br />
．．．そう、思いこんでいた。<br />
<br />
小学校に通うようになってからだ。<br />
それが大きな間違いだと気づいたのは。<br />
<br />
どの学校でも、クラスのみんなは仲良しと笑いながら喋りあっていた。<br />
楽しいってよくわからないけど、きっとあれを楽しいっていうんだろう。<br />
<br />
&ldquo;笑い&rdquo;．．．　俺にはできない顔だ。<br />
誰かを笑わせられるような言葉は、たとえ誰かの真似でも音を失くして胸につかえてしまう。<br />
それに、どうやってあんな風に笑えばいいのか解らない。<br />
話したいと思っても、どうやって話しかければいいのか。<br />
そのうち、笑いについて考えること自体が怖くなって．．．<br />
<br />
どうせ家に帰れば、それとは違う現実になるから全てが無駄な気がした。<br />
<br />
義父さんにとって、俺は逃げた女の代わりだったんだろうか。<br />
それともあれは．．．本当の父さんの事だったのか。<br />
いまとなってはもう、わからない。<br />
あの人は、死んでしまった．．．<br />
<br />
それに、家だけじゃなかった。　学校でも同じことが起きるように．．．<br />
最初は社会の先生だった。<br />
次は音楽の先生、同級生や上級生の男．．．次々続いて、最後は教頭先生．．． <br />
はじめは誰もが優しかった。<br />
いつもそうだ．．　そうして笑いながら近づいてきて、やがて怖ろしい怪物になる。<br />
笑いながら．．．　して．．．<br />
<br />
．．．．．．<br />
<br />
拒絶や抵抗さえしなければ、みんな目的は同じなんだ．．．<br />
．．．俺の身にだけ起こるんだから、きっと悪いのは俺なんだと思う。<br />
どんなに気をつけていても奴等に捕まり、結局は物陰に引きずられていく。<br />
そこから先は、たいがい同じだ。<br />
髪をつかまれ、眼の前でズボンを下げられる。<br />
自分を傷つけるものを大きくさせられるあいだ、揺さぶられてちぎられそうになる髪。<br />
スイッチが切れたように、あの瞬間から全てにおいて現実感がなくなっていく．．．<br />
<br />
．．．他人に髪を触られるのは嫌いだ。我慢できない。<br />
パニックに襲われるから嫌だ。<br />
．．．．．．<br />
&ldquo;終わり&rdquo;があるのが、ただ一つの救いだな．．．<br />
欲には、．．．終わりが。<br />
<br />
いまだによくわからない事がある。<br />
<br />
命じられるままひざまづいて、急所に奉仕してるとき。<br />
何も感じない死体みたいになって、行為の終わりを待っているとき。<br />
そんなときにふと、相手のことを可哀想だと思ってる自分に気づく。<br />
<br />
．．．無防備さを俺に晒して、どうしてそんなに安心できるんだろう。<br />
<br />
その気にさえなれば、俺は誰のことだって殺せるはずだ。<br />
舌だってアレだって、口に突っ込まれたなら即座に噛み切る事が出来る。<br />
実際むかしは、身体の上を単調に動いてる奴等をなんど殺したくなったか知れない。<br />
そんな時は必ず、目つきが気に入らないと殴られ、余計に痛めつけられた。<br />
<br />
そのせいだ、俺が一つの表情しかできなくなったのは。<br />
なにも知らないクラスメイトに、無表情をからかわれ．．．<br />
日を追うごとに、その裏に隠した殺意だけが黒く膨れ上がり、破裂しそうに募っていた。<br />
<br />
思い切りさえすれば、俺は変われる。<br />
少年院にブチ込まれたっていい。<br />
そこで同じ眼に遭うとしても、一度抵抗出来たなら、次だってできる筈だ。<br />
<br />
．．．そこまで思いつめたのに。<br />
結局、俺は実行しなかった。<br />
<br />
．．．今でもしない理由は、なんだろう。<br />
<br />
まったく厭なことばかりでなく．．．<br />
犯られて、流された末に果ててしまう自分も、同罪だと思うからだろうか。<br />
．．．体目当てでしか、誰も俺に関わってはくれないからなのか。<br />
．．．だめだ。<br />
このことを考えると息が苦しい。過去がいっぺんに襲ってきて眩暈がする。<br />
身体から意識が離れていきそうになる．．．<br />
<br />
もう俺には</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">労</span></ruby><span style="font-family: Courier New;">わるに値する部分なんか、どこにも無いはずなのに。<br />
何も知らない、きれいな人達に混じっているのが辛い。くるしい。<br />
生きててすみませんって謝りたいくらい、汚ならしい肉の俺が．．．<br />
大勢の精液が血の代わりに流れてそうなくらい、吐き気がする公衆便所の便器が．．．<br />
それなのに、まだ自分を諦めきれない、見苦しい未練がある．．．<br />
<br />
どうして、何もかもめちゃくちゃに壊してしまえないんだ。<br />
こんな自分や、あいつ等のこと．．．<br />
．．．どうして．．．<br />
．．．．．．<br />
．．．もしかして、&ldquo;死なせる&rdquo;ってのが駄目なのか。<br />
なぜだろう、誰かが死ぬのが怖い。<br />
<br />
とても、怖い．．．<br />
死ぬって、とても悲しくて不幸で。　．．．文字通り、不幸の始まりに思える。 <br />
．．．そうか、振り返るまでもなかった。<br />
本当の親が死んで、世間から見れば異常なこの生活が始まったんじゃないか。<br />
<br />
誰かが死ねば、きっと必ず誰かが不幸になる。<br />
自殺したら、誰かが俺の代わりにされてしまうかもしれない。<br />
そう思っているからなのか．．．死にそうなまでに乱暴されても、相手を殺せないのは．．．<br />
<br />
．．．そういえばあの頃、窓から海と空を眺めていると、<br />
時々ふっと心に浮かぶ夢のような情景があった。<br />
<br />
どこか外国の、名前も知らない街。<br />
人々は皆、金髪や薄い髪色に白い肌、そして青や緑の目をしていた。<br />
陽気に歌い踊り酒を酌み交わす大人達。　祝いに賑わうカーニバルの音楽。<br />
バイオリンの弓が跳ね、トロンボーンが浮かれたパノラマがスライドしている。 <br />
乾いた白いレンガを積み重ねてできた街並み。夕日が、まだ高いところにとどまって、祭りの興奮とざわめきに、暖かい光を投げかけている。<br />
<br />
地面に落ちた建物の青い影の中に立ちすくみ、俺は指をくわえてそれを眺めていた。翻る色鮮やかな旗。砂岩の石畳を練り歩く、笑いに満ちた行列。振りまかれる花々が突風にさらわれ、十字架のたつ尖塔の遥かへ舞いあがる。<br />
<br />
半分白く半分黒い仮面の一人が、こちらを向いて笑う。仮面の顔が笑っている。底無しに黒い三日月の目に</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">見蕩</span></ruby><span style="font-family: Courier New;">れていると、それは残像をのこして、うねる人ごみの中に埋もれ見えなくなった。後に続くどの仮面も、俺のはるか上を、無表情な笑いを刻んだまま通りすぎていく。<br />
<br />
秘密の楽しみに、置いてきぼりを食らった気分になった。<br />
心細くなって、辺りを見まわした。<br />
<br />
後ろから、呼び声がした。掃き清められた戸口にたって、すらりとした白樺のように綺麗な男の人が、俺を呼んでいた。<br />
「　　　　　　」<br />
その人は、柔らかく微笑んで手を広げた。俺の視線はとても低くて．．．懐かしい感覚で、その姿の上をさ迷ってる。待っている腕の中に行きたくてたまらないのに、名前を呼ばれているのに。　足が、もどかしいほど前へ進んでくれない。小さな俺は悔しくて．．．とても悲しかった。<br />
身体に比べて大きすぎる頭のせいか、バランスを崩した。固い地面にしりもちをついた俺を優しい影が覆い、背中に長い腕が伸ばされる。ふわりと洗いたてのシャツの匂いに包まれた。<br />
「　　　　　　　　　　」<br />
最初から定められていた位置。その人の腕の狭間に、俺の身体はすっぽりとおさまった。フカフカした、大きな鳥の羽毛に守られた卵みたいに。<br />
このまま、ずっとずっと抱きしめられていたい。甘えて見上げたら、ちょっとカサカサした大きな手に前髪をかきあげられた。額に強くキスされてる。嬉しくて胸がいっぱいになる。小さな身体がふくれて、いっぱいに。俺、あの人がだいすき。大好きでたまらない。　でも、．．．誰なんだ？　<br />
<br />
その人に笑いかけられて他愛もなく安心する。花の香りのする暖かな吐息が頬を撫ぜたかと思うと、軽々と俺は抱き上げられた。<br />
ふさふさとした黒髪に顔を埋め、揺られながら耳の後ろで感じている。ゆっくりとした低い歌声。<br />
歌の意味はわからないけど、その声にとろけそうになって、だんだん瞼が．．．とろんと落ちていった。とてもいい匂いがしていた。　．．．<br />
<br />
もう一つの夢は、不気味で怖いものだ。<br />
それはいつもなんの予兆も無く襲いかかってくる印象がある。<br />
<br />
轟音とともに視界が揺れ、瞬く間に足をすくわれる。<br />
人影の肩越しに&ldquo;それ&rdquo;を見たのは一瞬だった。<br />
ライトに照らされた白い仮面の、黒くて大きな大きな何か。<br />
すぐに目の前は真っ暗にされて、引きずられる音と共に気味の悪い震えに囲まれた。<br />
棒で叩きのめされるクッションになったような不思議な震動が全身に響いた。<br />
ちいさなうめき声がした。とてもちいさな声なのに、俺の耳にはっきりと聞こえた。<br />
波打つたびに、体を覆う暖かさがどんどん失われていく。<br />
「　　　　　」<br />
不気味な爆音が、遠くからいつまでも聞こえていた。<br />
オイルのようなきつい匂いが鼻腔を刺し。<br />
火の粉が乱れ飛ぶように周囲を覆い尽くす。<br />
今も耳の奥に響いている、悲鳴、．．．苦しそうな呼吸。<br />
<br />
冷たくこわばったボロキレの下からなんとか這い出た。<br />
バラバラに壊れた鉄の残骸にしがみつきながら、そこから離れようとした。<br />
のどが焼けそうなほど、空気がとても熱かった気がする。<br />
黒い空を染め上げる凄まじい火焔の中を、俺は逃げようとした。<br />
<br />
あの男の人を捜すために。<br />
また、抱きしめてもらうために。　．．．<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「．．．はい、石田です。<br />
<br />
はあ、ええ、　．．．　はあ？<br />
彰．．．、ですか？　ええ。<br />
はい、うちで引き取っている子ですが、<br />
ええ、遠縁の子なんですけど。<br />
もう近親に身寄りが無くなってしまったものですから。<br />
<br />
はい。　　　．．．え、奨学生？<br />
あ、バイオリンの．．．<br />
．．．そうだったんですか。<br />
あの子の父親は、．．．といいますか、義理の父親が先日、発作で亡くなりましてね。心臓が悪いという話は聞いたことが無かったですが。<br />
もう本当に、急な話だったんですの、<br />
え、　．．ええ。<br />
．．．バイオリンを教えたのは、その人ですわね。<br />
１０年ほど前に事故で亡くなった本当の父親の、弟にあたる。<br />
詳しくは存じませんけど．．．ええ。　コンクールには何度か。<br />
．．．そんな事があったんですの？　事故の時にお世話に．．．？<br />
何と申し上げたら．．．　ありがとうございます、<br />
はあ、寮．．．ええ、<br />
私も年金暮らしですし、このままじゃ．．．<br />
あの子を上の学校には、やれそうもないですから。<br />
いえいえ、あの子のこと、考えて下すって感謝しております。<br />
ほんとうに、良いお話だと．．．」<br />
<br />
<br />
「どうやらきみの境遇は、逆のようだねえ．．．僕と同じような目に遭っても　」<br />
<br />
受話器を戻した幾月は、手にしていた調査書類をデスクの上へ几帳面に置いた。 <br />
（僕と同じく、生まれながらに影時間を視る選ばれた者か．．．<br />
．．．単なる偶然？　フフ．．．見過ごすわけにはいかないな。）<br />
<br />
何枚かの写真を見つめる幾月の頬は、笑みを</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">模</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">かたど</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">っていた。<br />
2000年9月15日、港区の湾橋ムーンライトブリッジで発見された子供。<br />
その男児は、偶然にも彼と同じ「適性者」だった。<br />
<br />
北川彰が桐条系列の病院で二年を過ごした間、担当医だった幾月が眼にした事実は実に興味深いものだった。<br />
明らかに発達が遅滞していた状態から、目覚しく成長していった知能。<br />
影時間への適応能力の確認。<br />
そして、入院の間に持ち上がった様々な事件。<br />
<br />
幼い子供に過ぎない北川彰に惑わされ、数人の病院関係者が道を踏み外した。<br />
<br />
上司の懲戒免職をきっかけに、トラブルを的確に事後処理する腕を評価されて昇進し、いまでは桐条武治の右腕の地位を手に入れたおのれを省みて、幾月は会心の笑みを浮かべた。<br />
<br />
「きみのおかげと言えるかな。いまの僕があるのは．．．」<br />
性犯罪の公表をほのめかして</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">強請</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">ゆす</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby></font><span style="font-family: Courier New;"><font size="-1" style="line-height: 150%;">り、金の無心に現れた彰の保護者については、引き取られたその日から、桐条の監視下におかれていた。<br />
あれから八年が過ぎ、―――もたらされた一つの報告。<br />
昼も夜もバイオリンの音が止む事の無い男の家に、苦情を訴えに訪れた隣人は、いくら呼んでも中から全く応答が返らない状況に、不審を抱いた。<br />
<br />
育ての父親の死体の側で発見された少年は、バイオリンを手に裸で立っていた。<br />
暴行の痕(あと)を隠しもせず、少年は警察官を見上げた。<br />
後に、鎮魂歌でも弾いていたのかと問われた彼は、首を横に振った。<br />
その子は、育ての父親が死亡していたことに気付いていなかったのだ。<br />
『いつものように、「もういい」と言われるまで練習しただけ。』　．．．そう語ったと、記録には残されている。<br />
<br />
「この十年．．．失われた歳月を無為にしてたまるものか．．．<br />
北川彰に狂わされた者はみな、最後には影人間になった。<br />
なら、彼を監視するのに最適なのは．．．&ldquo;この場所&rdquo;しかないだろうな　」<br />
モニターが映し出す寮生たちの様子を眺め、幾月はそっと顎を撫でた。<br />
<br />
<br />
</font></span><span style="font-family: ＭＳ Ｐゴシック;"><font size="-1" style="line-height: 150%;"><br />
</font></span>]]>
    </description>
    <category>死神異聞録 （～07年5月　過去編/P2微クロスオーバー/18話/★◇◆）</category>
    <link>https://013txtp3.dou-jin.com/%E6%AD%BB%E7%A5%9E%E7%95%B0%E8%81%9E%E9%8C%B2%20%EF%BC%88%EF%BD%9E07%E5%B9%B45%E6%9C%88%E3%80%80%E9%81%8E%E5%8E%BB%E7%B7%A8-p2%E5%BE%AE%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC-18%E8%A9%B1-%E2%98%85%E2%97%87%E2%97%86%EF%BC%89/pentacles%EF%BC%8E%E8%AA%93%E7%B4%84%E3%81%A8%E8%81%96%E7%B4%84</link>
    <pubDate>Tue, 31 Mar 2009 13:55:41 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">013txtp3.dou-jin.com://entry/36</guid>
  </item>
    <item>
    <title>Wand. 埋み火の旋律（仔主受け）☆◆</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
ずっとしろいへや。<br />
まぶしいてんじょう。<br />
<br />
あおいまど。<br />
<br />
あたたかい、もうふのなか。<br />
やわらかいごはん。<br />
<br />
うすいピンクのふくとぼうしの、しらないおんなのひと。　しろいスプーン。<br />
つみきをいっぱいくれた。かたくて、いろんなかたち。<br />
<br />
これ、しってる。　あおいのと、しろいのがすき。<br />
つみきは、しかくをおいて、まるいながいのをおく。さんかくをのせる。<br />
<br />
「これはなに？」っていったから、「ひとくい　」っていった。<br />
<br />
「ふうん、おばけなんだ　」「ちがう、おうさま　」<br />
<br />
「おうさまなの。　すごいね、アキラくん。　よくできたね　」<br />
<br />
なでなで。　うれしくってきもちいい。<br />
ピンクのおんなのひとは、いつもわらってる。<br />
<br />
「にっこりわらってごらん　」って、ほっぺ、さわった。<br />
<br />
おんなのひと、やさしい。<br />
<br />
<br />
おとこのひとも、やさしかった。<br />
<br />
みんながおじぎしてる、しろいふくのえらいおじさんは、あめをくれた。<br />
ふたりっきりのとき、いっぱいなでたあとに、いつもあめをくれて、<br />
<br />
「だれにもないしょだよ　」ってゆびきりした。<br />
<br />
<br />
<br />
「ないしょって、どっち？　」<br />
ある日、おじさんが『しんさつ』にきたとき、ぼくはきいてみた。<br />
<br />
ないしょなのは、むねやおしりをなでるのと、あめをくれるのと、どっちのこと？<br />
<br />
おじさんは、ベッドにねてるぼくをみおろして、<br />
「どっちもだよ　」といった。　そして、ぼくのぱんつをさげた。<br />
それから、いつもみたく、ぼくのおちんちんをなめた。<br />
<br />
だけどその日は、いつもとちがってなかなかおわらなくて、だんだんしびれてきもちわるくなってきた。<br />
おしっこがしたくなって、「おトイレぇ！」っておおごえだしたら、おおきいてでくちをふさがれた。<br />
あたまのなかに、へんなひかりのえがぱぁってうかんだ。<br />
<br />
まるい、お月さまのえだった。<br />
<br />
あしがつりそう、おちんちんもぎくぎくする。<br />
おじさんが、さきっぽをなめながら、おちんちんのかわをぎゅってひっぱった。<br />
