Persona3小説 Cup. 神愛なる君へ ★◆(主受け/輪姦) 忍者ブログ

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Cup. 神愛なる君へ ★◆(主受け/輪姦)



消したかったすべてが荒廃していく。


その時、プレイヤーの終了を告げる0%のラインが、眼の裏に焼きついた。
扉が開き、教師が渡り廊下に通りかかった、なのに、集団に囲まれてる俺をみたとたん下をむいて立ち去った。
瞼を無理やり閉じても赤い。暗く赤い爛れた感覚が突き刺して止まない。
卑怯な腕が俺の体をつかみ、強引に押さえつけ自由を奪う。羽交い絞めにして引きずっていく。

外れたイヤフォンが身体を滑り落ちていった。
強弱の激しい音声で聴覚だけでも日常をかき消せた気がしていたのに、今は乾いた音に囲まれ、心の中までかさついた。耳に入ってくる全ての音が、不快を極めていく。

舗道にクッキーがバラ撒かれた音。乾いて濁った雨の水音。俺は悲鳴を消したかった。耳の奥まで伝わり、震え続ける悲鳴。か細い呼吸。
吐く息。吸う音は聞こえない。暗闇の中で少しづつ絶えていく、命の音...

生死の境目にある淵に辿り着いたようなものだ、と認識した瞬間から、緊張が高まった。静けさの中で、生きてきた記憶をたどり、振り返ろうとすると、砂嵐のノイズに満たされた。
記憶から滲み出す音など聴きたくない。
爆炎の音は全てを奪った。俺から光に属する全てを奪った。あたたかなもの。優しいもの、静かなもの、綺麗なもの、美しいもの、未来を見つめることの出来る眼。考え抜く勇気の全て。
それは限りなく俺からロストした。

もう遅い。失った罰になにもかもが汚れた。みなで俺を責めたてる狂った音が、内側から俺を取り囲んでる。こんな風に考えてるときのノイズさえも暗闇の執行人だ。自分の声、頭に響く声も、誰の声も聴きたくない。責めるのをやめてと叫びたい。こんなに叫んでるのに、もうやめて、駄目なんです、無理です。もうやめてください。死んじゃう。みんな卒業式の練習、してるのに、どうして。どうして俺だけが。蛍の光。聴こえてる。聴きたくない。やめろ、俺にリアルをきかせないでくれ。そんな酷いことしないで。やめて、もうやめて。

のっけから
鳩尾(みぞおち)を殴られた。にやにやと笑いを浮かべた連中の、汗臭い制服の間で、押し競されて蹴られた。
何本もの腕に、意思とは別に、どこかに運びこまれた。ブレる視界に写ったのは、屋内プールの天井に反射する、
極光(オーロラ)だった。

投げ出されてよろめき、転んで膝がずった。
顔を上げて見渡したプールサイドには、助けになってくれそうな人は誰もいない。
みんな講堂で儀式の練習。いると期待するほうが愚かだ。
――本当にいなくて良かった。どうせ見捨てられるさまを味わうだけ。無駄だ。

後ろから胸ぐらをつかまれた。ベルトが引き抜かれる鋭い摩擦。腰が妙な方向に曲がり、背の筋が引き
()る。ぐらつき振りまわされながら、首を打たれ、肌と肉が火を噴いた。頭を太い皮の鞭で斬りつけられ意識が一瞬で焦げ尽きる。悲鳴をあげたかもしれない。誰にも届かないサイン。いつだって。いつだって。骨が外れてしまいそうになっても引きずり回される。何人だろう、10人以上は居る。今までで一番酷い仕打ちをされそうなのは確実だ。もう、息の根を自分で止めてしまいたい。この先を知る前に、想像したくもない蟻地獄に堕ちる前に、俺に速やかな死を。歯の間に舌を挟んだ。この世で最後の息を覚悟して、吸ってとめ、