むねが、どきどきする。　はぁはぁしてたら、くちから手がはなれた。<br />
<br />
いきできる。　うれしい。<br />
<br />
「いたい？」ってきかれたから、しょうじきに「ちょっといたい　」ってこたえた。<br />
<br />
おじさんは、「へんだなあ、」といった。<br />
それからぼくのおちんちんを、すっぽりたべて、くちのなかでれろれろした。<br />
<br />
「んっ．．．ん、あ．．．ぁ、あ、お、じさぁん、ううっ、」<br />
<br />
ももがぶるぶるしてきて、つっぱってきた。<br />
ぎゅっとあしをとじたら、おじさんのおひげにチクチクされて、いたくなった。<br />
<br />
おちんちんが、クンッてなった。　お月さまが、ぬうっておおきくなった。<br />
<br />
「はーっ．．．っあ、．．．はーっ」<br />
<br />
つかまれてるおしりがびくんってなった。　あしがかってに、ひらいた。<br />
おじさんのくちのなかで、おちんちんがかたくなって、ぬるってすべった。<br />
<br />
「ひゃっ」　おちんちんがズキンズキンする。「ううっ、」<br />
<br />
おじさんは「きもちいいかい？　」ってわらった。<br />
<br />
そして、ずるーってなめた。<br />
きもちよくて「いんっ　いいっ」って、こえが、でた。<br />
<br />
おじさんはよろこんだ。　くちにいれたまま、「あきらくん、あきらくん、」ってしゃべってる。ぎゅぎゅってすわれて、はりがさしたみたいに、いたくなって、おしっこ、でそう。<br />
<br />
「．．．あっ、」　とめようとしておなかにちからをいれたのに、とまらない。<br />
<br />
「あーっ　こわいよう！」<br />
どうしよう。　おしりのあながきゅんきゅんする。　こわい。<br />
めをつぶったら、まっくらでお月さまがいっぱいになった。<br />
おなかがあったかい、じわじわする。<br />
「．．．うっ、あ。ア．．．あんっ」<br />
おじさんは、ちゅうちゅうしながらのんでるみたいだった。<br />
「ごめんなさい、ごめんなさい　」<br />
おもらししちゃった。　きっとおこられる。なきそう。<br />
<br />
おじさんは、「いいんだよ。これは、いいことなんだ。　ほんとうにかわいいね　」<br />
そういって、ぺちゃぺちゃおとをたてた。<br />
<br />
こえがやさしかった。すごくほっとした。よかったあ。<br />
おちんちんが、ぬるぬるしてる。　おかゆのなかを、およいでるみたい。<br />
<br />
「うっ．．．んんっ」<br />
おしっこしたのに、おしりとつまさきがびくびくしてる。　へんなかんじ。<br />
<br />
おじさんは、ぼくをからだじゅうなでて、いろんなところをなめた。おなじところをずっとされるのは、こえをがまんできたけど、とつぜんむねやおしりをかまれると、くすぐったくて、いたくて、こえがでてしまう。<br />
<br />
おおごえをだすと、『おしおき　』される。<br />
くちをぴたっとふさがれて、くるしくされる。<br />
<br />
ぼくは、おじさんがこれをはじめるときは、じぶんのてくびをかめばいいなっておもった。<br />
<br />
おじさんはむねをちゅっとして、「アキラくんもなめてみるかい？　」っていった。<br />
ぼくはあたまがぼーっとして、つかれて、こえがでなかった。<br />
いきがくるしくて、はーはーしてたら、おじさんはおきあがって、ズボンをおろした。<br />
<br />
みたら、けむくじゃらのおなかをだしてた。<br />
すごく、くろい。　もじゃもじゃしてる。<br />
もじゃもじゃから、あかくってちゃいろい、おおきなヘビみたいのがはえてる。<br />
びっくりしてたら、おじさんはぼくのあたまをなでて、かみをにぎった。<br />
<br />
「さわってごらん　」<br />
「これ、いきてるの？　」<br />
<br />
ぼくがヘビにきいたら、ヘビはうえにぶるんとはねた。<br />
「わあっ」　しんぞうがどきんとした。<br />
<br />
「はは、いきてるけど．．．こわくないよ。　やさしくなでなさい　」<br />
おじさんがためいきをして、ぼくのかおにヘビをちかづけた。<br />
<br />
かまれたらいやだから、なかよしになりたくって、おそるおそるヘビのあたまをなでてみた。　ふにふにしてて、なまあったかい。てになにか、しるがついた。　なんだろう、　．．．ねばねばしてる。<br />
てのひらをみてたら、おじさんは「にぎってみようか　」といって、ぼくのてくびをつかんだ。<br />
<br />
おやゆびをひっかけて、ほかのゆびをうえからおさえて、しっかりにぎらせた。<br />
かたくておおきくて、ドクンドクンしてる。<br />
<br />
すごい！　．．．こんなヘビ、いるんだ。<br />
<br />
おじさんは、そのままぼくのてをむにむにうごかした。<br />
ヘビがびくっとふるえた。　かわだけがにゅるっとうごいてる。<br />
てがあつくなってきた。　おじさんが、はあはあしてる。　くるしいのかな。<br />
<br />
「だいじょうぶ？　」ってみあげたら、おじさんはうすめでぼくをみて、くちをすこしあけていた。わらってるから、だいじょうぶなのかな。<br />
<br />
ずっとうでをゆらされて、てくびとひじがいたくなってきた。<br />
<br />
「．．．おじさん、うでがいたい　」　すこしこわくなって、ちいさなこえでいった。<br />
「せんせいってよびなさい。　もうちょっとだから．．．　」<br />
「うん、」<br />
<br />
じっとみてたら、ヘビのてっぺんにあるくろいちいさいあなが、ひくひくした。<br />
<br />
おじさんが、ぼくのあたまをぐいってヘビにちかづけた。<br />
いきなりだったので、「わあっ」ってなった。<br />
なにかあついのが、びゅびゅってぼくのかおにかかった。<br />
めにはいりそうになって、ぎゅってつぶった。<br />
くちのなかに、すこしはいった。<br />
<br />
へんなにおいの、へんなあじ。すっぱい。にがい。ぺってだした。<br />
<br />
おじさんは、おなかのヘビをぼくのほっぺやあごに、ごしごしした。<br />
ねばねばが、かおじゅうにひろがってく。<br />
<br />
へびはだんだんやわらかくなって、しわしわになってしまった。<br />
<br />
ひえたへびのよだれは、すごくくさい。<br />
ぼくはきもちわるくなって、うぇってしそうになった。<br />
<br />
「あきらくん、すごいかおだ．．．」　おじさんが、はあはあしながら、わらった。<br />
<br />
おじさんはヘビをしまった。　ぼくはほっとした。<br />
かまないけど、どくへびだ。　いっぱいどくをはいた。<br />
<br />
「これもいいことなの？　」<br />
「とってもいいことだよ　」<br />
<br />
おじさんは、うでがいたくってあせがびっしょりになった、ぼくのかおをふいた。<br />
それから、おかしをくれて、<br />
「アキラくん、ずっとにゅういんしててほしいなあ　」って、いってくれた。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<font color="#666699"><font face="MS UI Gothic" size="2">　ぴんくのやさしいおんなの人がこなくなって、かわりにおにいさんがくるようになった。<br />
おにいさんは、かみがおんなの人みたいにながくて、メガネをかけてる。<br />
<br />
でも、おんなの人みたいにやさしくない。<br />
<br />
ぼくをじっとみて、よくわからないことをきいてきて、ノートにたくさん何かをかいてる。<br />
それなのに、ぼくが何かをきいても、こたえがほんきじゃないみたい。<br />
<br />
ぼくは、おんなの人がこないのがかなしくって、まくらをだっこしてないていた。<br />
<br />
<br />
（どうしてなの？　　ぼくが、いいこじゃなかったから？）<br />
<br />
ぼくにいろいろきいてくれた、おんなの人。　おもしろいおはなしをしてくれた。<br />
つみきでたくさん、あそんでくれたのに。<br />
<br />
もう、あたまがまっかになって、なみだがとまらない。　あたまいたい。　のどもいたい。<br />
<br />
．．．ほめてもらいたかったんだ。<br />
<br />
いいこと、したのに。<br />
<br />
おんなの人はびっくりしたみたいに、きゃっておおごえだして、いなくなった。<br />
<br />
どうして．．．<br />
<br />
わかんないよ。<br />
くるしいよ。</font></font><br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
えらいおじさんも、こなくなった．．．<br />
だけど、代わりにおそうじのおじさんが、ぼくをさわるようになった。<br />
<br />
まえから、ぼくをにこにこしながらみてたおじさんだ。<br />
みずいろのふくをきて、モップをもってる。<br />
<br />
<br />
このおじさんも、えらいおじさんとおなじことをしたけど、ぼくをよつんばいにして、おしりをなめるようになった。<br />
なめられてるときはいいけど、にくをつかまれて、おやゆびでよこにひろげられると、いたかった。<br />
ひろげたおしりの中をなめながら、おちんちんをさわってくる。<br />
はじめてされたときは、いたくて、きもちよくて、きもちわるかった。<br />
穴におじさんのべろがはいってきて、中をモゾモゾなめられる。　ううっってこえがでちゃう。<br />
ぬかれるときは、ぞくっとして、うんちがしたくなる。<br />
おじさんのおひげがざりざりしていたいのに、グイグイおされた。<br />
いつもはぼくのおしりをもちあげてるだけだったのに、うごけないほどつよくつかまれてゆらされた。<br />
おひげがいたい、いたいまんなかが、きもちいい。　どっちなのか、わからなくなってきた。<br />
「いたいよ、いたいよう、」　だんだんこわくなってきて、なきごえをだした。ぼくを、どうするきなの？<br />
おじさんは、「なにいってんだ？　ウソをつくんじゃない　」といって、タオルでぼくのくちをしばった。<br />
きゅうに、おじさんが、こわいかいぶつになった。<br />
どこでもいいから、にげたくなった。いきができない、タオルがくるしくってあつい。<br />
おじさんは、おやゆびをぼくに入れた。<br />
いたいつかみかたで、りょうほうからグイってされてぼくはからだがさけちゃうとおもった。<br />
おおごえだしたのに、タオルが口につまって、ひぃひぃちいさいこえと、アツいいきしかでない。<br />
あばれてにげようとしたら、おしりをすごくたたかれた。<br />
「わるいこは、みんなにきらわれるぞ　」　ってきこえた。<br />
いいこじゃないと、きらわれる。　おじさんにきらわれるのは、いやだ。<br />
きらわれたら、いたくされる。　くるしくされる。<br />
かなしくって、なきながら、うん、うん、ってうなずいた。<br />
でもやっぱりこわくって、うしろをふりかえったら、おじさんはやさしいかおになっていた。<br />
手になにかもって、なめてる。<br />
みたときは、「おくちをあーんして　」っていわれるときの、ライトだとおもった。おなじ、もちかただったから。<br />
でも、よくみたらちがった。　<br />
もっと大きくて、ひもがついたロケットみたいなかたちの、つるんとしたぎんいろのぼうだった。<br />
「はやく、ならさねえとな　」<br />
おじさんは口からそれをだして、ぼくのおしりにさした。<br />
ぼくはおおきなひめいをあげた。タオルをされてても、耳にひびくぐらいだった。<br />
いたくていたくて、ものすごくいたい。<br />
あばれたら、ばしんばしんってせなかをたたかれた。<br />
おじさんは、ぼくをおさえて、ベッドの上にあがった。<br />
せなかにのっかってきて、いきができなくなった。<br />
おしりをひろげて、ロケットをさしてくる。　<br />
入ってこないように、いっしょうけんめい力をいれた。<br />
おじさんは、またおしりをたたいて、左右にぐいぐいひろげた。<br />
<br />
「あーっ！　いた、いたいよ、いたい！」<br />
<br />
先がすこし入ってきた。ひめいをあげた。おじさんはそれをむりやりずるっとおしこんだ。<br />
「あっあううッ！」<br />
つめたいロケットが、おなかいっぱいに、ぼくにささってる。<br />
おじさんは、ふといヒモをぼくのこしでぎゅっとむすんだ。<br />
「はあっ、は．．．っ、は．．．あっ、」<br />
「あした外してやるから、このままにしとけよ　」<br />
そして、ぼくをひっくりかえして、おちんちんをなめた。<br />
「ぁんっ　うっ　う、」<br />
<br />
体がびくんってなると、中ではさまってるのがあばれて、おなかがきゅって締まってぞくぞくする。ロケットのとんがりがぴくぴく刺してくる、おへそをやぶってでてきそう。いきてるみたいだ。<br />
また、お月さまが、くる．．．　みどりのお月さまが、<br />
「はあっ　はあっ　」<br />
むねが、やぶれそうでこわい。せなかが、中のロケットにあたってじんじんしてくる。<br />
おじさんはぼくをなめながらロケットをぐりぐりうごかした。体じゅうがびくびくした。しろいおしっこが、でちゃう。でちゃうよ。<br />
「ひぅ、うっ、ぅ．．．　」<br />
おじさんのしたが、口の中ではねてるぼくのおちんちんを、くすぐった。<br />
「あうっ　あっああっ！」<br />
<br />
ひくんっとして、ぼくはおもらしした。<br />
<br />
<br />
<br />
かえるしたくをしてるおじさんに、このロケットはなんなの？　ってきいてみた。<br />
「いつか、アキラくんを、ほんとうにだっこしたいからだ　」<br />
「．．．ほんとうの、だっこ？　」<br />
「だいすきな子にするだっこだよ　」<br />
「．．．お、おじさん、ぼくのこと、すきなの？　」<br />
「おとなしく言うこときいてりゃ、だいすきだ。　はやくいっしょに、イイコトしような　」<br />
「ウン．．．」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
メガネのおにいさんが『しんさつ』にきた。<br />
<br />
ぼくは、おにいさんに、「おにいさんは、いいことしないの？　」ってきいてみた。<br />
おにいさんは、「いいことってなんだい？　」といって、ぼくをじっとみた。<br />
きゅうに、しんぱいなきもちになった。「ぼくに、さわらないの？　」<br />
「．．．きみは、いまもさわられてるのかい？　」おにいさんの目が、ほそくなった。<br />
ないしょ、だよね。　ゆびきりしたえらいおじさんは、もう、こないのかな。ぼくはべつなほうをいうことにした。<br />
「あの、．．あのね。<br />
．．．おしりの中のロケット、いったんぬいてもいい？　おトイレ、いきたい」<br />
おにいさんは、ノートになにかかいて、パタンととじた。<br />
そしてぼくからめをそらして、「したをぬぎなさい　」といった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「．．．っあう、」<br />
<br />
<br />
おにいさんは、ぼくからロケットをぬいて、出て行った。<br />
ぼくはほっとして、おトイレにいった。<br />
<br />
．．．すごく、いたくて、なみだがでた。<br />
<br />
<br />
<br />
二回目の冬がきた。<br />
<br />
ぼくのおとうさんのおとうとっていう人がきて、<br />
今日からこの人がアキラくんのおとうさんだよっていわれた。<br />
おじさんは、ひざのうえに、くろいふしぎな形の入れものをおいてる。<br />
おとうさん。<br />
そのおじさんは、おとうさんじゃないと思った。<br />
ぼくのおとうさん．．．<br />
おとうさんって、なんだろう。<br />
なんか思い出しそうで、おもいだせない。<br />
でも、&ldquo;おとうさん&rdquo;は、今までのおじさんたちのだれにもにてないと思う。<br />
<br />
ぼくは、そのおじさんと手をつないで、外に出た。<br />
とてもつめたい。　れいぞうこをあけたみたい。　せなかが、ぶるってなった。<br />
ふりかえったら、ぼくがでてきたおうちは、しかくくて真っ白だった。<br />
「ここ、ぼくのおうちじゃなかったの？　」<br />
ぼくがきいたら、おじさんは、「びょういんだぞ。しらなかったのか　」といった。<br />
しらなかった。　びょういんって名前だったんだ．．．<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
へやじゅうにげても、すぐつかまってしまう。<br />
<br />
「くちをあけろ　」<br />
「言うこときかねぇと、ころすぞ　」<br />
「そういう顔は、アニキそっくりだな　」<br />
「おれからにげたアイツのかわりだ、おまえは　」<br />
<br />
さいしょは、何を言われてるのか、わからなかった。<br />
裸にされて、手くびをネクタイでしばられた。<br />
ちゃぶだいにすわったおとうさんの足の間に、せいざさせられた。<br />
おとうさんは、またをひらいて、おちんちんをだした。赤くて黒くて、きもちわるくてびっくりした。いままでのおじさんたちより、ずっと大きい。おとうさんはそれをにぎって、先っぽのまるいところをぽろんとだした。それから、<br />
「ほれ、くわえろ　」<br />
ぼくのあたまをつかんで、口にくっつけようとした。<br />
たたみに手がついてグキッってなった。いたい。<br />
においがすごくて、ぼくはイヤイヤって首をふった。<br />
「きたないからやだ　」<br />
おとうさんは、コワイ声をだした。　ぼくの髪をひっぱって、頭をたたいた。　<br />
顔のりょうがわをつかんで、口におやゆびをつっこんだ。<br />
ぐいぐいさけちゃいそうに、あけた。<br />
ぼくはびっくりして、ごめんなさいってさけんだ。　こわい。<br />
なめるから、ゆるしてくださいってないた。<br />
そしたら、「おまえ、知ってんのか　」ってわらって、手をはなしてくれた。<br />
「だれかに仕込まれたのか？　誰だ？　」<br />
「お、．．．びょういんの、おじさんたちに　」<br />
「なんだと。　．．．こりゃあいい金づるになるな　」<br />
<br />
またなぐられる前に、ぼくは眼をつぶって、口をあけた。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
いつも、せいえきをのまされるのが、一番いやだった。<br />
どうしたって、はきそうになってしまう。<br />
のどのおくにすっぱくてニガくて、くさいドロドロがたまって、おえっとなる。<br />
つばもどんどんでてしまう。かってにのどがくるしくなって、ふるえてコクンてながれこんでしまう。なめてたあごがいたくて、じんじんする。　口をあけたい．．．<br />
はきだしたくて、おねがいのつもりでお父さんをみた。<br />
お父さんは、次があるんだから早くしろといって、コワい顔をした。<br />
だめだった。なきながらはいた。おしおきされるってわかってたけど、はいてしまった。<br />
はなみずとなみだがくるしくて、思い切りせきこんで、ぜんぶはいた。<br />
お父さんは、ものすごくおこって、ぼくをぶった。<br />
あたまがはずれそうになってころがった。こんどは、けられた。<br />
気がおかしくなって、わんわんないた。<br />
お父さんは、ないてるぼくのまたをひらいて、間におちんちんをはさんでこすった。おとうさんのおちんちんは、すごくかたい。ぼくのおちんちんがまきこまれて、つぶれそうになる。<br />
ものすごくいたかったけど、こわかったけど、せいえきのむより、ずっとよかった。<br />