 負けないで

―――でき、ない。 どうして顎が動かない。早く死なせて。
なぜだよ、俺はもう、何も。
おれにはなにもない。 なんにも、知りたくはないのに。

意思に背いた下顎に取り乱した。周りと違うルールに縛られたまま、床に倒されて四つんばいを押し潰された。顎がざらついた床にこすれ、乾いた消毒剤の匂いが鼻を刺す。わき腹に重い衝撃がきた。破れたみたいに嫌な音の響き。蹴り上げられ、た。痺れが背筋を伝い、ぐうっとこみあげてきたものを吐いた。ボトボトと滴り落ちる苦さを止めたくてくいしばった。びくびくと瞼が瞬き、視界がぼやけかすんだ。眼球がこわばり、痛さのあまり眼を閉じられない。一目では何人いるか分からない程の足がみえた。制服の脚。ソックスの足首。薄汚れた色とりどりのスニーカー。解けかけた紐。

多い。多すぎる。どうして、こんな... 地獄だ。(まさか、いやだ、ぜんぶ...) 嫌悪が胃の底で泡立ち膨れ上がり弾けた。苦しさに息を吐いたとたん、焚き火に手を突っ込んだ火傷のような痛みが刺した。(...ッ!) 誰かの硬い踵が手を踏んでる。指を千切られ、手の甲が挽き肉にされているような痛みに声を失くした。俺の唯一が壊される。(だめだ、逆らうな、) こらえた代わりに片脚が床を蹴ってしまった。靴先がなにかに当たってはずんだ。心臓が罪にびくついた。大変なことをしてしまった。誰かを蹴ってしまった。動揺で自分の表情が青ざめていくのが分かるほどだった。爪と胃の鈍痛だった部分からさえ汗が流れ始めた。

ひたひたと暗さが、
(あか)いノイズが、這い寄ってきた、―――

「くそ、そっちの脚だれか、押さえとけっ 」
「ッてぇ、くぉら!暴れてんじぇねーよ、全部ズタズタにされてーのか 」「ボコったれ、」

「―――うあ、あぅッ
...ご、ごめんな さい、ごめんなさ、 ッぎゃう! 」

「...お前、転校生なのにまた遠くに引越すんだってな。
でさ、送別会してやろーと思ってさ 」
「おれらって優しいべ? どぉせクラスじゃしてくれねーんだろ? 冷たい奴等ですねえ 」

「げほッ、ぐ..脱ぐ、から..
お、お願いします、指だけはやめてッお願い、何でもする、待っ、」

「まじ笑えるー。バカじゃね? お願いは高くつくってお約束ですよ 」
「何でもかぁ、ソソるね 」
「ぎゃはは脱ぐとかゆってるし、すっげー、なんか熱くなれるわ、これ 」
「やらしいよな、コイツ 」
「お前さぁエンコーしてるってマジ?
ねえねえ、 女みてーなカオしちゃって、親父のちんぽまで咥えてるわけ?」
「おら、答えろや 」

「っは...はい、してます、――ぐっ ッ痛う、 ...う。うッ、」

「何蹴ってんだ、」
「なんか超ムカついた 」
「嫉妬か? 」
「だろ? 」
「野郎相手にマジんなるなって、」

両側の頬を掴まれた。(始まるのか、)芯が怖れに痺れて縮こまる。覗き込んだ顔は、違うクラスの奴だった。まえにトイレでやられたとき、胸を酷く噛まれた。あの歯形は、いまも消えずに残ってる。

「さっすが俺らのしゃぶり姫だなぁ、人気者! 」
「むしろ、なんでこんなムラムラさせてんのか。しかも男ばっかって驚いてるオレが居る 」
「つか、ここに居るの全員、北川くんの抜きテクの大ファンですからー、勢ぞろいか? これ 」
「たぶんそーだべ? ってことでぇ、最後に頑張ってイイ仕事してくださいね、彰くぅん? 」

下卑た笑い声がどっとわいた。
知ってるはずだ。音なんか無意味だ。どうあがいても。言葉なんか、あっても無くても同じだった、いままでずっと。
腕を解放されてすぐ、肢の奥を殴られた痛みがきた。咳き込んで苦い汁が溢れた。とにかくしないと。あれをやらないと。全員の埒をあけて、終わらせないと。痛くて曲がってくれない指で学生服の
(ボタン)を探った。服を汚される前に、急いで。指、震えてないで、動いてくれ。急がないと、早くこいつらをなだめないと。

「あ、オレ今日の撮っとこ、」
「お、代わりによろしく、ケータイ忘れた 」

冷たさが脚に染み込んで辛い、けれどプールサイドに座り込んだ。なんとか詰襟の上を脱いで、誰もいない方角に投げた。携帯のシャッター音、単純な音、軽やかなメロディ、どれも等しく耐え難い。最低限の誇りさえも削り剥がす音、ただ耳を塞ぎたい。痛みの熱が頬にあがって、じんわりと眼を濡らした。反対に寒々と
殲滅(センメツ)する身体。眼の端に鮮やかな水色。瞬きを繰り返して、ワイシャツの前を掴んだ。指をさすって感覚を甦らせ、また(ボタン)
外しに専念する。(何も考えるな。)胸が不穏に高鳴り、動悸の激しさを増していく。

「ヒャはッ コイツよぉ、体育の先公にガッツリ掘られてたらしーッスよ? 」
「あのスメルマン? 」
「あんたソレ情報古すぎ。だいぶ前にE組の奴等から写メ廻ってきた 」
「ダセぇ、ハブられてやんの。つか臭ェ 」
「えー、ゆっちゃっていい?ゆっちゃっていい? ...おれ、コイツとエッチしたことあるしー! 」
「ぐお、まじで? 勇者だ 」
「勇者スゲー 」
「どんなん? 」
「結構エロかった。反応絶妙やった 」
「まじか 」

頭が朦朧としてきた。なにか訳が分からない、ふぅっと意識が離れそうだ。でもこの声は、一度に五回も出した奴に似てる。腹を壊すぐらいがむしゃらに突いてきて、あの時は精も根も尽き果てた。(だからなんで...)考えるな。終われば、終わりさえすれば。俺はここから離れて、別の場所へ行ける。
胸元をはだけて、迷った。下も脱いだほうがいいんだろうか。(...抜きだけで済んでくれれば、)気配だけを探ろうと、眼を合わせないよう気をつけて、囲んでる奴らの気配を嗅ぎ取るろうと試みた。ふてぶてしい嘲笑を浮かべ眺めてる奴、順番が待ちどおしくイラついている奴、自分の欲する奉仕を妄想しギラギラした目で虎視眈々とすでに視姦を始めてる奴。人数が多いだけじゃない、それぞれに只ならぬ気配を感じた。あちこちの痛みが血の流れに混じってひろがり、全身で鼓動を打つ。

「後でハメ撮りみせちゃる 」
「カムアウト大会突入? なら僕もー、週イチでイタダいてました!ごち! 」
「...勝った。週2だわ、」
「うお、ヤッたやつ手ぇあげろや 」
「うい 」
「ほい 」
「えっ、じゃあ、実は... 」
「てめーもか! 」
「おまえ彼女いるじゃんね 」
「いやあ、なんつーかテイストが、ちゃうっていうか、」
「ちょ、ソムリエかよ、」
「なにげに最後までいっちゃったよなー、」
「わー俺たちみんなマラ兄弟.. 」
「ちょ、どんだけー! 」

どこまでも、沈められていく。貧相なストリップはわざとらしく無視され、進んでいく。声と体格の記憶の限りでは、ここにいる殆どの奴は、俺を最後まで経験した。その後もずっと、個人的な味を、この体に挿れてきた奴ばかり。ベルトはもう奪われて誰かの手の内だ、 ノイズ...?

「なんたる、殆どかよ、...ッ腹いてえ 」
「笑いすぎ、わらいすぎ、」
「マックスレベルで笑った 」
「くっくく、おれもーその節はゴチでした、いきなりゴムなしファックでごめんねー、アキラちゃん 」
「こりゃもう、みんなで輪姦すっきゃねーだろ 」
「最初からそれ言いたかったんだべ? 」
「バレタ? 」
「これが最後かぁ。オレ一番でよくね? まだ北川のケツでイッたことねーし 」
「グッバイ童貞、アナルで 」
「筆おろし? 」
「ちがーう! 」