お父さんは、「もっとシメろ　」といって、いうこときかないぼくのひざをガムテープでぐるぐるまいた。それから、またのすきまに入れたり出したりした。<br />
とがってかたいお父さんのあそこは、肉にあたるとすごくいたい。<br />
むかしからどのおじさんが相手でも、はげしくされると、ぼくはいつだってないてしまう。<br />
「いたいよいたいよう、やめてよう、やめてぇっ　」<br />
お父さんはぼくがなくと、わらいながらますますつよくこしをふった。<br />
そして、なんどもせいえきをだした。<br />
なまぬるいヌルヌルしたせいえきが、あそこのあいだにたまって、きもちわるい。<br />
あせがひえた体に、お父さんがおちんちんをなすりつけた。　<br />
きもちわるくって、こわくって、とりはだがたってしまう。<br />
<br />
「ザーメンクセェな。からだ、あらってこい　」<br />
ぐったりしてたら、おとうさんがガムテープを破いて、ぼくのうでをつかんで立たせた。<br />
かたがはずれるかとおもった。<br />
足をダラダラおちるせいえきが、きもちわるい。<br />
きもちわるくてじっとしてたら、タタミにこぼれたせいえきを、なめろといわれた。　こんなゴミだらけのタタミなのに。<br />
だまってたら、おとうさんはぼくのかみをグシャグシャにつかんで、タタミにかおをこすりつけた。<br />
しゃっくりがとまらない。おふろばにいった。　すごくさむい。<br />
手も足もしびれてる。残ってるテープをはがしたけど、そのいたみは感じなかった　　おふろばでみたら、またの間が真っ赤になって、血がにじんでた。<br />
すごくひりひりする。<br />
せいえきって、きずにピリピリしみる。<br />
<br />
おとうさんは、いたくなかったのかな．．．<br />
血が、なみだでぼやけてきた。<br />
<br />
おとうさんが、バイオリンをひいてる。<br />
ぼくは、お父さんの曲をききながら、おふろばのゆかで体をちぢめた。<br />
<br />
足のあいだが、燃えてるみたいに熱い。<br />
ひざをなめて、いたいのが消えるのをまった。<br />
<br />
これ．．．ぼくの、大好きな曲だ。　ドビュッシーの月の光．．．<br />
<br />
ぼくのために、ひいてくれてるのかな。<br />
．．おとうさん．．　．．．ありがとう。<br />
<br />
<br />]]>
    </description>
    <category>死神異聞録 （～07年5月　過去編/P2微クロスオーバー/18話/★◇◆）</category>
    <link>https://013txtp3.dou-jin.com/%E6%AD%BB%E7%A5%9E%E7%95%B0%E8%81%9E%E9%8C%B2%20%EF%BC%88%EF%BD%9E07%E5%B9%B45%E6%9C%88%E3%80%80%E9%81%8E%E5%8E%BB%E7%B7%A8-p2%E5%BE%AE%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC-18%E8%A9%B1-%E2%98%85%E2%97%87%E2%97%86%EF%BC%89/wand.%20%E5%9F%8B%E3%81%BF%E7%81%AB%E3%81%AE%E6%97%8B%E5%BE%8B%EF%BC%88%E4%BB%94%E4%B8%BB%E5%8F%97%E3%81%91%EF%BC%89%E2%98%86%E2%97%86</link>
    <pubDate>Tue, 31 Mar 2009 13:48:27 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">013txtp3.dou-jin.com://entry/35</guid>
  </item>
    <item>
    <title>King. 儀式の枕 （ファルロス×エレボス）★◇◆</title>
    <description>
    <![CDATA[<div style="text-align: right;"><span style="font-family: Courier New;"><font size="3"><font color="#cccccc">人知れず、世界は滅びと再生を繰り返している。</font><br />
</font></span></div>
<span style="font-family: Courier New;"> <br />
<br />
<br />
ここは意識の海．．．<br />
<br />
思わぬことは起きず、<br />
想う果てが揺らめく占水の鏡。<br />
<br />
時にあなたは追憶し、現在の行く末を夢想することがおありでしょう。<br />
それは過去を覗き、未来の可能性を視るということ。<br />
私の領域は、心の旅人がおとなう夢幻の扉の向うにございます。<br />
<br />
さて．．．　先ほどベルベットルームへ、<br />
我が主の化身がおいでになりました。<br />
<br />
アルカナの次元に生まれた大きな変化を視察なさった主は、<br />
本社へ帰還される前に私共の元へ立ち寄られました。<br />
<br />
「．．．これはこれは、フィレモン様。<br />
エリザベス、何かお飲み物を。」<br />
<br />
そして、いつものお席に着かれたあと（近すぎて眩しゅうございますな）、こう、お話になりました．．．<br />
<br />
「よい、イゴール。あちらを長く留守にはできん。<br />
それにこの仮の姿では、そんな巨大な湯飲みで茶を出されても、飲めはしないぞ。<br />
ただ．．．様子が気になって寄っただけだ　」<br />
<br />
「畏まりましてございます。<br />
<br />
エリザベスは中々よくやっておりますぞ。<br />
ただいまマニュアルの2200000000ページまで研修が進みましてな。<br />
惑星の歴史が44億年でございますから．．．<br />
．．．やっと折り返し地点でございますが。<br />
この分でしたら、&ldquo;影の主&rdquo;の干渉を受ける日までに、なんとか一人前にできるでしょう。<br />
どうか、ご心配を召されませぬよう　」<br />
<br />
「．．．果たしてそう安心していいものかな。<br />
<br />
例え手段を封じられようと．．．彼奴はそれすら嘲りながら弄ぶはずだ。<br />
更に酷く、最高に狡く．．．生命を呪う。<br />
そして、変化そのものである&ldquo;人間&rdquo;は、時に我らが思いも及ばぬ選択をする。<br />
．．．油断はできない　」<br />
<br />
<br />
「おおせの通りでございますな。<br />
わたくしも驚きました．．．<br />
因果律にて敗れた&ldquo;あの方&rdquo;が<br />
次元を超えたこちらで、あのようなお姿でおいでとは　」<br />
<br />
「&ldquo;混沌の暗黒&rdquo;が持つ千もの仮面は<br />
飽くなき自滅への衝動を隠している。<br />
<br />
奴にとっては、どれもが仮初めで虚しい。<br />
それが獣になろうが美神になろうが、本質に変わりなど無い．．．<br />
．．．奴が弱き者を破滅へ誘うように、<br />
強き者を完全へと導く私も、結局は人にとって危険な極だ。<br />
<br />
魂の望みがどちらかの極に近づけば、<br />
歳月を経て、振り子は必ず逆の極へ、危ういまでに戻ってしまう．．．<br />
<br />
．．．あの繰り返される営みを、永い間見続けてきた。<br />
奴も私も．．　結局は役目に縛られた、哀れな道化に過ぎない．．．<br />
．．．．．．．．．<br />
だが、&ldquo;私&rdquo;は決して&ldquo;絶望&rdquo;などできない。<br />
<br />
人々により暗黒から切り離された&ldquo;私&rdquo;に、<br />
そのようなモノは存在しないのだからな　」<br />
<br />
<br />
「．．．さようで。<br />
この先、あの旅人はどのような選択をするでしょうかな。<br />
大いなる死．．．あるいは大いなる影、両方の対となったあの者は　」<br />
<br />
<br />
「．．．始まりから終わりへの道を旅し分かれ道の先を自らの意志で選択できるのは、変化を内在する&ldquo;生命&rdquo;のみだ。<br />
我々には&ldquo;変わること&rdquo;が許されていない．．．<br />
いまはただ、&ldquo;彼&rdquo;の旅路を見守るしかないだろう。<br />
フッ<br />
．．．まさに彼奴が言ったとおり、『 見ているだけが積の山 』だ　」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
―――人の気配は無かった。温血動物の気配というものは、なにも。<br />
<br />
<br />
普遍の夜を切り裂いて、一瞬のあいだ、世界の影なる刻があらわれる。<br />
<br />
かつての預言者たちがそうであったように、真実を視る眼を持つ者のみが幻視し体験する――<br />
――魔が跳梁する時間だ。<br />
<br />
昼間は学び舎がある領域の時空が歪み、見る間に壮麗かつ陰湿な</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">大伽藍</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">だいがらん</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">が</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">聳</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">そび</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">え立つ。<br />
<br />
難攻不落の神の都にでも似せたごとく何層にも積み重ねられたそれは、天険をつく異形の塔だった。<br />
奇妙に虚ろなその迷宮には呼びあっては夜な夜な増えてゆく奇怪な存在があった。<br />
人々から這い出た影精．．．シャドウと呼ばれる者たちが徘徊しているのだった。<br />
<br />
時おりきちがいじみた鳴声が反響して、神聖に静まり返っていた空間を穢している。<br />
<br />
怨念が、激情が形成したこれらの陰獣たちの本質は、つまりは元の人間の</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">性</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">さが</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">だ。<br />
<br />
人々の精神の旅路を象徴するアルカナ．．．その逆位置である影の寓意にあたる意識が、お互いに呼び合い、誘われてはここに集う。受肉の限界をもつ人間は惑い乱れる宿命であり、全くの光ではいられない。完全なる闇も完全なる光も、人にとっては等しく極限の狂気だ。弱さの隙を暗黒に突かれ影に去られた人々は、調和を失い、空辣な光のみが漠然とある肉の器となり果てた。自我たる影無き精神は、もはや正常な精神ではなかった。<br />
<br />
昏き精神の塔．．．その地上に最も近い階層にあたる場所は、こう呼ばれている．．．<br />
世俗の庭、デベル。―――そこは黒の花崗岩と白の大理石で組まれた格子模様の床が続いていた。臆病と残酷と狂愛が絡み合う濃厚な嘲りの臭気が、ペストの</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">靄</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">もや</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">のように満ちている。<br />
<br />
そのフロアの一角に、二つの異界に繋がれた存在があった。<br />
<br />
迷宮の隅で、双頭の黒い巨獣が、追い詰められた者を、紅蓮の狂眼で見下ろしている。<br />
暗黒神の影に浸されながら見上げているのは、純白と黒の境界が並ぶ薄い衣装を着せられた子供だ。<br />
<br />
暗闇を厚く</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">纏</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">まと</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">う原神の、蒸気にも似た吐息に、</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">鵺羽玉</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">ぬばたま</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">の黒髪が震える。その陰に半ば隠れて、純真な白い顔、そして凛と見開かれた碧い瞳は、幽かな怯えを浮かべたまま凍りついていた。<br />
<br />
空気を伝い、不穏に高鳴る動悸が聴こえる。それと同調し息を弾ませている囚われ人の子供は、壁の中に隠れてしまいたい思いで縮こまった。<br />
<br />
眠りについていた自分を鷲づかみにして引き寄せ、夢の異界に追い詰めた存在が何なのかはわからない。<br />
だが、&ldquo;知っている&rdquo;のだ。自分よりもこの者が上位であり、適わぬ&ldquo;絶対者&rdquo;であることを。<br />
<br />
虜囚が慄(おのの)くさまを</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">炯々</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">けいけい</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">と凝視していた紅い眼が、細くなり笑った。顎の下で怯えている矮小なる存在は、暗黒神であるエレボスが望む世界の破滅を後一歩の処で成し損ねた、懲罰すべき愚鈍な隷属なのだった。<br />
<br />
<br />
<font color="#a3281b" size="-1">「．．．貴様が完全に復活するまで、消えぬ呪いで縛ってやろう。<br />
封じられたその器を、暴虐にさらし続け、悲嘆に暮れさせよう。<br />
<br />
生ぬるい悪夢ではないぞ。<br />
<br />
そしていつか、恐怖で</font></span><font color="#a3281b" size="-1"><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">腸</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">はらわた</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby></font><span style="font-family: Courier New;"><font color="#a3281b" size="-1">を捻じ切ってやろう。<br />
檻を奈落へ落とし．．．舌の根を震える歯で噛み切らせてやる。<br />
<br />
現実の屍骸から貴様を引きずりだし、鞭で打ちすえてやる為にだ。<br />
この私を心底、失望させた大罪．．　その罰にな．．．」</font><font size="-1"><br />
<br />
いかなる抵抗も無にさらしめる完全な影の思念は低く唸った。それは相手の柔かな不完全さに侵入して緊縛し、渦を巻かせる憤怒の声だった。<br />
<br />
おのれが自覚する&ldquo;喪失と脆弱さ&rdquo;を反映して、少年の中で、死神のアルカナは小さな思念体にまで転落してしまっていた。暗黒が引きずり込んだ悪夢は怖ろしい怒りに彼を曝した。細く頼りない自分の身体を抱きしめて縮こまるしかない。<br />
<br />
精神はそれほどまでに自らの想いを形に顕してしまう。童子と化した我が身の意識が危うく悲鳴を洩らしそうになり、彼は瞼をきつく閉じた。そのまま恐怖を閉め出したいように叫ぶ。<br />
<br />
<br />
「誰．．？　僕は知らない、な　なにもわからないよ！<br />
気づいたらあそこに居たんだ、僕は貴方に何をしたの？<br />
<br />
っ、　．．どうして怒ってるの？　ここは、貴方のお城なの？　」<br />
<br />
</font><font color="#a3281b" size="-1">「愚かな．．．<br />
地上に散ったアルカナと共に、小宇宙の記憶全てを砕かれたか<br />
いかにおのれを忘れようと、私に&ldquo;慈悲&rdquo;なる感情があると思うな。<br />
．．．私は全ての次元に繋がる混沌であり、純粋な絶望だ　」</font><font size="-1"><br />
<br />
ひび割れた息が、轟音をあげてアルカナを襲った。無数の硝子の破片のように鋭い悪意の息吹を叩きつけられる。彼は肩を竦めて迷宮の壁に頬を押し付け、融けこまんばかりに逃れようとした。だが滅びの塔の壁は真の主人の為に冷たく彼を拒み、あまつさえ四肢をその場に縫い留め、磔にした。<br />
<br />
「ぁ、　．．．放して、やだよ、はなしてったら！」<br />
<br />
</font><font color="#a3281b" size="-1">「ククク．．．<br />
餓鬼にまで萎えた貴様に与えた呼び名は</font></span><font color="#a3281b" size="-1"><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">Phallus</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">ファルロス</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby></font><span style="font-family: Courier New;"><font color="#a3281b" size="-1">．．．<br />
<br />
元型の祭壇に屹立し君臨する、かつて人間どもの崇拝を集めた性なる神の名だ。　．．．フハハハハハハハ！　」</font><font size="-1"><br />
<br />
皮肉を込めた嗤い声が辺りにおぞましく立ち込める。潤んだ靄を突いて、哀しみの声が叫び、響いた。<br />
<br />
「待ってよ！　ぼくは、なにもしてない．．！<br />
ここはいやだ、出してよっ！　ゆるし、．．．　ッ！？」<br />
<br />
太く凶悪な爪が足首にかかった。囚人衣の胸元を抑えていた子供はひっと小さく息をつめた。少しでも動けば鉤裂かれてしまいそうだ。祈りも虚しく、邪悪の蹄が一気に脚を掻き上げた。顔近くまで挙げて壁につけた手が、未知の恐怖に握り締められる。<br />
<br />
</font><font color="#a3281b" size="-1">「何もしていない．．．確かにな。<br />
成すべきを成さず、雄の肉に取りこまれた気分とは如何なるものだ？」</font><font size="-1"><br />
<br />
顔を覗き込まれ、子供の碧い瞳が焦りを浮かべて瞬いた。唇が震え、目前の奈落に何かを訴えようと形づくられた。しかし、そんな動作さえも黙殺されようとしている。<br />
艶めいた爪の切っ先が、僅かに開かれた肢の間にあてがわれ、柔弱な器官を探り当てると、一気に喰いこみ突き立て、容赦ない強さで圧し始めた。<br />
<br />
「ぅッ　あ！　．．ぁ、　．．あッ　．．あぅっ！」<br />
<br />
無遠慮に凶暴に芯を刺されるたび、悲鳴がこぼれ落ちた。<br />