耳の奥で唸る蜂。これはノイズだ。ズボンの釦をはずしてジッパーを下げようとしたとき、両腕をとられて起こされた。唐突に、半勃ちになったのが鼻先に突きつけられた。密かな笑いが首筋を逆撫でた。急いで顎をあげて口を開けた。必死に舌をのばして肉に触れた。露払いの滴が滲んで甘い味がした。その様子をみて奴等は腕を放した。片手をついてひざまづき、俺は愛しなれた神を手繰り寄せた。(人喰いのおうさま...、) 鼻腔に馴染んだ蒸れてる性器の匂い。うぞめいた視線が無数の触手みたいに絡みついて頬に毒針のように刺さる。暗さが心に溶ける。(死にたい。)諦めきってる心の底がそれでも生を求める。壊れては駄目だと。冷えた闇に呑まれてはだめだ。そう、特別な音域をもつ声が叫ぶ。
顔無き幻影... 雲の隙間から碧いろの光が零れ、眼の奥を満たした。

 生きて

...なにが、俺を引き止めるんだ。
何を守って...

いっそ破滅してしまいたいのに、
負けまいと涙を流させるこの衝動は、いったい何なんだ。

悲しくも無いのに、流れるこの涙。

言葉のかわりに、俺を慰める、この温かい流れ。




――わかった、 ...、放さない、いまはまだ、

「...ッ、」

腹が痛い。(...ぅう、)胃が破れたみたいに。
...この一本目に狂った振りをして時間を稼げば、
いま全身を蝕んでる打撲の痛みを、やりすごせるかも。

触られる前に額の髪をかきあげて、顔を見せた。俺がどんなに熱心か、同級生たちに全部見えるように。強張りに手をそえてうっとりと
(ふけ)った目つきを作り、首をかたむけてくちを開けた。空気がなだれ込み、呼吸(いき)が苦しくなり、むせた。こらえて丸みを帯びた先端に小さく舌を穿(うが)ち、大好きなものにするような濡れたキスをする。鼓動に震える器官に頬擦りをして、閉じた睫毛で表面を刷く。湿った嗤いが空気を震わせた。それには心を閉ざした。流れのままに歯をかすらせて粘ついた皮をむく。青臭さに酔いしれてみせ、吐息でそっと包んだ。強く押し付けた舌の全てで、膨らみ始めたサオの曲面をじっくりとなぞり、裏がわをこする。ため息が聞こえ、硬さの諧調が変わった。ぶるっと震えて莢から飛びぬけた初々しい茎を、指を閉じて軽くしごき、くちびるで横咥えにして吸った。同い年の性器は、白髪まじりでシミの浮いたモノより遥かにきれいだと素直に思う。だから、自ずと扱いが優しくなった。核心には触れず、長い時間をかけて丁寧に吸いながら、舌で頬の内側を押した。唾液が出て、たくさん濡らして潤ませるように。体液の温もりであたためていく。相手が、大きな息づかいになり、身体に汗を滲ませているのを感じた。
耐えられるほどには、体の痛みが引いていった。焦れさせすぎては、後が怖い。俺は反り返りを握り、手首をつかった。(っまだ指、しびれ、)手を休めずに、皮が綴りあったスジ腹を、顔の表面も使ってめちゃくちゃに舐めまわした。あちこちから自分以外の誰かが、唾を呑む音がした。


もう少しでこいつは、限界を迎えそうだ。
プラムみたいに張り切った先端を甘く口に含んだまま見上げ、いつものお願いをする。

「よかったら俺のくちに、..いっぱい出して。 ..っぜんぶ飲ませて、」

ふいに下顎が誘惑に震えた。
いま思い切り閉じれば。 いまこれを、前歯で斬首してしまえたら...