<br />
</font><font color="#a3281b" size="-1">「全ての人間は、この太陽の化身．．．男根より</font></span><font color="#a3281b" size="-1"><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">胤</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">たね</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby></font><span style="font-family: Courier New;"><font color="#a3281b" size="-1">まかれた。<br />
生殖の結実に繋がれ、皮に包まれた肉が逃れえぬ性の衝動と死滅．．．<br />
<br />
愛の介在も無く秘術によって地上に創られた貴様は名乗るがいい。<br />
．．．儀式の&ldquo;ファルロス&rdquo;と　」</font><font size="-1"><br />
<br />
「ッ．．　名．．？　っぼく、は．．．」<br />
<br />
嘲りも露わな暗闇の声が、爪が、彼の</font></span><font size="-1"><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">霞</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">かす</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby></font><span style="font-family: Courier New;"><font size="-1">みそうな意識をかき乱し断ち割ろうとする。<br />
抗うためですら漆黒の闇に触れるのを怖れた。諸手で髪を掴み、ぎゅっと顔をしかめたファルロスは激しくかぶりを振った。<br />
<br />
「だれなの！？　．．．ぼくは！」<br />
<br />
</font><font color="#a3281b" size="-1">「俗世に満ちたアルカナの交わりに形を与えられ、<br />
人間どもの垢染みた法則の&ldquo;奴隷&rdquo;に朽ち果てたのが貴様だ。<br />
<br />
地上に堕ち、砕かれ、神聖を失った貴様に．．．教えてやろうではないか。<br />
<br />
異次元の私．．．　そして血肉に封じられた貴様に相応しい、汚れきった支配というものをだ．．．」</font><font size="-1"><br />
<br />
陰獣の王が放つ深紅の怒りは、荒々しく宮殿を揺るがし、虚空すら慄然とさせた。童神が囚われた部屋に満ちる気配が変わりはじめている。<br />
時至り、轟音を発して赤黒い竜巻が巻き起こった。部屋を埋め尽くさんばかりだった暗黒神の姿は、いつしか浮遊する黒い砂と化して、天井に生じていた空間の歪みに雑じり合った。<br />
<br />
歪みはおぼろな光と闇が交互に綾をなし、中心の穴から混濁した螺旋を放っていた。穴の中は何もかもが交雑していて何色とも呼べず、ただ不気味な気配が見え隠れしている。<br />
そして、まるで砂時計の内側のように、闇の神の纏っていた巨大で重い霧がザラザラと崩れはじめた。風化したように、白い頭骨が現れ、巌のような歯が露呈した。噴火山のマグマのように、眼球が融けて濁流となり、燃え落ち滴りながらも逆流し、時空に空いた穴へと吸い込まれてゆく。<br />
<br />
<br />
ファルロスと呼ばれたその神は、胸の内で膨れ上がる不安と葛藤を必死になだめ、安心と冷静さを取り戻すよう努めた。意識の片隅では、自分が傷つき易い&ldquo;何か&rdquo;を護っている状態であると悟っていた。自分が怯えれば、その&ldquo;何か&rdquo;も怯え、恐怖に苦しむことになる。<br />
<br />
彼はゆっくりと手を下ろし、硬い面持ちのまま、眼の前の変わりゆく存在を見あげた。彼を思うがままに扱うことを躊躇しない、無形の悪意を湛えた巨神。それは歪む天から大量の胞子と化して降り、徐々に異界の姿を形作りつつあった。<br />
<br />
<br />
「やっぱり．．．貴方が何者なのか分からない。<br />
なぜ、僕を憎んでいるのかも分からない。<br />
．．．&ldquo;覚えていない&rdquo;と言った方がいいのかな。<br />
<br />
だけど、言うよ。<br />
僕は誰の言いなりにもならないし、支配はされない。<br />
貴方が僕に何をしようとね．．．」<br />
<br />
<br />
</font><font color="#a3281b" size="-1">「クク．．．それでこそ、我が愛する唯一の友．．．　」</font><font size="-1"><br />
<br />
暗黒の姿は、煉獄の守護獣のごとき形から、変容をとげていた。<br />
艶のない黒いスーツ姿に、冥界の火流が飛び火したかのような焔の双翼を生やしている。<br />
無貌の神の異名に相応しく、青白い皮膚に唇が一筋あるだけだ。<br />
その裂け目から鋭い歯がのぞき、三日月のように妖美な輪郭を描き、嘲笑の笑みをつくった。<br />
この次元ではエレボスと呼ばれる闇の神は、ファルロスに近づき、乱暴に顎を捕らえ、無理矢理、頭を仰き反るようにさせた。<br />
<br />
「あっ．．．」<br />
<br />
愕然としてファルロスの両眼が丸くなった。碧おもてに炎がちらついているような瞳に動揺の影がさしこんだ。<br />
鼻先に、無数の牙が溢れた顎が近づいていく。その奥では紅く発光した花弁のように肉厚の舌が、陰湿にもぞりとうごめいていた。<br />
凄絶な威嚇に視界を侵され、背筋がゾクリと痺れた。瞬きも忘れて異形の容貌に魅入った。<br />
長い舌が空を舐め廻して引っ込む。開いたままの顎を動かすことなく、エレボスは地獄の響きで囁いた。<br />
<br />
</font><font color="#a3281b" size="-1">「愛無き欲望は私が与える狂気の衝動だ。<br />
孤独に置かれ飢えが募った人間は．．．<br />
餌食を求め．．．<br />
おのれの</font></span><font color="#a3281b" size="-1"><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">兇刃</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">きょうじん</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby></font><span style="font-family: Courier New;"><font color="#a3281b" size="-1">がどこまで犠牲者に呑み込まれるかを知りたがる。<br />
私自身はその愚かな衝動に駆られたことなど無い</font><font color="#a3281b" size="-1">．．．が、</font><br />
<font color="#a3281b" size="-1"> <br />
クク．．．だがこの機会に．．<br />
人間どもが耽溺する程のその享楽を、貴様で果たしてやる事にしようか　」</font><font size="-1"><br />
<br />
唇が大きく開き、剥き出された牙が閃いた。素早くファルロスの咽喉に寄せられたそれは、次の瞬間に深々と食いこんだ。驚愕にひきつり蒼白になった顔が、次いで灼熱の混沌を打ち込まれ、苦悶に歪んだ。その熱さ、純粋な絶望が与える強大な痛み。力を失い膝が崩れ落ち、冷たい石床に手がつき、腹這いになった。その背に、黒い邪神の姿が広がった。<br />
<br />
「いッ！！　　――――ッ！」<br />
<br />
後ろから首筋に牙を突き立てられ、その毒牙からエレボスの悪意が注入され、爪の先まで暗く冒されていく。冒されながらもファルロスは、か弱いながらも残る力を尽くし自らを鎧った。といっても、せいぜいできたのは、微動だにせず声も上げずに耐える事ぐらいだ。苦渋に満たされ、食いしばる歯の隙間からブツ切りに押し出された。<br />
彼は気付いていた。何か怖ろしい事の片棒を担がされているのだと。これが現実であれ夢であれ．．．　この深遠なる存在が語った言葉は、自分が忘れ去った世界を象っている。記憶を失ってしまった事をよそに、何かが起こりつつあるのだ。途方も無く不吉な事が。<br />
黒々とした冷たい闇がむせ返るほどに凍みこんでくる。息を詰めて、ファルロスは最後の砦を護るべく手を握り、意識をかき集めた。<br />
<br />
何故かはわからない。<br />
しかし、&ldquo;そこ&rdquo;だけは死守しなければならない。<br />
そうしなければ、&ldquo;二人とも&rdquo;破滅だ。―――<br />
<br />
</font><font color="#a3281b" size="-1">「．．．見上げたものだ。<br />
ゼウスに春を鬻ぐ少年の如き姿にまで堕落しながら．．．<br />
私の絶対なる呼び声に扉を閉ざすとは　」</font><font size="-1"><br />
<br />
エレボスは哂い、ふたたびギザついた血塗れの咬み痕に唇を重ねて吸った。冥い誘惑が溶けた毒が、呼び声となり意識を侵していく。連れ去られる先は暗黒の最下．．．奈落だ。<br />
圧し掛かられたファルロスの身体が激しく震えだした。眠りの時を、地上の肉との共棲に費やしていた少年の肢体が。肌の破れ目から潜りこみ、直接意識に舌を穿ち、心を嬲る意図で舐めずりまわすエレボスの接触が、急激に耐え難いものに変わっていく。真の力を掻きたてた邪神は、破片になりはてた幼い神を手加減も無く冒涜し続けた。<br />
熱狂する災禍、墜落。―――<br />
白い幻影に嫌悪され、石を投げられた辛苦の味。<br />
粉砕の鉄槌てっついに断ち割られ、果たせなかった役目。<br />
責め罵った声、――塵に等しい価値だと．．．<br />
<br />
こらえきれなくなり、ファルロスは唇を覆った手の内に、悲鳴をくぐもらせた。<br />
「――――――やぁっあッやめて！　ッああ、這入ってこないでっ！<br />
こわ　れ　ちゃ、　ぼく　の　．．．　」<br />
防衛に専念する間うつろだった瞳に発狂の暗闇が兆した。赤黒く染まった意識の波に覆われ、エレボスを挟んだファルロスの両足が突っ張る。床についた片腕が伸ばされ奮え、強張った指が救済を欲して掴む形に曲げられた。<br />
無限の恐怖だ。真っ暗な口に呑みこまれて転がされる&ldquo;悪夢&rdquo;。<br />
棲家にとっては&ldquo;夢&rdquo;でしかないそれも、自分の身には確かな現実として刻まれてしまう。<br />
それでも、不確かで曖昧な何かを、解らないながら気遣い続けることにした。<br />
ファルロスの瞳に、突如、蒼炎が躍った。<br />
全身にくまなくひたされた闇が、鮮やかな匈奴の可虐へと変貌し、遠慮なくまさぐり始めたのだ。<br />
凶兆が忍び寄り、それはすぐさま彼を、より深くより残忍にえぐった。<br />
彼の身体は撥ね、息つく余裕もないまま、暴れだした。<br />
「も．．　やめてぇえッ！いやぁああ！あ゛ーッ！！　」<br />
絶叫が塔に反響した。首の痛みだけでも視界が血塗られるほど鮮烈な悪意だというのに、それすら殺し、背骨を疼かせる怖ろしい快感が芽生えた。その淫蛇のごとき感触は、ズルズルとファルロスの背筋に沿って腰へ伸びていく。まるで一つの入り口であるかように、傷に穿たれる舌が、触れられてもいない過敏な裏をも刺激しはじめた。エレボスが故意に操っているとしか思えない、苛烈なまでの激震だ。高波に襲われ、焦がされたファルロスの意識は熔けて乱反射した。彼が堅牢に護る奥底に僅かな聖域を残し、全てが痛みと疼きに裂かれていく。重く迸る鼓動が、肢の奥で狂わんばかりに逸る。か細い身体が淫虐に揺さぶられる。指が開き、折れんばかりに床に縋ろうと引っ掻いた。<br />
「ぎっ．．．．ひぃ、ひ．．　ヒッい、イ、い゛っ　．．．」<br />
<br />
</font><font color="#a3281b" size="-1">「クク．．．　欲しいのか。<br />
いいとも、与えてやろう．．　人間と同じ方法でな。<br />
我が欲望の吐け口に、美童の貴様を抱くのも悪くない．．．」</font><font size="-1"><br />
柔らかい咽喉を咬んだまま問いかけて、エレボスは自分の釦を二つ外して衿を弛めた。<br />
組み敷いているファルロスの背は、傷口から魔性のウィルスを送り込まれてびくびくと波打っている。髪の根が汗に濡れはじめていた。邪神は彼のあがきを咽喉の一点で抑え、片脚を挟んで縛めた。餌食の下肢を包む縞模様の衣装の上から撫で回せば、子供らしい小さな腰の骨がわかる。鋭い爪の伸びた指が服と肌の境を探して這った。単純なつくりの衣装の背から手がするりと入る。いたずらに肌をかき鳴らされたファルロスの痩せた身体が、前部を守ろうと丸められた。だが矛先は背中から腰の下へと、果皮のように衣をむきながら更に進み、薄い肉が貼りあわされて閉ざし守る、欲情の捨て場が隠された狭間へと滑り入った。<br />
「っ．．．あっ　やめて、もう厭だ、やめて．．．」<br />
</font><font color="#a3281b" size="-1">「ならば、この淫らがましい孔の息づきはなんだ．．．<br />
その口が吐く言葉はここと違い、何一つ真実ではないのか？　」</font><font size="-1"><br />
冷やかにあしらい、舌先で耳奥までねぶり、接吻を加えながら．．．エレボスは囁いた。そして苦しみと快楽に追い詰められて歪む童形の横顔を嘲笑う。嗤いながら柔肉をもてあそんでいた中指を、人と同じ場所に造られた初物の口に突き入れた。ファルロスの内側はぬめり、引き絞られる寸前で邪神の指を受け入れ、根元までのみこんだ。<br />
「―――ぎッ！　きゃあああッ！！」<br />
悲鳴がほとばしり、中を無遠慮にえぐり弄ぶ可虐から逃れようと腰が高く跳ね上がった。子供の下半身の中で、エレボスは、後ろに穿った指を根元で曲げ引っ掛け、そのまま上へ吊り上げた。そうして引き寄せた白い果実のような腿に、己の猛らせた象徴の形をおしつけて刷り込んだ。<br />
「ぅああッ　　っは、　う．．　」<br />
その瞬間、今まで切なげに眉をしかめ、縁に潤んでいたファルロスの眼が熱をたたえて赤らみ、朦朧とさ迷い始めた。背後の奈落に強要されている硬く大きな&ldquo;何か&rdquo;の感触。その塊りは彼の肉の反駁を誘うように、肌の弾力を欲して突いてくる。最初に股間を弄ばれながら聞いた&ldquo;男根&rdquo;なる言葉とそれは明瞭に結びついた。神聖な大いなる陽のイメージが、ぎらついたフレアの熱で彼を包んだ。<br />
「あハぁ、　は．．．ぁ、．．ハァッ、あ、」<br />
迷宮の陰惨なモザイクに、湿り気を帯びた幼い喘ぎが揺らぐ。守ることのできない粘膜をちくちくと刺す、爪先の冷酷さ．．．指の腹がうごめいて、淫猥なざらつきに襲われ、膝がガクガクと震えてしまう。<br />
新たな指が、入り口を拡げながら侵入してくる。増えた指が壁と擦り合いながら、狭い道を無理に押し広げ、奥に至るまで進む。ひくりと咽喉奥が動いた。口腔に溜まった温い甘みが、痺れる刺激に開いたままの唇からこぼれ、舌先から石床に滴った。<br />
ファルロスの肌理細やかな皮膚に、彼の陥落を思い知らせるかのように、邪神の鉤爪は綻びをひろげてゆく。エレボスは、手中に堕ちた少年神が秘める微熱の疼きを、悶える脇腹の皮膚の感触を、愉しみながらゆっくりとてのひらを這わせた。上衣をめくりあげ、胸に飛び出した尖りをかすかな接触を与えつつ撫で回す。あるか無きかのその摩擦に戸惑い、ファルロスは掠れた声をあげて中身を切なそうによじり、エレボスを締め付けた。<br />
<br />
</font><font color="#a3281b" size="-1">「．．．貴様の痴態はナルシスの妖しさではないか、ファルロスよ．．．<br />
いずれは墓場で不遇をかこつ運命の神とは．．思えんほどだ．．．」</font><font size="-1"><br />
低く、淫靡に囁かれる声が上から降りて、彼を逃れえぬ鎖に繋ぎとめようとする。だが、ファルロスには気を向ける余裕さえなかった。二本挿しに埋め込まれた太い指の腹は、薄い襞の引き攣り、辱めに我を忘れた呑込むような動きを味わい、ねっとりと上擦りながら掻きまわしていた。「っく．．．　ンくッ、ンうっ」後ろから襲う快楽を噛み締めてびくつく下肢から衣が抜き去られた。<br />
エレボスはそのまま露わになった膝を押し広げ、</font></span><font size="-1"><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">熾</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">おこ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby></font><span style="font-family: Courier New;"><font size="-1">りに震える細木のようにしなやかな脚を外側へずらした。<br />
そして陵辱のために変化させた自分の股間を解放した。既に弾けんばかりに膨張していた男根がまろび出る。その長く太い鞭は、ファルロスの肢の間をしたたかに打った。<br />
（．．．．．．ッ、）<br />
驚きに蒼ざめ、本能的に閉じようとするファルロスの抵抗を潰すと、エレボスはのしかかったまま小さな身体を開いていった。<br />
<br />
頭や体は蕩けながらも哀哭に胸を灼かれ、とっさにファルロスは腕に顔を押し当てた。この者の意図がなんであれ、不吉な予感を超えた確信が指し示している。自分を組み敷いている相手が目的としているのは、いま疼きがたまらなく蕩けている下半身の奥だ。冥い欲動の波が、獣のように彼を犯そうとそこへ狙いを定めている。<br />
もう、ここから消えてしまいたいと願った。しかし、その懇願すら粉砕する快楽への疼きは、芯を弾けさせようと奏でる残酷な脈動をやめない。彼は腰を釣上げられたままの姿勢で、顔を伏せ、手首の袖口を咥え、きつく噛んだ。何をされようとも悲鳴、喘ぎを洩らすまいと自らに課し、塞いだ。<br />
<br />
その様子に気づいたエレボスは、はだけられた腰に腕をまわし、緊縛に身をよじるファルロスを、床に座した自らの上に引き起こした。とつぜん体勢を変えられて朦朧とし、幼神が戸惑う様を微細に指先で感じとり楽しんだ。そして、思わず唇が袖からはなれるのを見届けると、今まで孔を広げ捻じ込んでいた硬い指を、叫び声があがるように、曲げたまま抉るように引き抜いた。<br />
「ひっ　．．．ッイ！」わななきのたうつ身体に邪神は笑みを浮かせた。そのまま両腕で後ろ肢の膝裏を掬い上げた。もがくファルロスの肢を抱え、大きく開かせる。<br />
ファルロスの眼に、後ろからあられもなく晒された自分の姿が、眼の前の壁に薄い鏡像となって映った。<br />
のっぺりとした容貌に陰花のごとく牙が咲いた名も知らぬ者が、自分の身体を胸まで串刺しにできるほどの黒い大蛇を何匹も生やし、サバトの悪魔のように座禅している。<br />
脚と変わらぬ太さのものが、逆立つ鱗を輝かせ、蛇腹を伸ばして目前で鎌首をもたげた。<br />
ファルロスに向かって牙を剥いたそれは、<br />
赤い眼に走った黒い亀裂を細め、先割れた舌を出しなめずった。<br />
今からお前の内側を貪ってやる、と嗤った―――<br />
意識に暗雲が発ち込め、ファルロスはもがき、無我夢中で壁に向かって腕を突き出した。<br />
「．．．たすけてっ！　厭だあッ！　やめて―――ッ！　」<br />
<br />
</font><font color="#a3281b" size="-1">「貴様は実に私の扱いが巧い．．．<br />
この叫びと恐怖．．惨たらしい遊戯にじつに相応しい序曲だ．．．」</font><font size="-1"><br />
<br />
<br />
<br />
<br />
その惨劇が少年を襲ったとき、<br />
虚空を掻く両腕が弾み、弧を描き、力尽きて垂れ下がった。<br />
<br />
弓なりにしなった背を裂いて、氷の煉獄の鈍柱が髄と襞を貫いていく。<br />
絶叫するファルロスの頭がエレボスの肩に倒れかかり、開いた唇から舌がはみ出した。<br />
絶望に征服され、侵攻に突き上げられ、屈服の味を刻み込まれるたびに、瞳孔の絞られた瞳からは、深紅の雫が溢れて飛び散った。<br />
<br />
それは、彼の青白い頬を濡らし顎へとつたい、犯される身体の上を滴った<br />
<br />
（．．．．．赤．．．　</font></span><font size="-1"><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">赤</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">アカ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby></font><span style="font-family: Courier New;"><font size="-1">　は　　．．．）<br />
</font><br />
<br />
<br />
<font color="#a3281b" size="-1">&ldquo;檻&rdquo;に群がる弱き者は<br />
<br />
私に影を握られ可虐の衝動に狂乱するだろう<br />
我らが婚姻を阻んだ者よ<br />
穢れた肉ごと苦しむがいい<br />
底無しの奈落へ落ちゆく絶望に</font><br />
<br />
<br />
<br />
<font color="#009900" size="-1"><br />
<br />
<br />
<br />
「ぅあっ．．．ッ　　ハァ、　ハァ．．．．．．．．は、」<br />
<br />
目覚めると、冷たい汗が全身をびっしょりと覆っていた。<br />
<br />
破裂してしまいそうな怖れがこみあげ、激しい動悸に襲われる。<br />
ゴトゴトと音を立てて轟く。　こめかみに刺すほどの痛みと焦りが伝う。<br />
<br />
「．．．はあ、はぁ、　．．．、　ふ．．．ぅ、」<br />
<br />
呼吸がなんとか鎮まるまでには、長い時間が必要だった。<br />
<br />
彰はベッドに仰向けに横たわったまま、恐る恐るそっと眼を開いた。<br />
冥い天井に、無数の記号や象形が煌びやかに踊っている。<br />
<br />
白いカーテンから透けている、色つき硝子のビン底に溜まった光。<br />
なにもかもが水面を通してみているように、茫洋と霞んでいる。<br />
<br />
身体はまだ夢の中にふわふわと浮いているようだ。事実、彼はずっと後になるまで、この不思議な夜のことを夢の続きと信じていた。<br />
<br />
（へんなゆめ．．．）<br />
<br />
回廊から垣間見える、光り輝く空、風の上を駆ける白い雲。<br />
どこかの宮殿に、大きくて立派な玉座が置かれていた。<br />
おとぎ話の中でほんものの王さまが座るような、<br />
赤いふかふかの特別な椅子だ。<br />
玉座には、不思議なモノが立っていた。<br />
とても大きくて、太くて、最初は樹の幹かと思った。<br />
<br />
ぼくの裸の脚みたいな色をした、肉と皮でできた不思議な樹。<br />
てっぺんは、髪も顔も無い、まるい頭に似た何かがのっかっていた。<br />
頭のてっぺんには、黒い小さな眼がひとつ、あった。<br />
<br />
それはじっとうごかずに、まっすぐ前をみつめていた．．．<br />
その後ろには、奇妙な真っ暗闇があった。<br />
紅い眼が光る真っ黒な風車が、裸の王さまを頭からばりばり食べようと口をあけている。<br />
<br />
だれかの声が天空に響いた。「そう、あれが人喰らいだよ．．．」<br />
<br />
<br />
（この枕をもらってから、へんてこな夢ばかりだ．．．<br />
．．．あした、こっそり川にすてに行こう。）<br />
<br />
</font></span><font color="#009900" size="-1"><br />
</font>]]>
    </description>
    <category>死神異聞録 （～07年5月　過去編/P2微クロスオーバー/18話/★◇◆）</category>
    <link>https://013txtp3.dou-jin.com/%E6%AD%BB%E7%A5%9E%E7%95%B0%E8%81%9E%E9%8C%B2%20%EF%BC%88%EF%BD%9E07%E5%B9%B45%E6%9C%88%E3%80%80%E9%81%8E%E5%8E%BB%E7%B7%A8-p2%E5%BE%AE%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC-18%E8%A9%B1-%E2%98%85%E2%97%87%E2%97%86%EF%BC%89/king.%20%E5%84%80%E5%BC%8F%E3%81%AE%E6%9E%95%20%EF%BC%88%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%82%B9%C3%97%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%83%9C%E3%82%B9%EF%BC%89%E2%98%85%E2%97%87%E2%97%86</link>
    <pubDate>Tue, 31 Mar 2009 13:10:49 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">013txtp3.dou-jin.com://entry/34</guid>
  </item>
    <item>
    <title>Queen. 智慧の実 （デス×主人公）◇</title>
    <description>
    <![CDATA[<span style="font-family: Courier New;"><br />
水晶の</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">坩堝</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">るつぼ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">のなかで、高らかに笑う魔獣の声を聴いた<br />
まっ黒なともだちが、歓びに角を震わせて吼えている<br />
<br />
ぼくが役目を果たす刻の到来を<br />
</span><ruby><span style="font-family: Courier New;">暗黒</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">ともだち</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp><span style="font-family: Courier New;">が</span></ruby><span style="font-family: Courier New;">祝福してくれた<br />
<br />
<br />
．．．．．．<br />
<br />
ねえ<br />
きみの希望は、ニンゲンにとってもやっぱり希望なの？<br />
<br />
そっか．．．そうだよね<br />
<br />
あんなにたくさんの命が、ぼくを招いてる<br />
ぼくを、呼んでる．．．<br />
<br />
よかった<br />
ニンゲンが、ぼくを選んでくれたんだよね<br />
<br />
そう、だよね<br />
<br />
ソウゾウしてくれなかったら、ぼくは存在できないもの！<br />
<br />
．．．待っていて<br />
もうすぐ、終わりがくるよ<br />
<br />
みんなを、苦しみから自由にしてあげる<br />
どんな苦痛や束縛からも、きみたちを解放してあげる<br />
<br />
世界に満ちた深紅の嘆きを終わらせる<br />
それは<br />
ぼくが贈ることのできる、たった一つの優しい</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">加護</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">ギフト</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">だから<br />
<br />
<br />
消滅する宇宙に独りで残される時．．．<br />
<br />
そのとき僕は<br />
どんな顔をしているんだろう<br />
<br />
<br />
これから12のアルカナ、生命の辿る旅路の影に姿をもらう<br />
<br />
本当ならぼくは産まれるはずの無い、終焉に待つ者<br />
幾億年も先の遠い未来に、寿命が尽きた星を看取る定めだったのに．．．<br />
<br />
古の契約を、誰かがみつけたのか<br />
星に満ちる生命が自ら結末を選ぶ方法<br />
最初の生命が母なる者と交わした聖なる約束<br />
<br />
あの契約を．．．人間が<br />
<br />
僕は架せられた宿命に従い<br />
いまここに<br />
きみが星母と交わした婚約を成就させよう。<br />
<br />
<br />
The Fool<br />
熱狂の風よ、意志の泡から生まれた僕を迎えて<br />
<br />
The Magician<br />
強い意志よ、僕を掴み滅亡の夢を叫んで<br />
<br />
The High Priestess<br />
心の奥底に満ちる呼び声、僕はそれに応える<br />
<br />
The Empress<br />
生が持つ輝き、それは母なる者がもたらした奇跡<br />
<br />
The Emperor<br />
誰かが望んだ消滅が、やがて世界を占領し支配した<br />
<br />
The Hierophant<br />
這い寄る暗闇に導かれ、彼だけを友に、僕は意識の海を漂い続けた<br />
<br />
The Lovers<br />
友だちの喜びは僕の歓び。心が通じ合う意味を、僕は知ってる<br />
<br />
The Chariot<br />
きみを囚われの絶望から希望へ解き放つ、それは僕の翔ける力<br />
<br />
Justice<br />
僕は全ての者たちに等しく虚無を捧げよう<br />
<br />
The Hermit<br />
世界は檻の崩壊を望んだ。その願いを必ず果たそう<br />
<br />
Wheel of Fortune<br />
永劫、時と共に回り続ける、残酷な孤独が待っている<br />
<br />
Strength<br />
僕は力絶えるまで受け入れる。それが決められた定め<br />
<br />
The Hanged Man<br />
避けようのない運命の吊るし木が、僕から反逆の術を奪う<br />
<br />
<br />
時は来た<br />
滅びの塔よ、婚姻の鐘を鳴らせ<br />
<br />
彼方より女神が堕天した刹那<br />
星に始まりの命が生まれた<br />
<br />
誕生の記憶は忘れ去られ、誰も真の名を知らない<br />
<br />
深淵に眠る、あの母なる花嫁を呼び覚ませ<br />
<br />
冷徹なアルカナの理よ　世界の神々の願いよ　全ての命の意志よ<br />
<br />
魂たちよ<br />
<br />
僕は　きみ達の望みに応え　降臨する<br />
<br />
</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">滅びを告げる神</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">THE DEATH</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">だ<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
月と地球は惹かれあう。<br />
<br />
互いに引き寄せあう海の波は、</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">凪</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">なぎ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">の夜も嵐の夜も止むことなく碧い惑星を揺るがしてきた。億年を超える太古に星が聴いた最初の歌は、いまも変わらず地に伝わっている。<br />
<br />
その歌はつねに地を削ぎおとしてゆく。&ldquo;現在よ壊れろ&rdquo;と囁く変化の調べを奏でる。降り積もった過去は命の記憶を留める</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">柩</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">ひつぎ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">となり、遺骸たる思念はその中に宇宙の記憶を留めてきた。<br />
いずれは遥かな未来に来るべき星の終焉のために、太陽と月と海と大地は歌い続ける。<br />
全てが消え去るときは、いつか訪れる。<br />
<br />
寄せてはかえす波間から生まれいづる幾千幾億もの泡。<br />
そこから最初の生命は生まれた。いまは存在も名も伝わらぬその者は、&ldquo;あの旧い記憶&rdquo;を持っていただろうか。<br />
原初の惑星に&ldquo;死&rdquo;をもたらし、変化の鉄則を与えた者。<br />
かの&ldquo;星を喰らう者&rdquo;が到来し、夜の女王たる月が生じた時の記憶だ。<br />
<br />
その現象は、全てにとっての&ldquo;死&rdquo;が姿を決めた瞬間であり、<br />
全ての&ldquo;生&rdquo;が在りようを決められた瞬間であった。<br />
海に抱かれた、大地にあらざる揺り籠、―――人の世が造りだした箱舟は、いま、</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">Arcana</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">アルカナ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">に支配された一つの世界を極へ導こうとしていた。<br />
<br />
星が歳経た年月、そのあいだに降り積もった幾多の事象．．．そして夢想が、終焉を前に鎮まりかえる。<br />
<br />
<br />
．．．．．．<br />
<br />
友だちとは似ても似つかない白い衣の者たち<br />
ただ一人、老王の歓びを除いて<br />
みんな僕を指差し、蒼ざめた波を打ちつけた<br />
<br />
これは恐怖<br />
そして嫌悪の色<br />
<br />
どうして？<br />
<br />
僕は呼び声に望まれて来たはずなのに<br />
<br />
どうして？<br />
<br />
苦しいよ<br />
痛いよ<br />
<br />
痛みを知りながら現れる身体<br />
<br />
喰らいあうアルカナの叫び<br />
勝利の雄叫び<br />
<br />
食い合ってる<br />
<br />
僕が<br />
<br />
ぼくが！<br />
<br />
たすけて<br />
<br />
たすけて、暗黒！<br />
<br />
白い衣の者たちが<br />
<br />
ぼくを壊そうとしてる．．．<br />
<br />
<font color="#000000"><br />
<br />
<br />
<br />
<font size="2">「発見したであります　」<br />
<br />
醜い顔には、腐り落ちたかのように下顎の骨が覗いている。下肢には触手が生えているが、まるで溶解した内蔵が垂れているようだ。その者の巨大な身体は、引き裂かれて</font></font></span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000"><font size="2">襤褸</font></font></span><rp><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">(</font></span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000"><font size="1">ぼろ</font></font></span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">)</font></span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000"><font size="2">と化した黒衣に覆われていた。<br />
Aegisは敵を確認すべく、異様な姿にもひるまず、無造作な視線で探り識別した。<br />
<br />
「貴方がDeath．．．オレの敵。　オレの最優先でありますね？」<br />
<br />
エルゴ研究所の爆発によって人工島一帯はジャマーの刺激が撹乱していた。しかしAegisは冷静にデスを見つめ、捉えた映像に向けて、継承した力のコマンドを解放した。<br />
<br />
――――PERSONA！<br />
<br />
実行とともに、内部にたくわえられた高い熱が激しく放出された。<br />
周囲の質量が一瞬のうち凝縮し、爆発的なエネルギーとなり、噴き上げる高熱の水蒸気の渦をまとい、凄まじく空間を引き裂いた。冷酷な表情のAegisの上に血煙の層雲が現れる。その隙間から畏怖の光が発し、矢のように天空へ立ち昇った。光は情報の海より目指すコードをすくいあげ置換し、瞬時に機械の少年の自我に向かって打診した。<br />
<br />
『我はアズラエル．．．<br />
誕生と死の記録を職とし　神の救いを教示する天使なり<br />
<br />
封印の盾よ<br />
<br />
その身が壊れようと職務を果たせ<br />
役目のみが汝の証―――』<br />
<br />
Aegisが両腕を突きだし身体をたわめ、疾風のごとく跳躍した。月天より大天使のペルソナを背後に、敵めがけて銃弾を叩き込む。死天使の喇叭が闇の審判を敵に告げた。死のアルカナの姿が逆巻く黒煙にとりまかれた。しかし振り下ろされた波動が凶弾を易々と弾いた。死であるデスに、闇の攻撃は無効に等しい。だがデスの欠片は激しい敵意に突き刺されていた。晴れ間に現れたその手には怒りの刃が握られている。基が思念体であるアルカナの具現にとって、また死の属性を持つ者にとって、心の武力である敵意は耐え難く相容れない波動だった。死は敵意を知らない。生命の抗いを知ってはいても。なぜなら、死を攻撃する術などこの世には存在しない筈なのだから。だが生まれるはずの無い13番目のアルカナとして顕在したデスは、赤黒い敵の意志に直面し、怒りというものを学習した。攻撃され、デスの闇の眼窩に初めて敵意らしいものが点じた。それは、Aegisの殺意を返すかのように、彼そっくりの碧い眼光となって顕われた。<br />
<br />
<br />
ガアアアアアアアア！！<br />
<br />