「...っぅ、 ...ああ、めちゃいい、すげえ、」

鼻の穴を膨らませて息みながらそいつは、俺の肩にかけている手をぎっと引き寄せて、貪るように腰に力をいれ、押し付けてきた。何度か抜いてやった相手だから、俺が髪に触られると発狂することを知ってる。気遣いとはよべないかもしれないその思いやりに、かすかな感謝が肩に降りた。舌のおもてを波打たせ、口蓋で刺激して咽喉で先端をはさむ。もう俺とセックスできるくらいに硬くなってる。性感だけに向けられた歪んだ愛しさが、下腹を
(みなぎ)らせたのを感じた。(淫乱だ..俺は、) 諦めが疼き、眼を閉じてそのまま唇を強くしめた。突き入れに反動して、激しく首を動かす。深くより深く、柔らかい皮をこすり、(ふっ...ん、 )必死に舐め、しゃぶる音をたてた。このまま息など絶えてもいいから、もっと奥へ。

「うぉ、 ...あああ、なにこれ、まえよかっ ...ッいく、 」

咥内の怪物は死に近づいたかのようにエクスタシーにのたうち、まるで精魂のかたまりのようにうごめく。
俺はくちをすぼめてきつく吸い、祈りにも似た思いで待ち受けた。
動きを止めると同時に、引いていく汗。ぐっしょりと湿ったシャツがはりついて素肌を引っ張る。
振りすぎて揺れた脳の眩暈。胸が、くるしい...

(...っ、 んく、...ん" ぅ、)
懸命にひらいた咽喉の襞を鼓動のリズムで温かく打つ、柔らかな汐の水。自分がどこの誰かを知らない“これ”は、まるで生まれたての命みたいなものだ。誰かに繋げて血を続かせたいと願う本能は、人間自身より強いかもしれない。それなのに不自然な代替行為によって狩られ、本当の半身を見失なったまま俺の一部になってしまう。哀しい彼ら。
生まれてすぐに壊される途切れた循環の嘆きが、胃へと垂れ落ちていく。

「...はは、いつ見てもすげーな 」
「げら、アイツたれながしてイってやんの 」
「わーなんか見てたらオレ、もうバキバキんなった 」
「つぎ、おれでいい? 」
「空気よめよなー。つかもう、おまいらズキュン状態? 」
「いけそな奴から穴使えばいいんじゃね、」

射精が絶えた。脈の静まったものをゆるく引っ張るように絞り、唇から解放した。
息をついて最後の雫を飲み込もうとしたとき、大きな手に顎を捉まれた。「...ッ? 」

「へへ.. みしてよ、くちん中、」

うなずいて、大きく開けた。舌を差し出して、上に絡んだ白濁を見せる。じわっと下くちびるに温みが垂れた。子供の頃と違い、ちょっとやそっとでは疲れなくなった。自分の顎の慣れに、苦笑にも似た凍える自嘲が射す。命令した奴は、俺の顔をみてごくっと咽喉仏を鳴らした。男達が興奮して近づき、俺を囲む輪は狭苦しくなっていた。誰彼ともなく奴等は目配せをしあった。(くる...、)無言のまま、誰かの手が前から首をつかんだ。

後ろに倒され、後頭部を守ろうと挙げた手が他の誰かに
(いまし)められる。いきなり身体を伸ばされて肋骨がきしんだ。はだけてる脇腹に触れられ、びくっとなる。さっき蹴り上げられた薄い皮膚の場所を、硬い髪の誰かが噛み付き、むしゃぶりついた。吸われた疼痛でえぐられ、一思いに破られるのではないかとぞっとする。くすぐったさと交じり合って強烈に高まる感覚に肺がふるえ、咽喉が声をあげた。

「い" ハァッ ...はァ、痛、..んっ、」

「えろい声、」
「コーフンさせんな、」
「下脱がせろ、はやく! 」

金属のきしむ音がし、腿のあいだに冷やかな空気が忍び入った。布地を捲られていく肢を曲げて腰を突き出して浮かせた。尻横の肉が引き攣る。痺れをくいしばりのけぞった。床にじゃり、と髪がこすられる。べとべとにされた脇腹から口が離れると、なぜか物欲しげに皮膚がゾクゾクしてしまう。悶えたくなり肩をすくめて身体をひねった。粗雑に下げられたトランクスに、先端が引っかかった。「ぅアッ、...」こすられた感触にのどが絞まり息が震える。

「お、勃ってる 」
「フェラしながら感じちゃって、まじガチホモなんじゃねーの 」
「こいつ突っ込んでやったらすぐトコロテンすんだよ。 なぁ、彰? 」

靴が抜かれ、脱げかけのワイシャツだけを残して、なにもかもが沢山の視線にさらされた。こんなに大勢を一度になんて、さすがに無かった。凄いことになってしまいそう。ざらつく床と肉に挟まれた後ろが怯え、肌が熱くなる。気味悪いほど心臓が痛む。強姦で死ぬって、あるのかもしれない。これだけ居れば、誰かが疲弊した俺を突き破って、そうしてくれて、(もしそうなったら...)あたまがもやもやする。震える瞼を閉じた。高い天井の鉄骨。骨組みのあいだで極光の白が踊っていた。眼球の中に閉じ込められたそれは、暗闇に融けた白光の円になった。(おつき さま、)両足首を引き伸ばされた。手首も束ねて伸ばされ、身体が浮きあがってみしみしと骨が鳴る。関節が今にも抜けそうで、また苦い泣声がこみあげる。床に
展翅(てんし)され、虫になった身体の上を影が覆い、誰かの冷たい指が無性にずきずきする下腹部の裏を拡げた。音は聞こえない。なにも。

額の裏側で霞むエメラルドの空。妖貌が放つ月光に貫かれていく。「う"っ、う、」遠い幻影に痛み、心で胸をかきむしった。この苦しみを消してほしくて、限界まで膝を開いた。つま先まで感覚を伸ばし、指先を握り締める。(ずッ、ずズず、)要求が伝える鈍い振動。ぎりぎりと
(わめ)く、濡れない俺の身体。なめらかに呑み込めるよう、必死に孔を開いた。こんな時だけ忠実な骨肉は、男を受け入れる姿勢をとらせてくれた。なのに、がむしゃらに腰を送り込まれ、ぶつんという音がした。「痛っつあ! 」古傷が裂けた痛みが切りつける熱さ。息をのみ、肉が締まり引きつった。溢れそうに疼く泉を裏から衝かれて身体が揺れ、のどが濡れた声を漏らした。欲情が集まってくる。神経にたかり、寄生した精虫たちがうごめく。「はぁっ、ああぁ、」 唇が昂ぶり震え始めた。首をもたげ舌をだして誘い、俺は堕落を受け入れた。くちのなかが満たされてうれしい。のどいっぱいに肉の(くつわ)が動く。舌ですがりついた。頬の裏を突かれる。引き伸ばされた身体が、鼻でしかできない息が苦しい。下は快感を欲した雄に奪われ、引き抜かれ、ねじ込まれるたび、摩擦と血で、環が熔けそうになる。初めて犯されたときから、身体はたびたび血を流した。時計の針も朽ちて落ちそうなほどの時間を、無数の男の肉が俺の血に濡れて通り抜けていった。
...咽喉もとまで熱い欲望でいっぱいになるほど、絶えては 襲い、

(うッ..っあう、あ、ああっ、..あ、あはっ、)

肢を思い切り閉じてぎゅっとひくつきじっくり味わいたい。欲求がつのりきって、頭に、白く先を濡らした自分の怪物がみえるみたい。虐められて嬉し涙を流してる、馬鹿で滑稽な俺の性器。こんなもの、叩き潰して、失くしてしまえたら...
気を飛ばしてるあいだに放たれた、たくさん。溢れかえ、る。啜り上げた。性器の味ごと飲み下す。ぬるり、引き抜かれた。次に塞がれる寸前に吐いた息、微空がちらばる胃に溜まっている臭い。写す音、おと...
広げられて突き上げを喰らい、裂けそうな脚の奥で、熱い産声が
(ほとば)った。深く刺さった(へそ)の下でびくびくもがいてる、太い断末魔...もじもじと隙間をよじり合わせて握りしめる。そして緩める。限界を超えて痛む傷。ヒリつく傷口に精子が群がり、細胞に殺到してるのではないかと思うほど。体はせがみ、どうしようもなく性感を欲しがって滲む。腰が揺れてしまう。こんな身体を罰したい、なのに繰り返し欲しがり、脚のあいだを痙攣させてしまう。もうこんなの、(狂ってる、)俺のやり方、気に入ったんなら、出し切るまで離れないで...くちとお腹、いっぱい、いっぱい欲しい、ちょうだい(っあ、まだ、ッまだ、太いの...イッ、いて、俺のなか、に、)おれにのませて、いっぱい。 ...