デスは吼えた。腕が振りあがり、黒煙が泡だって千切れ千切れに吹き飛んだ。崩れゆくみずからをも</font></font></span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000"><font size="2">撥</font></font></span><rp><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">(</font></span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000"><font size="1">は</font></font></span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">)</font></span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000"><font size="2">ね散らしながら、デスは刃に死の宣告を乗せ、Aegisの残影を</font></font></span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000"><font size="2">薙</font></font></span><rp><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">(</font></span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000"><font size="1">な</font></font></span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">)</font></span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000"><font size="2">ぎ払った。風の切っ先が至る寸前で、機械は再び上空へと跳んだ。かろうじて逃れたAegisを、再び死の旋風が襲う。その速さはこれまで蓄積したシャドウとの戦闘の記録いずれをも</font></font></span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000"><font size="2">凌駕</font></font></span><rp><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">(</font></span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000"><font size="1">りょうが</font></font></span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">)</font></span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000"><font size="2">していた。第一装甲が吹き飛ばされ、Aegisは衝撃にもんどりうって滑空した。重力が襲い、アスファルトの地面に叩き付けられる。凄まじい敵の能力に、恐怖を知らぬ機械の精神に高揚が沸き起こった。これが、イージスの言っていた楽しさか。彼は唾液の出ない舌で上唇を舐めた。最後まで標的を傷つけんと望むAegisは、この、死を知らぬ者の戦いを分析していた。彼の計算では、どのように戦おうと勝機は無いと推定された。なぜなら、イージスから継承したこの闇属性のペルソナでは、デスを消滅させることが出来ないからだ。<br />
―――必要なのはコア、</font></font></span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000"><font size="2">LPdC</font></font></span><rp><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">(</font></span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000"><font size="1">パピヨン・ハート</font></font></span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">)</font></span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000"><font size="2">の解放。<br />
人格をピックアップし、コードを変換．．．<br />
NOだ。計算できない。LPdCの情報開示には&ldquo;パスワード&rdquo;が必要だ。<br />
<br />
「この身が壊れようと、役目を果たす。<br />
精神が崩れようと、オレの全てを力に変えて、お前を相打ちに持ち込む！」<br />
<br />
Aegisは叫んだ。死の顎を見つめ下した決断は、定義されたペルソナに異変をもたらした。ペルソナが変質したことの意味に気づく間も無く、彼はエネルギーの全てで臨界を目指した。コアから送られる過負荷を告げる信号を無視し、Aegisは名も知らぬペルソナが掻き集めた時空の劫火を纏い、機体を軋らせて地を蹴りつけ、デスに特攻した。障壁を展開した敵の中心をえぐり、片手を代償に破壊し、黒い巨体に穴を開け頭からねじ込む。粘液に似たシャドウが裂け目からドブのように漏れ出す。濁流のような豪腕が轟鳴を上げて刃を振り回し、合金の片脚が切断された。よじれ暴れるデスに振り回されながらも、敵を苦境に陥れたことを知り、痛みを知らないAegisの唇は悦びに吊り上った。<br />
物理的な焔ではない敵意の業火に焦がされ、デスは斃れ臥した。悶絶する巨体からあふれ出すシャドウが水流のように吹き出し、散ってゆく。ニつの属性が融合したアルカナだった塊から、片方である刑死者のシャドウがはがれ、ムーンライトブリッジに染込んでは消えてゆく。実体が崩れるそのたびに力が失われていく。思いもしなかったことだ。これほどまでに世界が自分を拒絶していたとは。デスは半ば以上喪われた哀れな体を、Aegisをめり込ませたまま引きずった。<br />
朦朧と融けゆく自身を垂れ落としながら円かな月の見えるほうへ――<br />
<br />
這あってゆくデスはふと、小さな命の気配を感じた。そこには先の事故で横転した車があった。燻ぶる煙の奥で膝をついたその小さな命は、近づく彼を前に逃げるそぶりをみせなかった。<br />
<br />
何の恐怖も拒絶も浮かべてはいない。無垢な灰色の瞳が彼を見つめた。<br />
<br />
ここで消滅するのもいい――――<br />
<br />
意志の総体に望まれて召喚されたはずの自分に、嫌悪と敵意を返した世界。だが最期をこの場所で迎えれば、世界に怨念を残さずに消え去れるような気がした。デスは、指一本動かせば首が跳びそうなほど儚げなその小さな命に腕を伸ばし、そっと爪で触れた。その敵意の無い小さな人間は逃げなかった。頬に触れたそれを避けもせず、歌にも聴こえるかすれた声をだした。デスは僅かに指を動かし、小さなあごをくすぐった。その時、突きつけられた指に落とされた灰色の瞳が僅かにうごめいた。自分を刺激するものが何なのかを知りたいように、顔を引いて眼の前のデスの大きな爪を眺めた。それから舌を出して舐め、不思議そうに首をかしげて&ldquo;それ&rdquo;を口に含んだ。<br />
その時、Aegisがずるりと身体を引き抜いた。デスの眼の光が失せ、巨躯が泡立ちながら融けていく。片腕を安らぎの膝に預けたまま、アルカナの化身はムーンライトブリッジの上で崩れ始めた。<br />
シャドウをこびりつかせたAegisも、おのれに限界が近づいているのを察していた。最後に立っていたのが自分であればよい。最高の勝利に陶酔を浮かべた唇が、ふと引き結ばれた。眉をひそめて眼の前の状況を観察した。この身を代償に倒したDeath。その残骸が、ここムーンライトブリッジで崩れ絶える様は、消えた刑死者の属性を求め結びつこうとしているようにみえた。<br />
岳羽から受け取ったデスの情報―――互いに食い合うシャドウの習性。<br />
<br />
Aegisの碧い眼が、傍らに座り込んだ少年をみつけた。Aegisにとってそこに在ったのは、自我の反応が無い空の器だった。あの、プラントに立ち並ぶリアクターと同様に、それは空虚を秘めて橋に置かれていた。まるで、自分のために用意されていたかのように。<br />
<br />
「あー。　ぁぁぁ．．．　」<br />
<br />
少年が地面を覗き込んでいた。溶けつづけるデスはもう元の大きさが想像出来ないほどに無残な姿になっていた。だが、このままではまた刑死者のアルカナと結びつき、新たな力をえたシャドウに再生しかねない。いつもは後方に控えているはずの、エルゴ研シャドウ回収部隊は今いない。<br />
自分にできる事、任務の確実性を高めるためにしておくべき事―――コレを使って．．．<br />
<br />
判断を下した兵器の行動は迅速だった。彼は少年の首を掴んで引き倒した。<br />
「あうっ　」<br />
Aegisは、痛みに喘ぐ小さな手足に乗り上げ、抵抗できないように組み敷いた。残った片腕で、デスの塊を掴んだ。そして砕けようが潰れようが構わず非情に少年を蹂躙し始めた。ビクビクとのたうつ痩せた体躯を無理矢理引きずり回し、震える小さな口に手を突っ込み、デスの残骸を押し込んだのだ。<br />
「．．．ッん&quot;んむ、う&quot;っ　がぁっ！」<br />
人外の破片を狭隘に送り込まれ、少年は眼を剥き咽喉を痙攣させた。異物に対する生理反応が彼を激しくえづかせる。限界まで開かれた口から溢れたシャドウの形骸をかきあつめ、人形の手は更に体奥へとそれを詰め込んだ。「――ぐッ　ぇッ　げえぇ&quot;っっ！」顎が外れそうにゴリゴリと悲鳴を上げ、強いられるままに細い咽喉から腹へごくごくと汚濁が移動していく。ワームにも内蔵にも似たシャドウの触手がのたうち、唇から溢れまるで生えているかのごとき陰惨な光景だった。それはビュクビュクとねじれながら少年の体内に隠れようとし、彼を凍えさせるほどに身体の底に溜まりこんでいった。行為を強制され、窒息に襲われ続けた少年の眼球は裏返っていた。悲鳴をあげる余地すら咽喉には無い。耐える自我も意志ももたぬ痴性の身体は、弛緩したまま、内部に逃げ込んだモノの暴発に浮き上がった。<br />
「．．．ッッ！　―――ッ！！　」<br />
<br />
（―――Deathの再生は、阻止できた。）<br />
アルカナの具現であるデスの破片を空の器に封じ終えた、機腕による強姦が止まった。Aegisの眼から電光が消え失せ、外装が剥がれ崩れだした。兵器は斃れ、破壊された装甲を周囲に撒き散らした。盾の名をもつ戦闘人形は、月光の名を冠した橋で使命を終えた。デスの欠片を呑みこませた、からっぽの表情を横たえる犠牲の少年を残して。<br />
<br />
影時間の満月だけが戦場の上に君臨し、怪奇なる光景の一部始終を眺めていた。<br />
<br />
<br />
「．．．あっ　あう、．．はあ、あはっ、」<br />
誕生以来、完膚なきほどに傷つけられたデスは、苦しみに喘ぐ少年の体内で、実体を元の意識体に変換しようとしていた。あまりの不完全さは、自らを補完させるシャドウの本能をも超えていた。そして、その状況が、デスに渇望を生じさせ、封じられた少年の意識に矛先が向けられた。救いを求め、無数の触手でまさぐりあてた先には、普通の人間なら備えているはずの自我が無く、虚ろだった。奇跡的に、少年にはデスが入り込む許容があった。デスは苦しみを強いられる不完全な実体を脱ぎ捨て、少年の無意識に鋭く自らの思念体を接触させた。<br />
「あ&quot;っ！　．．．ッ、　あー！．．．やぁあーっ、」<br />
心を閉ざす抵抗の術など無い。子供の柔らかな精神の殻は、ついにアルカナの化身に犯され始めた。感情を知らず、いまだかつて何の刺激も受けた事の無かった白痴の魂が、非情なる&ldquo;死&rdquo;と鮮烈な闇に冒涜されていく。瑕疵ひとつ無き空虚を守る薄い膜が、焦燥するデスの凶状、その先端に突き破られた。<br />
「ぎゃあああっ！！　あっひっ．．．　あ&quot;ーっ！！」　狂える関節人形のように身体が反り返った。少年の精神の&ldquo;抜け殻&rdquo;に僅かに残る&ldquo;本能&rdquo;。それはデスの侵食を受け入れた瞬間、破瓜の血にも似た&ldquo;苦痛&rdquo;の色を流した。デスはその真紅の意識を浴びた。&rdquo;死&rdquo;は常に苦痛を見つめている。&ldquo;苦しみ&rdquo;は死にとって馴染み良い感情だった。初めて他者の&rdquo;意志&rdquo;に侵入された少年の、心と肉体が感受した苦痛は、痙攣する処女のごとくデスを締め付け、鮮血のごとく熱く心地よく&ldquo;死&rdquo;を慰めた。誕生したばかりで砕かれたデスにしても、生命との交わりなどこの少年が最初の相手だ。この生々しい記憶の強烈さは、後々もデスの素体に唯一の愛欲や色情の対象として&ldquo;彼&rdquo;が刻まれた程だった。生殖や交歓など理屈からして知るはずも無い&rdquo;死の具現&rdquo;は、無垢なる魂を占領し犯し尽くす究極の悦びにうち震え、陶然と雄叫んだ。少年の心いっぱいに、デスの享楽に狂う叫びが響き渡った。<br />
「ッ！．．．あはぁ、　ハァ、　ぅあっ．．．　ン、くうぅ、」<br />
性感の波が押し寄せ、暗礁に乗り上げ晒された生贄に、死の種がばら蒔かれ無情に沁み込んでいく。表情無き砂に赤い凍り水が染込むように。真白い雪がドス黒い無数の刃に突き刺されるように。剥き出しの精神に死と悦楽が火の霰雨と化して降り注ぐ。額が割れて快楽が光と化し天にまで届きそうなほどの淫蕩だ。デスの猛攻に支配された少年の肢体は宙に操られ、青い淫らさを描いて揺れていた。潜り込み続けるデスによる精神の汚染が進むにつれ、開いた唇から泡の筋が垂れ落ちていく。ただただ呆然と虚空に漂う瞳は脳が受ける強い痺れに白く引き攣れ、透明なしずくを零した。「っひぃ、っひあ！　．．ひんっ　ひぃい&quot;ッ　」　とうとうデスは淫獄に引きずり落とした相手の領域全てを侵犯した。その証に少年の奥底を灼熱の欲動に憑かれた激しさで衝き揺さぶった。途端に噴出した乱虐な火焔に心臓を炙られるまま、幼い正装に包まれた身体が波打ちくねった。少年は中心を襲う律動に叫び、無慈悲なアスファルトに爪を立て、狂おしく掻き毟った。<br />
「い&quot;っぎ．．　ひゃああーっ！　．．っき、きゃああーッ！！」<br />
<br />
底知れぬ存在に交合されるさなかに与え合う恐怖と抱擁の鮮烈さ。意識と無意識が深淵の底で絡み合い、自らを庇う手立ても無く強大な存在に犯されゆく――それが、北川彰の人生に降りかかった&ldquo;自覚&rdquo;の初体験だった。<br />
<br />
引きずり出された嬌声を最後に、荒れ狂う熱の嵐は途絶え、鎮まった。<br />
<br />
「ぁ、　．．．かはっ、」　少年は小さくむせ、開いたままの唇からトロリとシャドウの残滓と体液とをこぼした。<br />
浮き上がる感覚が喪われ、重力が大気が彼を覆う。吹かれちぎれた意識がデスの沈静と共に集められ、自我の形を成してゆく。何も無かった精神領域を独り占めたシャドウ――傷ついたアルカナは、彼の内側で本来の姿に還りつつあった。デスを召喚した世界は、厳しい拒絶によってその誕生を打ちのめした。その仕打ちに対する敵意は、いつ解放されるかも定かではない場所に封じられ、選択の余地無く眠りにつくことを強いられることになった。隔絶し秘された温もりは、デスを檻のように囲み監禁した。だが彼には、この束縛を破る力は残されてはいなかった。冷酷な外界から隠された環境を得たアルカナは、永い刻を繭にくるまれて眠る蟲のように丸くなり、その歪に欠けた存在を縮こめた。<br />
<br />
この時&ldquo;大いなる死の破片&rdquo;は、一人の人間、魂無き肉に過ぎなかった者を、等価の存在――&ldquo;大いなる生の欠片&rdquo;に変容させた。微細な星間物質から始まった大宇宙、そして意識が創り上げた小宇宙。その境界に生まれ宿命をたどる旅人は、始まりに出逢った純潔の魂を道連れに選び、その内に宿ったのだった。<br />
<br />
鼓動が途絶えていたに等しい彰の手足が、身体が．．．ひくりと動いた。<br />
色あせた灰色の瞳に蒼い光芒が生じた。<br />
道路に倒れていた彼は、デスが潜む仮宿の心で空を視た。<br />
<br />
いま手に入れたばかりの知性の萌芽を通して、奮えながら感覚を噛みしめ、世界の夜を感じた。<br />
<br />
「　お．．　お　つき、さま．．」<br />
<br />
自分を隙間無く照らす巨大な月光に、彰は手を差し伸べた。<br />
他に星々の視えぬ夜空には、それだけが彼に眼差しを注ぐ存在だった。<br />
<br />
応えの無い天体に、彼は泣き濡れた顔で微笑んだ。<br />
力が途切れ、腕を地面に投げ出した子供は、意識が眠りに落ちるのを感じ、うっすらと瞼を閉じた。<br />
<br />
冥闇に閉ざされた海の底で、怒り狂える暗黒がただ独り．．．唸っている。――</font><br />
<br />
<br />
<br />
かがやく星が二つ、光をまき散らして天から消えあとに茫漠たる光の雲を残した。<br />
<br />
世界の命運に残された可能性を知る存在が翅を震わせて燐粉の跡を引き、飛び去った。<br />
<br />
</font></span><br />]]>
    </description>
    <category>死神異聞録 （～07年5月　過去編/P2微クロスオーバー/18話/★◇◆）</category>
    <link>https://013txtp3.dou-jin.com/%E6%AD%BB%E7%A5%9E%E7%95%B0%E8%81%9E%E9%8C%B2%20%EF%BC%88%EF%BD%9E07%E5%B9%B45%E6%9C%88%E3%80%80%E9%81%8E%E5%8E%BB%E7%B7%A8-p2%E5%BE%AE%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC-18%E8%A9%B1-%E2%98%85%E2%97%87%E2%97%86%EF%BC%89/queen.%20%E6%99%BA%E6%85%A7%E3%81%AE%E5%AE%9F%20%EF%BC%88%E3%83%87%E3%82%B9%C3%97%E4%B8%BB%E4%BA%BA%E5%85%AC%EF%BC%89%E2%97%87</link>
    <pubDate>Tue, 31 Mar 2009 12:34:49 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">013txtp3.dou-jin.com://entry/33</guid>
  </item>
    <item>
    <title>Knight. 堕天</title>
    <description>
    <![CDATA[<span style="font-family: Courier New;"><br />
<br />
<br />
晴れた夜よおいで。<br />
アンタが来れば、</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">陽光</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">ヒカリ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">に隠された真実の</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">宇宙</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">ソラ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">が視える。<br />
<br />
<br />
<br />
ここ、エルゴノミクス研究所のてっぺんにあるスタンバイ・ルームの天井は、透過率95%（ただしUVカット）のドーム型であります。<br />
<br />
武器庫も兼ねているので、至るところにブツが山積みであります。<br />
後背部に装着するライフルとレールガン。それとフィンガーマシンガン用の弾薬一年分。<br />
ここだけではなく、地下にもトラップ用の地雷が1t.トラック5台分収納されているのであります。<br />
もちろん、政府と米軍には内緒であります。オレは桐条トップシークレットであります。ナゼかは知りません。<br />
<br />
オレ．．．特別制圧兵装VII式Aegis ver.6.90 は、ここから出たことが無いです。<br />
でも、V式以降に継承した戦闘の情報とMAPのおかげで、外の世界をオレは知っています。<br />
<br />
<br />
外はここと同じです。知ってる人間達と、建物の外側で囲まれた場所。廊下もたくさん。<br />
<br />
効率的ではない都市設計が多いのは心外であります。</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">電波障害</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">ジャミング</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">も多いし。<br />
シャドウをトレースするのが大変なのです。演算処理に遅延が起きる危険があるです。<br />
精確な碁盤の目に再開発するよう、知事に検討をヨロシクお願いしたいのであります。<br />
<br />
そういえば。<br />
外には1つだけ、通常には無いものがたくさんあります。<br />
<br />
影時間に人間が入るらしいカプセル、棺。<br />
オレはギモンに思ってることがあるのであります。<br />
あんなに沢山あるのに、どうして棺に入った人間の記憶がオレにインストールされてないのですか？<br />
<br />
知りたいであります。<br />
あの黒くてシンメトリーな角柱型のカプセルも、いまオレがセットされてるコレと同じなのですか。<br />
<br />
この育成カプセルに固定されていると、見えるのは昼間の青、そして夜の星空がほとんどであります。<br />
<br />
残りは、地球の衛星が光りだす時間．．．<br />
影時間、薄い焦げ痕のついたスカーフェイスの大きな月がオレを監視しているのであります。<br />
傷だらけの</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">月</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">ヤツ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">は、歴戦の兵器でありますか。最後までお手合わせ願いたいのであります。<br />
<br />
電波を送って果たし状を叩きつけても、</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">月</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">ヤツ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">からの応答はありません。<br />
ぜひ、ここからあの衛星までの距離を入力して欲しいであります。<br />
<br />
シカトなのか、届いていないのか、判断する必要があるのであります。<br />
<br />
<br />
指差しカクニン。<br />
台風一過で空は青。　降水確率0%。　いまは昼。<br />
<br />
</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">グリニッジ標準時</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">G　　M　　T</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">+0900．．．<br />
2000年9月14日-JST ： ただいまの時刻は13:22pm。<br />
電波受信．．．同期チェック完了。 　誤差はありません。　オレはズレてなーい。<br />
<br />
本日は満月であります。<br />
カンペキで素晴らしい戦いの十五夜が来ます。ボコスカウォーズが待ち遠しいのであります。<br />
オレは今までのオレとはひと</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">鯵</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">アジ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">もふた</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">鯵</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">アジ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">も違うのでありますからして。<br />
どーして魚がでてくるですか。日本語の用法は理解不能であります。<br />
<br />
夜。　空が青から黒へ、黒から青へ。どうやって変わるのか．．．<br />
その時間、オレはスリープ状態だから、知らないのであります。<br />
『ON/OFFではない』と、Dr.岳羽は言っていました。<br />
『地球の自転と公転によって太陽の位置が動くにつれ、空の明るさは少しずつ変わる』のであります。<br />
<br />
少しずつ変わるとはなんだろう。　オレにはON/OFFと更新しかありません。<br />
Dr.岳羽のヒゲと髪が伸びるのも、90%の確率で地球の回転のせいであります。<br />
<br />
Dr.岳羽は、&rdquo;ゆかり&rdquo;に会うために、ヒゲを剃り髪を切るとのこと。<br />
ゆかりは地球の公転を凌駕しているであります。つまり地球よりも階級が上であります。<br />
<br />
太陽が視界から消えました。<br />
<br />
空は青い。　限りなく、つつがなく。<br />
<br />
．．．一ヶ月前から、オレには気づいていた事があるのであります。<br />
月齢15&plusmn;&alpha;、満月に近い日だけにあった影時間が、毎晩インサートされるようになったです。<br />
観測のタマモノであります。<br />
<br />
観察は大事であります。　敵の戦闘力を評価するためにも、重要なのであります。<br />
<br />
<br />
<br />
3時間が経過しました。　およそ30分で、スリープの時間であります。<br />
本日は、最終パッチがあてられるとのことです。<br />
いよいよオレはver.7.00に更新されます。　人呼んでラッキーセブンになるであります。<br />
<br />
10日前から、皆さんお忙しそうであります。<br />
『コアを解放しろ』との命令も、ぱったりと止みました。<br />
<br />
『今までの成果は、</span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">LPdC</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">パピヨン・ハート</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;">の中にしか無いのに！』とも言っていました。<br />
検出された波形は、&ldquo;激怒&rdquo;および&ldquo;焦り&rdquo;であります。<br />
<br />
8040回言われても、知らないものは知らないのであります。メモリにございません。時間が無いと言われても、オレには時間が永劫にあるから、わからねーであります。<br />
<br />
そんなこんなで、『最後の手段』がオレに実装されました。<br />
<br />
不確定要素のカタマリになったオレを、非常時にリモートコントロールするための機能であります。<br />
LPdCとは隔離された、予備のCPUに干渉して操作します。<br />
<br />
Dr.岳羽は、オレに謝りました。<br />
『時間が無いので、こんな手段をとらざるを得なくなった』　との事であります。<br />
<br />
他の人間は、『もう、この状態で実戦に投入するしかない』とボヤいていました。<br />
検出された波形は、&ldquo;諦め&rdquo;、トコロにより&ldquo;落胆&rdquo;であります。<br />
<br />
人間とは諦めのスピードが速い生き物でありますね。<br />
処理が速いのは、実に高性能であります。　人間、グッジョブ。<br />
<br />
ところで．．　&ldquo;諦め&rdquo;とは、一体なんでありますか？<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<font color="#333399"><font size="-1" style="line-height: 150%;">ほぼ六年ぶりの日本を、実感する余裕は無かった。<br />
<br />
だが、飛行機のタラップを降りた時に一瞬だけ感じた．．．この国特有の匂い。<br />
日本の匂いは、潮と水。日本食レストランの味噌汁の匂いに似ている。<br />
エルサレムの乾いた風とも、パリの微かな</font></font></span><font face="MS UI Gothic" size="-1" color="#cccccc" style="line-height: 150%;"><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;"><font color="#333399">香水</font></span><rp><span style="font-family: Courier New;"><font color="#333399">(</font></span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;"><font color="#333399">パヒューム</font></span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;"><font color="#333399">)</font></span></rp></ruby></font><span style="font-family: Courier New;"><font color="#333399"><font size="-1" style="line-height: 150%;">とも違う。<br />
<br />
天然の水に恵まれた日本．．．俺は、この祖国に帰ってきてしまった。<br />
N．Y．Xが解体されない限り、二度とこの国の土は踏まないと決めた筈だったのに。<br />
<br />
病院に定期連絡をした時．．．そのとき応対した医師は、現在では完治の術が無い病に冒された妻を、民間の療養所に移転するよう俺に求めた。<br />
日本で&rdquo;無気力症&rdquo;と呼ばれるその病気が急増していることは、今年に入ってからニュースを掴んでいた。それが彰の状態とそっくりな症状であること、そして、原因や治療法も彰のケースと同様に不明であること．．．<br />
<br />
．．．匙を投げられるのには、慣れているはずだ。<br />
<br />
俺はもう、幾ら運命に虐げられても、何も感じてやらないことに決めている。<br />
<br />
今夜、N．Y．Xに見つからないように、真夜中に妻を病院から連れ出す。<br />
時刻の条件だけは、呑んでもらえた。<br />
俺は父親として彰を守り、しなければならないことをするのだ。<br />
<br />
闇に閉ざされた未来を持つ者が俺の家族にもう一人増えた。<br />
現実に取り残された俺が独りこうして、<br />
救いが無いと知りながら母子の手を引き、死ぬまで歩いていく．．．それだけのこと。<br />
<br />
「そうだろう？」<br />
<br />
空港でレンタカーを借り、彰を後部座席に乗せた。運転席のドアを開ける前に、日本の秋風を吸って空を見上げた。<br />
問いかけた9月の夕空は、どこまでも深く青く．．．蒼かった。</font><br />
</font><font size="-1"><br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
</font> </span>
<div style="text-align: center;"><span style="font-family: Courier New;"><font size="-1">フフ．．．<br />
<br />
影が流す涙って真っ赤なんだね<br />
きみの瞳や、カオスみたいだ<br />
<br />
ねえ、ぼくが見てる真っ赤と<br />
きみが見てる真っ赤は．．同じなのかい？<br />
<br />
</font><font size="-1" color="#cc0000"><br />
．．．赤は温血の命に選ばれた苦痛の色だ<br />
<br />
傷口に咲く真紅の薔薇<br />
途切れた循環よりほとばしる、世界の嘆きよ<br />
<br />
それを我らが共に認めたならば<br />
色の見え方など．．　</font></span><font face="MS UI Gothic" size="-1" color="#cc0000"><ruby><span style="font-family: Courier New;">些末事</span><rt><span style="font-family: Courier New;">さまつごと</span></rt></ruby></font><span style="font-family: Courier New;"><font size="-1" color="#cc0000">に過ぎぬ<br />
</font><font size="-1"><br />
<br />
ふうん<br />
みんな、そうやって誰かに選ばれるの？<br />
<br />
</font><font size="-1" color="#cc0000"><br />
そうだとも<br />
<br />
私が&ldquo;何者&rdquo;なのか．．．<br />
選び、名付け．．．決めたのは人間だ<br />
</font><font size="-1"><br />
<br />
ぼく．．．<br />
どうしてきみじゃないの？<br />
どうしてぼくは、顔が無いんだろう<br />
<br />
どうしてニンゲンは、<br />
ぼくに顔をくれなかったのかな．．．<br />
<br />
</font><font size="-1" color="#cc0000"><br />
ククク<br />
<br />
奴等には．．我らの想いなど分からん<br />
<br />
思念によって創られた我らはただの</font></span><font face="MS UI Gothic" size="-1" color="#cc0000"><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;">元型</span><rp><span style="font-family: Courier New;">(</span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;">アーキタイプ</span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;">)</span></rp></ruby></font><span style="font-family: Courier New;"><font size="-1" color="#cc0000">に過ぎず<br />
何かを思う事などありえぬ．．．とな<br />
</font><font size="-1"><br />
<br />
そんな．．．<br />
<br />
ニンゲンは、ぼくのことなんか．．．<br />
．．．どうでもいいのかな？<br />
<br />
</font><font size="-1" color="#cc0000"><br />
．．．すぐだ<br />
<br />
じきに、貴様の姿が決まる<br />
<br />
12のアルカナが交われば<br />
そこに待つのは終焉の答え<br />
<br />
対なる存在は、いまだこの次元に在らず．．<br />
<br />
今こそ、永きに渡る私の戦いが結末を迎えるのだ<br />
<br />
貴様は我らの希望、明けぬ未来を宣告する者<br />
<br />
全てを終わらせ<br />
この忌々しい情報の牢獄を消し去る<br />
<br />
自由の確約そのもの．．．</font><font size="-1"><br />
<br />
<br />
<br />
ぼくの役目だね<br />
何かのために在るって、素敵だな<br />
<br />
</font><font size="-1" color="#cc0000"><br />
その通り．．．<br />
<br />
デスと呼ばれた虚無の王よ<br />
永遠に覚えておくがいい<br />
<br />
全てを望み、決したのは<br />
死の女神ニュクスを喰らいつくした&ldquo;生命&rdquo;<br />
<br />
その名を持つ<br />
あの&ldquo;怪物ども&rdquo;だという事をな．．．<br />
</font></span></div>
<div style="text-align: left;"><span style="font-family: Courier New;"><font size="-1"><br />
<br />
<br />
<br />
<br />
</font><font color="#000000"><font size="-2"><font size="-1" style="line-height: 150%;">『1番から12番タンクまで、シャドウ全種の融合を開始します　』<br />
『ゲートロック確認．．．研究所周辺のシャドウ反応はオールクリア　』<br />
『プラント中央区域、生体反応．．．38名　』<br />
<br />
懐柔した鴻悦の秘書から連絡を受けてエルゴノミクス研究所に到着した武治は、閉じつつあるゲートに無理やり身体を滑り込ませた。<br />
彼が知るかつての父は、老獪ながらも好奇心を失わぬ、情熱を持った人間味の深い人間だった。しかし、いつしか息子である自分にも理解しがたい思想に染まり、修羅と変じた父親はいま、何か&rdquo;恐るべき計画&rdquo;を実行しようとしている。<br />
どこまで走っても似たようなドアが並ぶ巨大なタワーの中を、武治は父が居るはずの中央区を目掛けて疾走した。廊下はフットライトの僅かな光のみで、通路に貼られた蛍光色の順路案内だけが頼りだ。<br />
<br />
（父さんに見せられた書類．．．あの時は何の冗談かと思ったが．．．<br />
ことによると、全ての元凶はあれだったのでは．．．<br />
なんたる迂闊！<br />
疎まれようと遠ざけられようと、俺は、俺だけは父さんを止めるべきだったのに！　）<br />
<br />
「父さん！　どこなんだ父さんッ！！　」<br />
咽喉が涸れるまで父を呼び続けた武治の声に、大扉の向こうから鴻悦は笑い声で応えた。<br />
<br />
「．．．はは、ははっはっ　<br />
武治、わしは&quot;永遠&rdquo;を手に入れるぞ！　これは必然の滅びだ！<br />
人の為、世界の為にな、わしが人類に新しい希望を与えてやる！　」<br />
<br />
武治は驚愕で顔色を失い、危険物の表示が所狭しと貼られた扉をこじ開けた。<br />
<br />
「親父、まだそんな世迷言を！？　こ．．　これのどこが&ldquo;人の為&rdquo;なんだ！！　」<br />
<br />
うねり、波打つシャドウが閉じ込められた何本もの細長いリアクター。それらが囲む中央には、巨大な容積の　タンクが設置され、太いパイプを通じ、次々とシャドウが流入している。<br />
内部で渦が波乱するタンクの前に鴻悦は佇んでいた。武治の叫びなど意に介す風もなく、喜悦を抑えきれぬ顔でシャドウの融合の様を見上げている。<br />
まるで皺だらけの子供のように、攪拌される怪物の坩堝に向かって、興奮のままに杖を指揮者のように振りながら。<br />
<br />
「やめてください、これはいけない。　やめるんだっ、父さん．．．！」<br />
武治は父親の不気味な姿に怖気を覚え、腕を取って部屋の外へ引きずり出そうとした。<br />