とつぜん、重力がおかしくなり。床に落とされた。肺が、心臓が、振動で止まりかけた。腰の後ろがバウンドして鈍痛が炸裂し、た。眼に映りこんだライトが歪んだ。二重に、眼を焼く白さ、しろいへや、「げほっけほ、 はぁッ、はぁッ ハァッ はッ、」 し、死にたい。止まって心臓、もうこんなのムリ、いたい、からだじゅう、いたい よ。 じくじく、おしりから、でていっちゃう。ぼくのいいこと、(女が悲鳴をあげた。)ほんとうのだっこ、いっしょに、ないしょのやくそく、へびの、どくが、

「    ハハ   がい    でる   」
「       バキュームたまんね、」
「ぎゃはは、次オレがいくまでなー 」

「いた、い。だれっ!? 髪つかまないで、いやだ、やだあ、やだあああー!! 」

「うわ、って、何だいきなり、」
「あ、髪やばい、こいつキチガイモードんなる 」
「あっ、ちょおいいことひらめいた、プールに突っ込んで頭冷やしてやれば? 」
「らじゃ、」「そっち、持って 」

「やめてえっおとうさん、やめて!やめてっ! 」

怖い、こわい、お父さんの痛すぎて、

たすけて、おとうさんたすけてッ!
おと、さん、ぼ、ぼく、おしり、どうなってるの、こわい、こわいよ、
くちで、じょうずになめるから、おねがい、おねがいです、

やめてえっいたいよう、ああッ

―――いたい、よッ!



大きな穴が、あいてしまった。
世界が水色に、いちめんの水色。 透きとおり、冷たいみずに頭を抱きしめられ、

「... グ、ゲホッ、ゲホッ 」

ザブンという波音。鮮やかな水が鼻の奥に針を刺して、眼の裏を突いた。
また沈められた。誰かに首の後ろをつかまれてる。
焦りと恐怖がこみあげて、起き上がれるとっかかりをさがした。心臓が打ちすぎて痛い。
息、できな...

「グゲェ! ゲブッ、ゴホッ 」

咳き込んで、渾身の力で顔をプールの水から離そうと暴れた。押さえつけられる腕に抗って体が跳ねた。気管に水が入りこみ、焼けるように痛む。髪の中に沁みて地肌をざわざわと伝う水の感触。耳の鼓膜を埋める水が、背後の様子を捉えられなくさせる。苦しくてもがき、振り上げた腕が二本とも後ろにねじり上げられた。肘に何かが巻きついてくる。しまいにぎくっと合わせられて、それっきりびくとも動かなくなった。混乱して、空気を欲して開けた口に水が流れこみ、塩素の味が咽喉奥を満たした。
「がはっ ...げほ、げほん、 」
口から水が溢れる。吸いこもうとした空気と無理矢理逆流させられた水とがぶつかりあい、喉が焼けるように痛む。吐きだされた水に、精液の味が混っていた。後頭部をつかまれ釣上げられた。
死にそう。自分がどうなってるのか知ることすら怖ろしい。朦朧としかけた意識で大きく息を吸う。水まみれでおぼろな視界に幾筋も伝い落ちる水。濡れそぼって冷たいシャツの肩。関節を逆に曲げられて、軟骨がぎしぎし痛み、両腕に意識が引き戻される。
プールに顔だけ突っ込まれ、押さえつけられて腹ばいになっていた。
心臓が逝きそうに引き攣る。暴れて体中の力を使い果たして、動けない。わなわなする。震えだけが止まらない。たすけて、たくさんのプリズムが。水が怖い。水音、吐く、