<br />
「みんな、聞いてくれ！　中止だ！　実験はやめだ！！　早く止めろ！　父さん、眼を覚ましてくれ！！　」<br />
「離せっ　触れるでない、この莫迦者が！　」<br />
<br />
桐条総帥とその子息の取っ組み合いである。その場にいた研究員達は、畏れ多さに手を出しかねて見守るしかなかった。そんな遠巻きの輪に向かって鴻悦は、怒髪天を突くような凄まじい形相で怒鳴り散らした。<br />
<br />
「おい、この愚か者めを、放り出せっ！！　何しとる、さっさとこいつを、わしから、剥がさんかッ！」<br />
<br />
命令に弾かれた数人が、武治と鴻悦を引き離した。取り押さえられ床に組み敷かれた武治は、決死の覚悟であがく。そんな彼を、荒い喘鳴に押されながらも鴻悦は踏みつけにし、侮蔑も露わに傲然と見下ろした。<br />
<br />
「武治ッ、　お前は．．．桐条に相応しくない大たわけだ、<br />
．．．貴様なんぞを、わしは．．　跡継ぎとは認めんぞ！<br />
<br />
はは、は、わしは昔から分かっておったのだ、<br />
たった一人の息子であるお前が、救いようの無い凡夫だとな！！<br />
子の才能に恵まれなかった、わしの絶望が．．．貴様にわかるか？　」<br />
<br />
「．．．お．．　父、さん．．．」　鴻悦に唾を吐かれた瞬間、武治の厳つい表情は糸が切れたように沈んだ。力の失せた目からは涙が流れ、彼は悲嘆にくれた呟きを絞り出した。「やめろ．．．父さん、社長を止めてくれ．．．　離せ、」<br />
引きずられていく息子を老人は歪んだ笑みで見送った。それは、鴻悦に呼びつけられ、岳羽が監視室に入ったのと入れ違いの出来事だった。<br />
<br />
「主任．．　ご当主が12種のリアクターの排出を実行されました．．．　」<br />
「．．．どうして止めなかった　」<br />
<br />
部下は既に諦めきった表情だった。報告を受けた岳羽は、欠片も期待していない口調で悄然とつぶやいた。ただ、口にしてみただけという様子だった。鴻悦の強 行を押し止めるために本社に参じ、その度に鴻悦から痛罵を受け続けた心労に祟られ、エルゴ研主任研究員の姿は、いまや死相と言っても過言ではない濃い翳に やつれ果てていた。<br />
<br />
「来たか。　お前にも見せてやろうと思うてな　」　中央プラントの全景を俯瞰する高所に居る岳羽を振り仰ぎ、鴻悦は笑いかけた。<br />
「これの名は&ldquo;デス&rdquo;．．．&ldquo;大いなる死&rdquo;だ。　すでに腐りきった下等社会を根こそぎ地ならしする神よ。<br />
岳羽、お前が不死を実現するより早く、わしに天の啓示が下されたのだ。<br />
は、ははは、　．．．お前が兵器にウツツを抜かしとる間にな。<br />
わしの目をごまかせたつもりだろうが．．．<br />
この鴻悦、貴様ごとき青二才に謀られるような老いぼれと思うたか！　」<br />
<br />
「．．．</font></font></font></span><font face="MS UI Gothic" size="-2"><font size="-1" color="#00cc00" style="line-height: 150%;"><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">Death</font></span><rt><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">デ　ス</font></span></rt></ruby></font><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000"><font size="-1" style="line-height: 150%;">．．．？　」<br />
聞き飽きた罵詈雑言は、麻痺した岳羽の耳と意識を素通りした。だが、老人の口からは初めて訊く&ldquo;デス&rdquo;の名は、鴻悦の変心に疑念を抱き続けていた彼の注意を鋭く捉えた。（デスだと．．．？　）<br />
岳羽の位置からさえ見上げるほどの巨大なタンクに、黒いゲル形態のシャドウが流れ込み続ける。老いた帝王が&ldquo;デス&rdquo;と呼ぶそれは不吉に盛り上がり、うね り、互いに牙をむき、むさぼり合いをはじめていた。小さい個体はより大きな集合体に呑み込まれる、そのおぞましい共食いの饗宴は、その場に居たものを皆 ―――鴻悦を除いて、恐怖に何度も咀嚼されるような思いを味わわせた。この世にある全ての色が混ざりあった混沌が、醜悪なガスを吐きながら凝ってゆく。<br />
「こ、れは．．．　」<br />
全身の血が凍る思いで呆然と立ち尽くす。その岳羽の視線の先で突如、大音響が炸裂した。強化ガラスの内側に押しつけられた太い五本指の生えた白い掌が、ゆっくりと開いた。慄いた岳羽は一 歩引き、頭上の恐るべき変化に固唾を呑んだ。そこには、これまでに見たシャドウのどれよりも不気味な白い仮面が泡を吹きながら形作られてゆく。仮面の奥は 闇よりも深い闇、漆黒の虚穴がこちらを隙を覗うように口を開けていた。巨影の背に広がる純粋な蒼古には、畏敬を催す&ldquo;絶対&rdquo;があった。その能力の計り知れぬ貌の無いシャドウは、苦しみに喘ぐように横を向いた。膨れ上がる黒雲を突き抜けるほど純粋な丸い闇が、救いを求めるかのように岳羽を見つめた。</font>―――<font size="-1"><br />
<br />
<br />
「こ、</font></font></span><font size="-1" color="#00cc00"><ruby><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">制御室</font></span><rt><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">コントロール</font></span></rt></ruby></font><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000"><font size="-1">、応答しろ！　岳羽だ、応答しろ！コントロールッ！　」<br />
迫りくる破滅への予感が、岳羽の手を無意識にレシーバーに導いた。彼は、震え声で呼び続けた。<br />
<br />
（これまで集めたシャドウが１つに！？　．．．そんな．．．．<br />
このままでは、VII式では制圧不可能な怪物が生まれかねない！！　）<br />
<br />
<br />
「応答しろ！　岳羽だ！　」<br />
幾ら狂おしく叫んでも制御室からの応えは無かった。<br />
岳羽は、膝をついて腕を広げニタニタと笑みを浮かべる鴻悦を置き去りに、部下に避難を指示した。管制棟へと走り出した彼の頭の中は、二つの事で占められていた。不測の事態に備えて、Aegisに指令を下さなくてはならない。そして、</font>――<font size="-1">全てのタービンを停止するための、&rdquo;最終手段&rdquo;の決行だ。<br />
<br />
スタンバイルームへの直通エレベーターに転がり込むと、岳羽の鼓膜を絶叫が貫いた。騒然とした気配を背に切羽詰った部下の絶叫だ。<br />
<br />
『こちら制御室！　主任ですねッ！？<br />
異常事態です、発電区域で圧力超過が発生！！<br />
超電導発電の冷媒が許容値を超えて急激にオーバー、<br />
過負荷でコイルに亀裂が入ったのかもしれません！！<br />
こちら4番隔壁をロックされて、直接向かうことができません．．．　』<br />
<br />
「私が．．．向かう、発電区のコンソールを、予備の風力電源に．．．切り替えろ！」<br />
<br />
『了解しました！　．．．　．．．　．．．OKです、経路の電源は確保しました。お気をつけて！　』<br />
<br />
反応の消えたレシーバーをズボンのポケットに突っ込み、息を切らしながら岳羽は階数表示を見上げて祈った。（．．．異常事態だと。何もかもが異常じゃないか．．．　私の気が触れる前に、やらなければ　）<br />
汗が額、首筋を幾筋も流れ落ちていく。彼は乱暴に袖で顔を拭い、白衣の前に手をかけた。<br />
ドアが開くと同時に、岳羽はそれを脱ぎ捨てた。そして、廊下の突き当たりのルームプレートを目指し全速力で駆けた。<br />
<br />
エルゴノミクス研究所最上階、</font></font></span><font size="-1" color="#00cc00"><ruby><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">起動準備室</font></span><rt><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">スタンバイ・ルーム</font></span></rt></ruby><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">。<br />
<br />
電源が落とされた暗い円形の室内に駆け込んだ岳羽を、一対の碧い眼差しが光を湛えて出迎えた。<br />
<br />
「Aegis！　」<br />
<br />
「Pi．．．　音声識別code：A160。　Dr.岳羽、ごきげんようであります　」<br />
<br />
「今からお前に、私の最後の望みを託す。　まずは&ldquo;</font></span><ruby><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">Death</font></span><rt><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">デ　ス</font></span></rt></ruby><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">&rdquo;の情報を受け取れ！　」<br />
<br />
育成カプセルの横でタッチパネルを苛々と操作する岳羽を、カプセルから半身を起こしたAegisは首だけを振り向けて眺めた。<br />
<br />
「Death．．．　&ldquo;死&rdquo;。<br />
これが．．．&ldquo;死&rdquo;というものでありますか？　」<br />
<br />
岳羽は最後のキーを叩いて振り向いた。<br />
流れ込む情報を味わうように目蓋を細めたAegisを見据え、彼は</font></span><ruby><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">LPdC</font></span><rt><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">コ　ア</font></span></rt></ruby><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">にまで刻みつける思いで、力強く念を押した。<br />
<br />
「&ldquo;</font></span><ruby><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">Death</font></span><rt><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">デ　ス</font></span></rt></ruby></font></font></div>
<span style="font-family: Courier New;"> <font color="#000000"> </font></span><font color="#000000">
<div style="text-align: left;">&nbsp;</div>
</font><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">
<div style="text-align: left;"><font size="-2"><font size="-1">&rdquo;は君が倒すべき、&ldquo;敵&rdquo;だ。<br />
何が起ころうと、必ず討伐しろ。　Aegisの最優先だ。<br />
<br />
シュート・ハッチを開く、．．．Ready！」<br />
<br />
「了解しました、Dr.岳羽。　Deathは、Aegisの&ldquo;敵&rdquo;。　必ず最後までコロスであります　」<br />
<br />
非常用開口部が開き、Aegisをセットしたままカプセルが送り出された。<br />
<br />
「いま、なんと．．．<br />
&ldquo;殺す&rdquo;．．．だって？　」<br />
<br />
息を詰め、下降していくダイオードの点滅を見つめるうち、岳羽の胸は、遣る瀬ない無念に締め付けられていった。<br />
<br />
「．．．造り主でありながら．．<br />
大切な事を教えられないまま、戦いに送り出してしまった。<br />
<br />
なんて無能だ、僕は．．．　どうか、許してくれ．．．　」</font></font></div>
<font size="-1"><br />
</font><font size="-1"><br />
<br />
<br />
<br />
「この記録が．．．<br />
<br />
心ある人の目に触れる事を．．．願います。<br />
<br />
ご当主は忌まわしい思想に魅入られ、<br />
変わってしまった。<br />
<br />
この実験は．．．行なわれるべきではなかった。<br />
<br />
だから私は、強引に実験を中断したのだ。<br />
<br />
しかし．．．そのせいで、飛散したシャドウが<br />
後世に悪影響を及ぼすのは間違いないだろう。<br />
<br />
でも、こうしなければ．．．<br />
世界の全てが、いま破滅したかも知れない．．．<br />
<br />
頼む、よく聞いて欲しい．．．<br />
<br />
くれぐれも警告しておく．．．<br />
散ったシャドウに触れてはいけない！<br />
<br />
この研究．．．私は止めることが出来なかった．．．<br />
<br />
悪魔に魅入られたご当主の耳に、<br />
私ごときの言葉は届かなかった．．．<br />
<br />
あれらは互いを食い合い１つになろうとする．．．<br />
そしてそうなれば、もう全てが終わりだ！<br />
<br />
もう一度言う．．．<br />
散ったシャドウには触れてはならない！<br />
<br />
<br />
僕は、もう．．．助からないでしょう。<br />
<br />
最後に．．．１つだけ．．．<br />
<br />
これを見たどなたかが、娘に．．．<br />
ゆかりに会う事があったなら、伝えて欲しい．．．<br />
<br />
帰るって約束したのに、<br />
こんな事になって、済まない．．．<br />
<br />
でも父さんは、お前と一緒に過ごせて<br />
．．．この世の誰より幸せだった。<br />
<br />
．．．愛してるよ、ゆかり。<br />
<br />
どうか、元気でいて欲しい．．．　」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
『．．．お待ちしていましたよ、岳羽詠一郎さん。<br />
いま送られた記録は、私が確かに受け取りました。　．．ご安心を　』<br />
<br />
「だ、誰だ！？　」<br />
<br />
『ふふ．．．　私ですか？<br />
前にお話したでしょう．．　私は貴方の一番の理解者だと。<br />
</font></font></span><font face="MS UI Gothic" size="-1"><ruby><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">楽園</font></span><rp><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">(</font></span></rp><rt><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">エデン</font></span></rt><rp><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">)</font></span></rp></ruby><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">について、共に語り合ったではありませんか。<br />
貴方はよくご存知のはずだ．．．　聖書の滅びの予言についてね　』<br />
<br />
「何を言ってる！？　どこにいるんだ、どこから話している！　」<br />
<br />
『．．．私は貴方と同じ結論に達した。<br />
岳羽さん、貴方は正しかった。<br />
<br />
よくぞここまで滅びを研究されたと、私は感服しています。<br />
<br />
貴方が目指す永遠の命を人間が授かるには、<br />
必ず経なければならない試練がある。<br />
<br />
私は光栄にも、そのお手伝いをさせて頂いた．．．<br />
<br />
．．．フフフ。<br />
あんな兵器を開発した貴方の目的を、<br />
崇拝者である私は正しく理解している！』<br />
<br />
「崇拝？？　．．．まさか、あの時の．．．<br />
き、きみ、早く外の扉のロックを開けてくれ！<br />
<br />
僕はどうなってもいい、だが他の研究員だけは助けてくれ！　」<br />
<br />
『ははは、&ldquo;僕&rdquo;ですか．．．<br />
岳羽さん．．．やっと本当の貴方に会えましたね。<br />
<br />
あのとき僕の話を最後まで聞かずに電話を切った無礼は<br />
これで許して差し上げますよ。<br />
<br />
しかしねえ、あれで僕は考えを改めました。<br />
貴方が僕を拒絶するなら．．　別の方向から近づくまでだとね。<br />
<br />
貴方がたは大事な．．．生贄だ。<br />
神と契約するには、感謝をもって犠牲の子羊を捧げなくてはならない。<br />
<br />
</font></span><ruby><rb></rb><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">黙示録</font></span><rt><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">アポカリプス</font></span></rt></ruby><span style="font-family: Courier New;"><font color="#000000">の封印とそれを開封する精霊．．．<br />
七の数だけは、最低でも揃えなければ．．．　』<br />
<br />
<br />
「生け贄だと？　何を言ってる．．．　」<br />
<br />
<br />
『．．．僕は貴方を尊敬してます。　愛していると言ってもいい。<br />
必ず貴方を復活してさしあげますよ。<br />
<br />
僕が皇になったら．．．　必ず。<br />
<br />
．．．それでは、またお会いましょう。<br />
<br />
素晴らしき、新世界でね　』<br />
<br />
<br />
</font></span><br />
</font>]]>
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    <category>死神異聞録 （～07年5月　過去編/P2微クロスオーバー/18話/★◇◆）</category>
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    <pubDate>Tue, 31 Mar 2009 10:42:02 GMT</pubDate>
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