「おれ、このままバックで― ―    」

首を絞めるように両手でつかまれ、顔がぐらりと動いて、鼻が水面すれすれに近づいた。荒い呼吸が、小さな波紋をつくる。何も考えられず、動くこともできずにいた。あたまは眼を染める碧など差し置いて、真っ赤なもやもやでいっぱいだった。睫毛に溜まった雫が不快で、何度もしばたこうとしたのに、できない。どこにも力が残っていない。腰を浮かされ、膝を立たされた時も、やっぱり動けなかった。本当に死体になってしまったみたいに、何の反応も返せないまま、(ぐぅっ...!)後ろから挿入された。
頭が水没した、どうすることもできずに。水を通して笑い声がした。膝の皿が割れそうに痛む。けれど本当にどうすることもできなかった。精液まみれでだらしなく開いた下半身は、まだ少し柔らかめの亀頭でもなんなく吸い込んだ。たまらない感触で揺さぶられて、窒息の恐怖さえ消し飛びそうになる。奥まで蹂躙されると息が吐き出されて、泡が頬を耳をくすぐりながら昇っていった。吐こうとしても、もう泡さえ出なくなり、肺がカラッポになったのが分かった。押さえつけられて震えているのは、生理的な反応に過ぎなかった。内壁の粘膜は、動く雁首の段差がはっきりと生々しく伝わるほど吸い付いてる。抜き差しする度に、入り口で引っかくようにして、穴の形をもてあそばれた。小刻みな抜き差しのあと、ぐっと強く押し込まれ、首にかけられてる手がぎゅっと絞まった。体が跳ね、いま自分を犯してるものを筋肉が締め付けた。苦しさに内腿がひどく筋張る。あたまの中に赤黒いものが混じり込んでくるようで、意識が消えそう。ただ身体だけがびくびくと揺れる。


ざあっという音が耳を打った。
濡れてはりついた髪の透き間から光がちらつく。


頬を叩かれ、首が傾いた。むせた。くちから胃液と鉄さびのような味のする水があふれた。
ぐちゃぐちゃに混じった口の体液に、性器をつっこまれた。
それで、
また床に仰向けにされているのだと気づいた。

身体と床のあいだで腕がおしつぶされている。
もう肘が痛くて痛くて仕方が無い。くいこむベルトの硬さ。けれど、訴えても外されはしないと思う。
あごを支えていられなくて、しゃぶれない。咽喉奥をがつがつ衝かれるとはずれかかる。
俺の膝裏を抱えた誰かの手が、脚を高く上げた。ふくらはぎに髪と皮膚を感じた。
たぶん両肩にかけてるんだろう。
薄目を開けようとしたのに、眠気みたいなものが額の中に渦巻いている。
このまま、眠ってしまいたい。疲れきって、凍える床に身体が沈んでしまいそうだ。
下腹を戯れに掠ってる、俺のものだけが元気みたい。

身体をぐにゃりと折り曲げられ、
露骨に痺れて感覚の無い孔に、くすぐったいものが這入ってきた。
うなぎにでものたくられてるような感じがしてしまう。

細いサオだ。最初にしてくれれば良かったのに...
後ろを締めてあげたいのに、力がまったく入らなくて、だめだ。
いまクチに出されたものも、ちゃんと飲み込めない。
溺れる、のどで泡立つ精液で溺れそう。涙で鼻が詰まって。
揺さぶられながらでも、いつもはのめるのに、
本当に、いますぐ眠ってしまいたくて。

うつらうつらしてたら、反応が無いのを罵られて殴られた。

「ごめんなさい、」って言いたいのに、声がでない。血の味。

...もう、みんなとも最後なのに。

煙が一筋、顔の傍に流れてきた。

タバコの臭い。だ、

そう思った瞬間、灼熱が身体の底でジュッと弾けた。
とつぜんの火傷の痛みにショックを受け、一瞬でつま先までつっぱった。
焼かれた腰がぶるっと波打って、
胸まで温かい飛沫がとんだ。
(うるさ)い喚声がする。
同時に、体の中で震えた肉が、長々と汁を吐くのを感じた。

これ以上は眠さの限界で、堪えられそうにない...



舌も動かせないほどになった、
用済みの身体、
みんなはプールサイド、から、
...出て行った、

動けない。
水が
(ひつぎ)みたいに重たい...

細密な雨音が伴奏していた、仰げば貴し。 もう、聴こえない。


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